深夜になっても、明音はいつものように淳人に甘えてまとわりついていた。だが淳人は、昼間に見た空白のメッセージ画面を思い出し、日南に対する申し訳なさを募らせていた。それでも胸に湧き上がる日南への思いを押し殺し、明音を寝かしつけると、こっそり車を走らせて北区の別荘へ向かった。しかし彼が車で去った直後、3階のバルコニーに一人の人影がゆっくりと姿を現した。遠ざかっていく車のテールランプを見つめながら、明音は電話をかけた。「もう火をつけた?」すぐに相手から手はず通りに終えたとの報告が返ってくる。明音は口元に冷酷な笑みを浮かべると、自らも階下へ降り、車で北区へ向かった。北区へ向かう道中、淳人の頭の中で渦巻いていた複雑な感情は、窓の外から吹き込む冷たい風によって少しずつ整理されていった。なぜ日南がここ数日、自分に連絡してこなかったのか。その理由が分かった気がした。あの日、彼は車を降りる日南に、一か月後には迎えに来ると約束した。だが明音が退院してからかなりの日数が経ったにもかかわらず、彼はその約束を果たしていない。たとえ日南が怒っていなかったとしても、失望して当然だ。だから連絡をくれなかったのだろう。そう思うと、固く寄っていた眉間は少しずつ緩み、アクセルを踏む足にも自然と力が入った。――大丈夫だ。会ったらちゃんと謝ればいい。きっと彼女は許してくれる。やがて淳人の車は別荘のある中腹に到着した。道路の終点から別荘までは、短い階段が続いているだけだった。――もうすぐ日南に会える。そう思うと、彼の足取りは自然と速くなった。そして最後の一段を踏みしめた瞬間――目の前の光景に、彼はその場で凍り付いた。燃え盛る炎が夜空の半分を照らし、黒煙が渦を巻きながら無数の破片を巻き上げている。別荘からまだ距離があるにもかかわらず、灼熱の熱気はむき出しの肌を容赦なく焼いていた。頭の中は真っ白だった。ただ一つ、日南がまだ中にいるということだけが脳裏を占める。「日南!」淳人は他のことなど考えられず、狂ったように炎へ向かって駆け出した。ドォン!凄まじい爆発音が響いた。瓦礫と破片が矢のように四方へ飛び散る。駆けつけた近隣住民たちは悲鳴を上げ、慌てて彼を押さえつけた。「須賀さん、落ち着い
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