Semua Bab 黒瀬部長は部下を溺愛したい: Bab 21 - Bab 23

23 Bab

CASE:21 寂しかった

「帰ります」「莉央?」「だって疲れてるんですよね」「そういう意味じゃ……」「大丈夫です」 そう言いながらも声は震えてた。「私、平気なので」「……」「これくらい、何ともないですから」「……」「…………」  あ、言っちゃった。 でも止まらない……。「待つのも、平気です」「莉央」「会えなくても……平気、ですから」 嘘。 全部、嘘。 全然平気じゃない。 だけど、溢れる言葉が止まらない。「……寂しく、ないです」 最後の一言で。 自分が泣きそうなのが分かった。「……」   次の瞬間。 ぐいっと腕を引かれる。「っ!」 気づけば抱きしめられていた。 強く、苦しいくらいに。「ごめん」 悲しい低い声が耳元で響く。「……」「……ごめん」 答えない莉央にもう一度落ちる言の葉。 今度は少し掠れていた。 でも……違う、そうじゃない。 こんなことを言って欲しいんじゃないのに……。「莉央」 抱きしめられる腕に力が入る。「あまりにも平気な顔するから」「……」「気づかなかった」 じわ、っと目頭が熱くなる。 首を横に振るけれど。 気づいてほしかったくせに、気づかれたくなかった。「寂しかったんだ」 ぽつりと慧が言う。「え?」 その言葉に顔を上げる。 慧は困ったように笑っていた。「俺も、すっげぇ会いたかった」 その言葉は反則。「朝からずっと……」 あたたかな額が触れ合う。 欲しかった温もりがそこにある。「早く帰りたくて仕方なかった」  ちゅ、っと優しいキスが落ちる。 額に……頬に、髪に。「寂しい時は言ってくれ」 優しく囁くような声。「我慢しないで欲しい」「……」「恋人なんだから」 止められなかった涙が溢れる。 情けないくらい、嬉しくて。「……慧さん」  久しぶりに名前で呼ぶと慧が目を細めた。「ん?」「……」 黙って両手を広げる莉央。 「抱っこ……してください」 言った瞬間、慧が少し驚く。 でも真っ赤な顔した莉央を見てとても嬉しそうに笑った。 「いくらでも」 そう言って抱き上げる腕はいつもより少しだけ、甘かった。 慧の膝の上で幸せを噛みしめる。「……本当は」「ん?」「寂しかったです」「うん」「平気じゃなかったです」「うん」 慧は黙って莉央
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CASE:22 誘拐だからな

 慌ただしい日々が続く。 かれこれ2週間近くゆっくりできていない。 休日も慧と会うことなく、資料作りで潰れてる。 そして今日もあっという間に終業時間を過ぎていて。 デスクにはまだ終わっていない仕事が山積みだった。「あと少し……」 パソコンの画面を見つめながら小さく呟く。 疲れていないわけじゃない。 でも初めて任された大きな仕事。 結果を出したい。 慧に認めてもらいたい。 部長としても恋人としても。 そんな気持ちがあった。 パソコンに向き合っていた莉央は背後からの気配に気づかなかった。「白石」 不意に降りてきた声。 顔を上げると慧が立っている。「あ、部長。お疲れ様です」「何時だと思ってる」 時計を見る。 午後九時半。「あ……」「帰るぞ」「えっ」「帰るぞ」「でもまだ終わってません」「終わってる」「え?」「さっき確認した」 莉央は瞬きを繰り返した。 確かに今日中にやるべき分は終わっている。 でも。「明日の準備が」「明日やれ」「でも……」「白石」 低い声。 嫌な予感がした。 この声は。 慧が何かを決めた時の声だ。「立て」「はい?」「立つんだ」 有無を言わせない空気だった。 莉央は反射的に立ち上がる。 そして15分後。 なぜか莉央は慧の車に乗せられていた。「どこ行くんですか?」「秘密」「怖いんですけど」「誘拐だからな」「部長が言っちゃダメなやつですよ」 思わず笑う。 すると慧が満足そうに口元を緩めた。 その顔を見て、少しだけ胸が温かくなった。 連れて来られたのは海沿いの公園だった。 頬をかすめる夜風が心地いい。 街の灯りが水面に映ってきらきら揺れている。「わぁ……」 思わず声が漏れた。「久しぶりに外の空気吸ったか?」「……そうかもしれません」 言われて気づく。 ここ最近。 会社と家の往復ばかりだった。 休日も資料を読んでいたし。「だろうな」 慧は苦笑した。「根を詰めすぎだ」「そんなこと……」「ある」 遮られてしまう。 「自分じゃ気づいてないだけだ」 図星だった。 莉央は昔からそうだった。 頑張り始めると周りが見えなくなる。 海が見えるベンチに並んでベンチに座る。 しばらく沈黙が続く。 でも不思議と心地よかった。 耳に
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CASE:23 期待していた

 あっという間に数週間が経った。 莉央の毎日は目まぐるしかった。 慧の後押しもあるが、やっぱり初めての案件。 不安もプレッシャーも大きかった。 それでも、頑張ろう、と思えたのは……。 『白石ならできる』 あの日の慧の言葉があったからだ。 もちろんそれだけではないけれど。 そして迎えた、重要な社内プレゼンの日。 営業部だけでなく、企画部や経営陣も出席する。 この案件の方向性を決める重要な会議だった。 莉央は緊張しながらも準備を終え、会議室へ向かった。(大丈夫……)  何度も確認したし、資料も見直した。(問題ない……) そう思っていた。 会議が始まるまでは。「こちらが市場分析データになります」 何度もシュミレーションした通りに進行する莉央。 その時、企画部長が眉をひそめる。 「白石さん」「はい」「この数値、前回資料と違わないか?」「え……」  心臓が跳ねた。 画面を見て、資料を見る。 そして……。 血の気が引いた。 (違う!) 数字が違う。 本来入力するはずだった最新データではなく、修正前のデータが残っている。 しかも重要な部分だった。 会議室が静まり返る。「も……申し訳ありません」 声が震える。 慌てて訂正しようとしたが、頭が真っ白だった。 その時。「続きはこちらで説明します」 慧が立ち上がった。 静かな声で会議はそのまま進行した。 けれど莉央には、その後の内容がほとんど入ってこなかった。 会議終了後。「白石」 慧に呼ばれる。「会議室に来い」 その一言だけだった。 重い足取りで会議室へ向かう。 慧以外はもちろんいない。 ドアが閉まる音がやけに大きく聞こえる。 莉央は俯いたまま立っていた。「今回のミスの原因は?」 慧が口を開く。 声はいつも通り冷静だった。「確認不足です」「なぜ確認不足になった」「……大丈夫だと思ったからです」「思った?」 鋭い声と視線。 莉央の肩が震える。「営業に思い込みは不要だ」  厳しい言葉だった。「数字一つで信用は失われる」「……はい」「今回は社内だったからよかった」 慧の視線が真っ直ぐ向けられる。「だが取引先相手ならどうなっていた?」 何も言えない。 想像するだけでゾッとする。 「白石」 さらに低
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