嵐のような球技大会から数日が経った。 朝の登校時、昇降口で上履きに靴を履き替えていると、見知らぬ他クラスの男子から突然声をかけられた。 「おはよう、翼ちゃん。球技大会の時のポニーテールと体操服、すっごく可愛かったよ」 「え、あ……あ、ありがとうございます……」 「あのさ、よかったら今度一緒に――」 「つーちゃん、おはよーーっ!」 男子の言葉を遮るように、背後からあかりちゃんが勢いよく割って入ってきた。 「ちょっと先生に提出する急用があるの! 行こう、つーちゃん!」 「えっ、あ、うん」 あかりちゃんは僕の腕をギュッと抱きしめるように掴むと、呆然とする男子を鋭く睨みつけ、そのまま僕を引っ張ってその場を離れた。 「ふぅ……ありがとう、あかりちゃん。助かったよ」 「どういたしまして! でも最近、つーちゃんに下心丸出しで声をかけてくる男子が本当に多すぎ。気をつけないとダメだよ?」 確かに、球技大会を境に、廊下を歩いていても周囲の男子からジロジロと視線を感じることが明らかに多くなった。 教室に入ると、窓際の席にいつものように桜井さんが座っていた。 「おはよう、桜井さん」 「あ……うん、おはよう、翼ちゃん……」 桜井さんの返事は、驚くほど小さく、どこか上の空だった。最近、僕が話しかけても、なんだか僕の顔をまともに見てくれない気がする。 「大輔、おはよう」 すぐ前の席の大輔に声をかける。大輔はびくっと肩を揺らし、ひどく気まずそうな、複雑な表情で振り返った。 「おう……。……おはよう、翼」 それだけボソと言うと、大輔はすぐに前を向いて教科書を広げてしまった。 あの勉強会や球技大会の日から、大輔との会話は業務連絡並みに短くなってしまっていた。親友としての距離が、目に見えて遠ざかっていくのが分かって、胸が少しチクリと痛む。 * * * 昼休み、学食のテラス席であかりちゃんと昼食を食べていると、他のクラスの女子グループが何人も話しかけてきた。 「翼ちゃん、今日のスクールメイクもすっごく自然で可愛い!」 「今度、アイシャドウのぼかし方のコツとか、教えてもらえる?」 「やっぱりあかりちゃんがプロデュースしてるの?」 昨日まで男子だった自分が、女子たちに同性の仲間として囲まれて美容の話をされるなんて、な
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