「はい。炒飯、お待ちどお」店主がテーブルに炒飯を置いた。「今日もゆっくりかい?」白衣姿の店主は、面白そうに私を見る。「そうなの。ちょっと退屈なのよね」自虐的に口をとがらせつつ、店主に微笑んだ。できたての炒飯をレンゲですくうと、いい香りが鼻を刺激した。宿を出て町をぶらぶらし、お昼になった。いつものように『萬福飯店』に入った。テーブルの前に腰かけてしばらくすると、チョーが遅れて入って来た。チョーは朝に用事で、一人で出かけていた。「チョー、どうだった?」「うむ。牙人(※1)と印刷職人の採用を狙ったが、ダメだったよ。おじさん、野菜炒めに白飯ね」チョーは説明しつつ、店主に自分の分の注文をした。「そう、残念ね」私は落胆した。せっかく、頑張ってねと送り出したのに、そっちの結果は伴わなかったか。当面の金は困らない。男の人が充実して一日を過ごすには、働きに出た方がよい、と考えていた。「でもさ。聞いてよ。苦力(※2)は、いつでも来てくれ、と言われたよ」「そう。で、どうするの?」「この地に住むかどうか次第だ。どう思う?」「そうね」私は炒飯を二口レンゲですくい、咀嚼しながら、チョーを見た。炒飯があまりにおいしいので、口と舌は動きを止めず、次の一匙を欲した。その欲を抑え、助言した。「チョーの性格と体格からして、覚えるのに時間のかかる職人はやめるべきよね。この町に長くいるつもりはないから、人夫がちょうどいいんじゃないの? その〝苦力〟って言うのかしら、肉体労働をする人で」「じゃあ、親方に話して、明日からでも働けるよう、取り計らってもらうよ」チョーは笑って私の腕を撫でた。「そうならば、明日のために体力つけなきゃね」「晩は栄養のある食事をとろう」「なに、食べる?」「栄養価の高い食事と言えばだな。アレだよ。たとえば、羊の肉。羊肉の煮込みなんて、最高じゃないか」「いいじゃないの」私は合いの手を入れた。「他には、豚の角煮もいいな。長く食べてない。スタミナ満点で食べがいがある」「それもいいじゃん。よだれが出そうだわ」「魚にする手もある。魚ならば、白身魚の煮込みスープや、カニの茹でたのなんて選択肢もあるよ。私の父がよくカニをうまそうに食ったもんだ」「そういうの、宮廷にいたころ、食べたことがあるわ。皇帝も好んで、豚の角煮やカニ
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