「ごめんなさいね、残ってもらって」「王妃殿下のご用命なれば否やはございません」 王妃オルメリアの詫びにシキン伯爵夫人ジャンヌは粛々と目礼を返した。 お茶会はお開きとなった。異様な空気の中で続けても意味はあるまい。そうオルメリアが判断したからだ。 会場に残っているのはオルメリアとエレオノーラ、そして呼び止められたジャンヌの三人だけ。 「それに、私も王妃殿下にお詫び申し上げねばならないことがございましたので」 そう前置きしてジャンヌは頭を下げた。 「先程はオーウェン殿下を貶めるご無礼を……」「謝罪は不要です」 だが、オルメリアはジャンヌの謝辞を遮った。 「謝らなければならないのは此方なのですから」「王妃殿下に何の咎がございましょう」「いいえ、私共が無理を言ってオーウェンの側仕えになってもらっておきながら、息子の愚行を止められませんでした」 そして、頭こそ下げられなかったが、逆にオルメリアが謝罪したのだ。 「王妃殿下!?」 これには冷静沈着なジャンヌは仰天した。 王族が臣下に対し頭を下げるなど通常ではあり得ない。 「そもそも私がオーウェンの教育を間違えてしまったのがいけなかったのでしょう」「王妃殿下、古今東西聖人君子であっても我が子の教導を誤るものです」 同じ母としてオルメリアの苦悩をジャンヌは理解できる。 「私のような貴族とは違います。王族は求められるものが多すぎ、子の教育を困難にしているのです」「私はオーウェンに多くを求め過ぎたのかしら?
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