夜中の1時。 静まり返った部屋の中で、莉央は眠れずにベッドの上でゴロゴロしていた。(……ねむれない)「辛いのか?」 隣で眠っていると思っていた慧が、ふいに目を開ける。「っ、すみません。起こしちゃいましたか?」「いや、起きてた。眠れないのか?」 コクリと頷く莉央を見て、慧は体を起こし彼女の頭をそっと自分の膝にのせた。「じゃ、こっちおいで」「……え?」「眠れない夜は、眠くなるまで甘やかそうって決めてるから」 そう言って、慧は莉央の髪をゆっくり撫でる。「まだしんどいか?」「いえ、大丈夫です。慧さんの看病のおかげです」「そっか。そうだと嬉しい。寝すぎて寝れないか?」「ううん……なんだか……そわそわして寝つけなくて」「じゃあ……」 慧は莉央の手を取り、指を絡める。「莉央が寝るまでこうしていよう」「それは、だめです……」「なぜ?」「………たぶん、ずっとドキドキして寝れないから……」 うっすらと赤い莉央の首筋。 それを見て慧の口角が上がる。「そういうことを言われると、もっとしたくなるなぁ」「え……慧、さん?」 驚いた莉央が慧を見上げると、慧の唇が耳元に触れて……。「……好きだよ」「っ、慧さん!?」「お前が可愛くて仕方ない」 優しくて甘い言葉がぽつぽつ落ちてくる。「す、す、す、ストップ!」「…………」 莉央は両手で慧の口を塞ぐ。 これ以上は恥ずかしすぎて顔が見れない。「もう、わかりましたから……」「………そう? でも俺は……」 慧が優しく莉央の両手首を掴んで。「まだ足りないな……」「っ!?」 柔らかな舌の感触が莉央の手に伝わる。 慧に掴まれた手首のせいで、逃げることはできなかった。「あ、あの……待って……」「クスッ……」 甘い甘い、世界でいちばん心地いい時間は莉央を夢の入口から遠ざけるだけだった。◆ 莉央の風邪が治って数日後の金曜日。 その日は社内の軽い飲み会があった。 部署も役職もバラバラ、他愛もない話題で盛り上がっていたとき……。「そういえば、白石さんって、最近めっちゃ可愛くなったよな~」「わかる! 雰囲気も柔らかいし、あの笑顔……あれは可愛いって」「俺、けっこう気になってるんだよね~。あのタイプ、めちゃ好み」 軽いノリの、男同士の会話。 誰もいないと思っていた背後に男
最終更新日 : 2026-06-14 続きを読む