《私の店へ、夫が妊娠した秘書を連れて試着に訪れた》全部章節:第 11 章 - 第 12 章

12 章節

第11話

打ち上げパーティーはセーヌ川沿いのオープンテラスで開かれていた。私が階段を下り、道路を渡ろうとした。まさにその時、角を曲がった先から、制御を失ったトラックが突然飛び出してきた。トラックは、道路脇に組まれていた巨大な金属製のステージ骨組みに、そのまま激突した。耳をつんざくような金属の悲鳴が響き、骨組みが私の方へと倒れ込んできた。それと同時に、物陰から刃物を持った殺し屋が躍り出て、私の胸を狙って襲いかかってくる。まさに危機一髪の時、隣から黒い影が飛び込んできた。光洋が、私を交通島へ向かって勢いよく突き飛ばしたのだ。私の身代わりとなって、彼は背中で殺し屋の必殺の一撃を受け止めた。毒の塗られた刃が、彼の背中に深々と突き刺さる。倒壊した金属製のステージ骨組みも、轟音とともに落下してきた。太い鉄パイプが、光洋の両脚を圧し折った。そして、鋭く裂けた鉄パイプが、彼の腹部を貫通した。大量の血が噴き出し、彼の体は冷たいアスファルトの地面に固定された。その光景は、かつて私が廃墟のなかに閉じ込められた時とまったく同じだった。重い金属製の骨組みが、彼の骨を砕いた。あの日、シャッターが落ちてきて、私の生きる望みをすべて断ち切った。今度は、彼が絶望を味わう番なのだ。彼は激痛で全身を激しく痙攣させ、周囲の客たちは恐怖に駆られて逃げ散っていった。血の海に横たわったまま、彼は薄れゆく意識のなかで、必死に目を動かす。すぐ近くにいる、私の姿を捉えようとしているのだ。血にまみれた指が、ざらついた地面を深く引っ掻き、生々しい血の痕を残した。「奈央……奈央、怪我がなくてよかった……」私は安全な場所に立ったまま、見下ろすように、彼の命が急速に失われていくのをただ眺めていた。手を貸すことも、大声で助けを呼ぶこともしない。彼の飛び散った血で、靴を汚さないために、私は一歩後ろに下がった。ほどなく、サイレンを鳴らした救急車とパトカーが駆けつけてくる。救急隊員が切断機で鉄パイプを切り開き、血まみれの光洋をストレッチャーに乗せた。ストレッチャーが私の前を通り過ぎる間際、光洋は残された力の限りを尽くして、さっき私が地面に落としたスカーフを、必死に握りしめた。彼の瞳孔は、すでに散大し始めている。残ったわずかな息を振
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第12話

市立病院の救急救命室の前では、赤いランプが点滅している。主治医が危篤の知らせを手にして出てくると、重々しい表情で私を見つめた。「患者さんの内臓は深刻な不全状態で、毒素は全身に回っています。最後の力を振り絞って、どうしても目を閉じないんです。あなたに一目だけ会いたいって」私は血の匂いがこもる集中治療室のドアを開けた。光洋は全身に管を繋がれ、顔には酸素マスクが付けられている。私の足音に気づくと、彼は一時的に意識が戻ったかのように、その瞳にかすかな光を宿した。針の痕だらけの手を震わせながら持ち上げた。自分の血に染まったスカーフを、私へと差し出した。目尻から涙が伝い、やせ細った頬をぬらして、真っ白な枕にしみ込んでいった。私はそのスカーフを受け取らなかった。代わりにベッドに歩み寄り、身をかがめた。そして、彼の耳もとに、穏やかな冷たい声で、最後の宣告を下した。「光洋。私は、あなたを許さない。今生でも、来世でも、絶対に許さない」その言葉を聞いた瞬間、彼の手は宙に止まった。まるで魂を抜き取られたかのように、瞳に残っていた最後の光が、そのままかき消えた。喉の奥から、凄まじい嗚咽が漏れた。耳を刺す長音が鳴り響き、心電図はまっすぐな線に変わった。かつて東都で絶大な権力を誇った御曹司が、目を見開いたまま息絶えた。彼は自らの手で、かつて愛した女の人生を壊した。そして今、彼は彼女の目の前で死んだのだ。一年後。パリのノートルダム大聖堂の外にある広場には、陽光があふれ、白い鳩が群れをなしていた。私はあの、本当の意味で私だけのものとなった、完璧に修復された「涅槃」のウェディングドレスをまとっている。建一の腕に手を絡め、バラの花びらが敷き詰められた赤い絨毯の上を歩いた。絶望の淵に沈んでいた私を、彼は自分の血で、あの暗い世界から救い出してくれたのだ。神父の厳かな見守るなか、私たちは微笑みを交わしながら指輪を交換した。同じ時、海の向こうの墓地には、風が寂しく吹き抜けている。光洋の墓石の前は雑草に覆われ、まともな供え物ひとつ見当たらない。冷たい骨壺には、彼の遺骨とともに、かつて彼自身の手で破り捨てた、妊娠検査の報告書が入っていた。結婚式の鐘が鳴り響く。白い鳩が羽ばたき、青く澄んだ空へと舞い
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