日南の口調は終始穏やかで、まるで他人の物語でも語っているかのようだった。話し終えたあと、彼女は淳人の顔に浮かんだ罪悪感や後悔、そしてさまざまな複雑な感情を見て取った。淳人には日南に伝えたいことが山ほどあった。だが最後に口からこぼれたのは、「ごめん」だけだった。――あれほど愛してくれていたのに、騙したこと。嘘をつきながら、それを当然だと思っていたこと。傷ついていると分かっていながら、気にも留めなかったこと。もう気にしていないと分かっているのに、それでも諦めきれなかったこと。淳人の謝罪は、日南の二度の人生を越えて、ようやく彼女のもとへ届いた。日南は気丈に笑って、「謝らなくてもいいよ。もう気にしていないから」と言いたかった。けれど口を開いた瞬間、苦い涙の味が広がった。慌てる淳人の視線の中で、日南は自分の頬に手を当て、そこで初めて自分が泣いていることに気づいた。もう彼を愛していないはずなのに、何を悲しむ必要があるのだろう。日南には分からなかった。だが、その答えを探そうとも思わなかった。淳人は退院して間もなく、改めて日南を食事に誘った。きちんと別れを告げたいのだと言う。日南は少し考えた末に、その誘いを受けることにした。飛行機が到着し、ターミナルを出て淳人の姿を見た瞬間、彼女は思わず目を見開いた。彼が着ていたのは、ずっと昔、義一に無理やりデートへ行かされていた頃に着ていた服だった。呆然とした彼女の様子を見て、淳人は思わず笑みを漏らした。反射的に彼女の手を取ろうとしたが、今の二人の関係を思い出し、静かに手を引っ込める。「行こう」迎えに来た車も昔と同じマイバッハだった。ただし車内の雰囲気はすっかり変わっていた。明音の好きだった淡いピンク色の装飾はなくなり、代わりに日南の好む落ち着いた上品な内装になっている。カーオーディオから流れている曲も、すべて日南の好きなものだった。彼女は何も言わず、目を閉じて眠るふりをした。淳人は一瞬動きを止め、それから黙ってエアコンの温度を少し上げた。昼食は日南の好きな料理を選び、注文した料理もすべて彼女の好みに合わせられていた。食事中、淳人は甲斐甲斐しくスープをよそい、ナプキンを差し出した。その気遣いぶりに、隣のテーブルの妻は思わず自
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