All Chapters of あなたのお嫁さんになりたいです!~そのザマァ、本当に必要ですか?~: Chapter 11 - Chapter 20

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第11話 その国の未来、本当に大丈夫ですか?

「まるでミツバチですわね」 アイリスを囲むオーウェン達の姿は女王蜂と働かぬオス蜂のようだ。 (ミツバチの雄は交尾を終えたら女王蜂から捨てられてしまうのよね?) いつかオーウェン達もポイッと捨てられてしまうのではないか――そんな想像にウェルシェはぞっとした。 「淡い桜色の髪は、スリズィエを思い起こさせはしますけれど……」 スリズィエはピンク色の5枚の花びらが可愛らしい。その木を呼び名に冠する少女――アイリス・カオロ。 彼女が得体の知れない化け物のように思えてきた。少なくとも彼らが思うような聖女では決してない。アイリスが聖女なら、見目の良い男性限定で交流を持つはずがないからだ。 「あんなバッタもん聖女の何が良いんですの?」 ここにカミラがいれば、バッタもんにはバッタもんを嗅ぎ分ける嗅覚があるのですねとでも言いそうだ。 「普段おっとりしてるのにウェルシェも言うわねぇ」「だってイーリヤ様やキャロルの方が圧倒的に素敵だと思いますわ」「ふふ、ありがとう」 キャロルが屈託なく笑った。 本当に可愛いとウェルシェは思う。こんな素敵な婚約者を蔑ろにしているクラインは何を考えているのか。 確かにアイリスはかなり容姿に優れている。だが、どす黒くおぞましい何かが、内から這い出してきそうでウェルシェは彼女を好きになれない。 ここにカミラがいれば苦笑いして同族嫌悪ですか?と言いそうだが。 「でも、もう良いの」 珍しく琥珀色の瞳に翳りが見えた。 「婚約者の事は吹っ切れたわ」
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第12話 その腹黒令嬢、本当に擬態ですか?

「お待たせして申し訳ございません」 エーリックの教室にウェルシェがひょこっと顔を出した。 「先生から頼まれて、資料を職員室へ届けに行っていたものですから」「いや、そんなに待ってないよ」 さあ行こうかとエーリックが手を差し出すと、ウェルシェは嬉しそうに自分の手を重ねた。 そんな一幕に令嬢達は「まぁ!」と微笑ましそうな目を向け、ウェルシェを狙っていた一部の令息達はちっと軽く舌打ちする。 ここ最近の『お約束』みたいなものだ。 仲睦まじく手を繋ぐと、二人は学生食堂へと向かって歩いていく。すれ違うたびに、生徒がチラチラと覗き見るような視線を向けた。当然、ウェルシェはそれに気がついている。 「どうやら作戦は成功のようですわね」「これで僕らの仲を疑う者もいなくなるかな?」 ウェルシェがどれだけ婚約者がいると訴えても、言い寄る男が後を絶たなかった。最初に断り諦めた者達まで同調して、むしろ最近は不埒者の数が増殖の一途である。 「エーリック様にご忠告いただいていたのに申し訳ございません。私が甘かったですわ」 ウェルシェが1人になると、途端に誰かしら男子生徒が声を掛けて来るのだ。中にはキャロルや他の令嬢達を無視してウェルシェを口説きにかかるとんでもない不届き者までいる。 「まさかアプローチをかけてくる殿方が、こんなに多いなんて思いもしませんでした」 これにはウェルシェも閉口した。 そこで、今までキャロル達と過ごしていたランチタイムをエーリックと共にして男達を牽制する事にしたのである。 「婚約者のいる身だと何度も申し上げておりますのに」
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第13話 そのデート、本当に効果ありますか?

――マルトニア学園の学生食堂 「ご注文を復唱させていただきます。ハムエッグサンドがお一つ、ボンゴレビアンコがお一つでお間違いありませんか?」 ウェイトレスがエーリック達の注文を確認する。フリルをあしらった黒を基調としたミニスカートの制服が実に可愛らしい。 「うん、間違いないよ」「それでは少々お待ちください」 一礼したウェイトレスがくるりと踵を返すと、短いフレアスカートの裾がひるがえる。ニーハイとスカート裾の間の絶対領域がエロ可愛い。 見えそうで見えない領域に男達の視線が集中した。チラ見であったのだが、近くにいる令嬢達にはバレバレである。 本能に逆らえなかった男達は女性陣の冷たい視線に針のむしろ状態だ。 エーリックだけはウェルシェに釘付けだったので、彼は最愛の女性からの顰蹙を買わずに済んだようである。 「ウェルシェは良かったのかい?」「何がでございましょう?」「いつもは友人とランチしていただろ?」 ウェイトレスが離れたのを確認してからエーリックは話を切り出した。 「ここのところお昼は僕と二人だから大丈夫かなって」 ウェルシェはいつもキャロルと昼食を摂っていた。これはエーリックがウェルシェの交遊関係に遠慮していたからである。 そんな遠慮が弱腰に見られる原因となっているのだが、ウェルシェはエーリックのそんな心遣いを好ましく思っている。 「僕が情けないばっかりに、ウェルシェには迷惑をかけてしまったよね」「いいえ、私もエーリック様とランチをご一緒できて嬉しいですわ」 こ
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第14話 その優男、ご乱心ですか?

「「はあ?」」 何だそれは? ウェルシェはケヴィンを好きだと言ったことは一度もない。あまりに意味不明すぎてる。ウェルシェもエーリックも思考回路がショート寸前だ。 「それじゃあ、私とランチにしよう」 だが、ケヴィンは自分の妄言を信じて疑っていないようだ。妖しい紫水晶の瞳に微笑みを湛え、ウェルシェを誘う。 「いい加減にしてくださいまし。私は婚約者のエーリック様と会食をしている最中なのです。少しはご遠慮いただけませんの?」 今までのように、やんわり断っていてはケヴィンには自身の意思が伝わらない。ウェルシェは婉曲表現を避けて、口調に棘を含めてはっきりと拒絶した。 「ああ、君はエーリック殿下に遠慮しているんだね」 だが、それでもケヴィンにはまったく通じていない。 「あのぉ、ケヴィン様の仰っている意味が理解できないのですが……私の方がおかしいのでしょうか?」「安心してウェルシェ。僕にもさっぱり分からないよ」 これだけ拒否されていながら、どうしたらそんな発想になれるのだろう。あまりに斜め上のケヴィンは異次元の生物としか思えない。 「ちゃんと分かっているよ。君は私が好きなんだろ?」 唖然としてできた隙にケヴィンが突然ウェルシェの手を取った。 「ちょっ!? 勝手に淑女の手を掴まないでくださいまし!」 恋人でもない女性の手を許可なく触るケヴィンに、何だこの気持ちの悪い男は、とウェルシェの背筋にぞわわわっと寒気が走る。 理屈の通らない生き物はウェルシェにとって気味が悪い。ケヴィンに対して生理的嫌悪しか沸いてこ
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第15話 その兄弟、本当に仲いいんですか?

「兄上!?」 そこに現れたのはエーリックの腹違いの兄であり、この国の第一王子オーウェンであった。 オーウェンの母は正妃オルメリア、エーリックの母は側妃エレオノーラであるが、二人の母親の関係は良好である。 だから今までエーリックとオーウェンの仲も悪くはなかった……はずだった。 「いったいそこで何を騒いでいる」 オーウェンが現れると、他の生徒達はさっと道を開けた。容姿は似ていてもオーウェンにはエーリックにない王者の風格が備わっているようだ。 「いくら学生食堂とは言っても限度があるぞ」「周りの生徒達にも迷惑だよね」 赤髪の武骨な少年と白髪赤瞳の美少年がオーウェンに続いた。その居丈高な態度にウェルシェはわずかに顔を顰めた。 赤髪の少年はクライン・キーノン――ウェルシェの友人キャロルの婚約者である。 一方、アルビノの美少年はコニール・ニルゲ――オーウェンの婚約者イーリヤ・ニルゲ公爵令嬢の実弟だとウェルシェは記憶している。 さすがに聖女もどき様が顔面偏差値で選んだだけのことはある。ちょっと背は低いが透き通るような白皙の美少年だ。 だが、何にせよ王族同士の会話に許しもなく割って入るなど不敬である。しかも、王子であるエーリックに向かって嗜めるような二人の発言に、ウェルシェは内心でムッとした。 あまりにエーリックを軽視した態度である。 「ケヴィン先輩が僕とウェルシェの婚約に言い掛かりをつけてきたんです」 だが、もともとエーリックは被害者であり、彼に何ら臆するところは無い。怒りに任せず冷静に対応するエーリックはウェルシェ的にポイントが高い
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第16話 その第一王子、傍若無人じゃないですか?

「少し頭を冷やせ。ここは他の生徒も集まる学生食堂だぞ」 周囲では生徒達が事の成り行きをじっと窺っている。オーウェンに指摘されて、さすがに今の状況は拙いと二人は口を噤んだ。 「二人の主張は分かった」 だが、これまでのケヴィンの発言は王家への不満を口にしたも同じである。エーリックは当然オーウェンが自分の側近を窘めるだろうと考えた。 ところが―― 「エーリック、王家の力を利用して好きな女を物にしようとするのは感心しないぞ」「は?」 予想外の非難を受けてエーリックは呆気に取られた。 「貴族の婚姻は政治の絡むものではある。しかし、だからと言って愛し合う者達を引き裂き、婚約を無理強いするのは間違っている」「兄上、それは本気で仰っているのですか?」 エーリックは別段オーウェンと対立はしていない。オーウェンの方も今までエーリックに含むところは無かったはずだ。 それなのに、オーウェンは自分の側近であるケヴィンの王族を軽んじる言動を咎めようとしない。それどころか、エーリックを一方的に悪者にしている。その発言の意図が分からない。 ケヴィンやオーウェンの言い分では、まるでエーリックが横恋慕して婚約を迫ったみたいだ。だが実際には、エーリックはお見合いの時にウェルシェと初めて出会い一目惚れしたのである。順序が完全に違う。 それに―― 「グロラッハ侯爵家との婚姻は王妃殿下から提案されたものですよ」 そう、この婚約はもともと正妃オルメリアが自分の息子を無事に即位させるのが発端である。そのためにエーリックをグロラッハ侯爵家へ婿入りさせようとしたのだ。&n
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第17話 その第二王子、本当に軟弱じゃないですか?

「僕はウェルシェが好きだ!」 エーリックの魂の叫びが庭園に響き渡った。 「控え目に言っても大好きだ!」「そんなはっきり告白されると照れてしまいますわ」「いったい何をやっているんですか」 エーリックの熱烈アピールに、ウェルシェが赤らめた頬に両手を添えて恥ずかしがり、そんな二人をカミラが呆れた目で見ている。 ここはグロラッハ邸にある、二人がいつも語らう小さな白い四阿。放課後、エーリックは王城へ戻らず、そのままウェルシェと共に侯爵邸を訪れていた。 「でも、ウェルシェは僕を好きじゃないんだ!」「何でそうなりますの!?」「忙しない方達ですねぇ」 嫌われたと絶望のエーリック、嫌ったと思われて驚愕のウェルシェ、何の茶番かと呆れ顔のカミラ。 「私がお慕いしておりますのはエーリック様だけですわ」 ウェルシェの言葉に嘘はない。もっとも、「エーリック様」の後に(の婚約で得られる特権)と副音声がカミラには聞こえたが。 「でも、みんなウェルシェはケヴィン先輩が好きだって言うし……ウェルシェは僕との婚約が本当は嫌だったのかなって」「誓って私がケヴィン様をお慕いしている事実はございません!」 エーリックとケヴィンを比べるならば、王家からの利益を選ぶが腹黒令嬢。 利のない結婚はノーサンキューだ。 「でも、ケヴィン先輩は令嬢達に人気があるし……」 冗談ではない! ケヴィンに色目を使う頭の緩い令嬢と一緒にされるなど、ウェルシェにとって侮辱以外の何ものでもない
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第18話 その腹黒、本当に青田買いするんですか?

「まったく、エーリック様にも困ったものね」 エーリックを見送って、ウェルシェはため息を吐いた。 「殿下は相変わらずのヘタレっぷりでしたね」 カミラはより辛辣だ。無表情なだけより冷たく感じる。 「もういっそ婚約解消でもよろしいのでは?」「それはダメ!」 ウェルシェはピシャリとカミラの提案を退けた。 「おや、情でも移されましたか?」 カミラはにひっと笑った。 主人を食ったこの態度、さすが腹黒令嬢に長年仕えている専属侍女。なかなかイイ性格をしている。 「もしホントに勘違いヤローと結婚させられたら最悪でしょ」「それはそうですけど」 主人の恋愛を弄って楽しむ良い性格をした侍女はなんか納得がいかない。 「お嬢様の言い分は至極ごもっとも……なんですが、もうちょっと狼狽えたり、恥ずかしがったりしてくれないものですかね?」「私にとって重要なのは、私との結婚をどれだけ高く買ってくれるかって事よ!」 もっとも、ウェルシェもカミラの扱いは心得たもの。淡々と相手をして、カミラを喜ばせるような迂闊な真似はしない。 「エーリック様以上の好条件を提示できる方はいないわ」「むぅ、政略結婚という意味ではそうですが……お嬢様はもうちょっと恋に恋してもいいと思うのです」「なによカミラ。ケヴィン様みたいな遊び人のアホを当主にしてもいいわけ?」「まあ、我々使用人にとっても主人は優れた者がいいですけど」「あんな話を聞かない人はまっぴらごめんだわ…&hell
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第19話 その元側近、激おこですか?

「オーウェン殿下は何も分かっていない!」「落ち着けよ、レーキ」 青い髪が逆立つのではないかと思えるほど怒り狂う友人を優しげな蜂蜜色のおっとりした少年が|宥《なだ》めた。 憤慨している青髪の少年はレーキ――ノモ子爵の次男。蜂蜜色の少年はジョウジ――シキン伯爵の嫡男である。 この二人はオーウェンの側近となってから無二の親友となった。もっとも、主人の不興を買って二人とも今は遠ざけられているが。 「俺はいい。だが、ジョウジは側近として必要な存在だ」「おいおい、僕より優秀なレーキの方が必要な人材だろ?」「はっ、俺なんて所詮は小知をひけらかすだけの小狡い男だ。だが、シキン伯爵家とお前は違う」 レーキは自他共に認める鋭才で、彼自身も己の能力に自信はある。だが、ジョウジと出会ってから、彼の価値観は一変した。 「僕は愚直なだけで取り柄はない平凡な男だぞ?」「愚直も貫き通せば立派な才能だ。むしろ、どんな圧力にも負けず、真っ直ぐでいられるのは非凡だぞ」「それはシキン家の先祖のお陰さ」 シキン伯爵家は『貴族の良心』と呼ばれるほど王家への忠節に篤く、貴族の矜持と義務に真摯な一族だ。 今のシキン伯爵も代々己の利を求めず常識的な人柄で王家に仕えてきた忠臣である姿勢を受け継いでいた。 奇抜な能力も特殊な才能もない。ただただ王家に対し忠実に誠実に生きている。あまりに凡庸な生き方ではあるが、これを貴族の世界で代々貫き通しているシキン家は異色なのである。 普通なら他の貴族によって食い物にされて断絶していておかしくない。事実、先々代の頃にシキン伯爵家はお取り潰しの憂き目に遭っている。 ある時、シキン伯爵家を良く思わない派閥に嵌められ冤罪
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第20話 その妖精姫、本当は化け物じゃないですか?

「ご機嫌よう――」 驚愕する二人に白銀の妖精が微笑んでいた。 「――レーキ・ノモ様、ジョウジ・シキン様」 ウェルシェが綺麗なカーテシーを披露する。そこだけキラキラしいエフェクトが発生でもしているようだ。なんとも幻想的な美少女である。 そんな絶世の美姫に二人は惚けたように魅入ってしまった。 「人の想像力は意外と高くは飛べないもの。ですから実際に目に見える猛獣を恐れるのですわ」 だが、その愛らしい唇の間から出た言葉は現実的で、自分達の会話の真意を読んだ鋭い解答をウェルシェから投げかけられて二人は我に返った。 (誰だ、グロラッハ嬢を柔和な姫と噂したのは)(これは見た目に騙されてはダメだ) レーキとジョウジは目配せして頷き合った。 「これはウェルシェ嬢、我らのような爪弾き者に何の御用でしょう?」「私どもはオーウェン殿下の不興を買った身ですので、関わるのは御身の為にはなりませんよ」 ウェルシェが何を目論んでいるのか分からず二人は警戒をしたが、ウェルシェはまったく意に介した様子もない。 「隆盛の者への媚びはすぐに忘れられ、苦境の者への援助はいつか我が身に返ってくると思いますの」 レーキとジョウジの背筋に冷たいものが走った。 「それが伏竜鳳雛なら尚更ですわ」 つまり、ウェルシェはレーキとジョウジに恩を最大限で売りたいと言っている。優秀な二人は当然それを正確に読み取った。 「私達を伏竜鳳雛とは畏れ入ります」「ですが、それはウェルシェ嬢の買い被りですよ」「学園きっての俊英と
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