賀の王宮の攻撃で相手の反撃に遭い、芙楽は死んだ。しばらくして、第二夫人の座に返り咲いた。春になり、和やかな曲宴が催された。その晩、久方ぶりに皇帝に抱かれた。着物姿の男の夢を見たのは、翌日の晩だった。夢枕に立った男は顔を下に向け、こう言った。「私を平気で裏切ったあなたには、最高の罰で償ってもらいますから」恨めしそうな口調にゾッとした。「あなた、だれなの?」夢の中の私は男に訊ねた。男は突っ立ったまま、黙って下を向き続けている。「顔くらい見せなさいよ」強く言った。すると、相手はパッと顔を上げた。ギャー!私は相手の顔を指した。男の顔は真っ白で、目も鼻も口もない。いわゆる、のっぺらぼう。顔のない男は、私に近づいた。金縛りに遭い、体が動かない。尻もちをついた。男が覆いかぶさる。馬乗りになり、太い手で私の首を絞め上げる。「やめてぇ。く、く、苦しい」そこでハッと目覚めた。天蓋付きのベッドで上半身を起こした、外はまだ暗い。寝ぼけまなこで周囲を見渡し、フーとため息をついた。ずいぶんひどい夢を見たもんだ。それにしても、あの台詞──私を平気で裏切ったあななには、最高の罰で償ってもらいますから──を他人の口から初めて聞いた。その台詞は、かつて私が夫似の召使の奸計にはまり、投獄されたときに、ふっと頭をよぎったものだ。ニワトリを隼にやれという唆し事件の前までは、私の身の周りの雑務をこなし、よく働くまじめな召使だった。唆しからクーデターまでの一連の出来事は明らかに私への裏切りだった。結果的にクーデターは失敗し、首謀者の召使は十字架にはりつけにされ、自害した。自害後は台にくくられて馬に引かれ、町民の晒し者という罰を受けた。その扱いは充分であり、気分はスッとした。その思いが、今度は自分に向けられていると言うのか?たしかに、石像になった元カレのチョーを見殺しにしてしまった。悪いとは思ったが、行きがかり上、しょうがなかった。第三夫人として愛してくれた馬奈の王芙楽は死亡したのに、私はまだ生きたくてウソを重ねた。皇帝側に寝返った。芙楽と共に自害するとか、捕虜となって投獄されるなんて、まっぴらだ。そんな態度が裏切ったと見なされ、最高の罰を受けよという暗示だったのか。のっぺらぼうの正体は?最高の罰って、何だろう?じつに不気味な夢だ
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