ガチャリと鍵がかけられる音は、さっき母から受けた平手打ちよりもずっと痛く、胸の奥に大きく響いた。私はドアにすがりつき、両手で必死にバンバンと板目を叩いた。「お母さん!あの薬、本当に使っちゃ駄目だったんだよ!」外からは返事がない。理安の苦しげな泣き声がリビングから玄関へと遠ざかっていく。「車の鍵は!?急いで!」と焦る父の声。「とりあえず病院へ行きましょう。あの子のことは、帰ってからたっぷり思い知らせてやるわ」と、怒りを押し殺した母の声が聞こえた。直後、バタン!と重い玄関のドアが閉まる音がした。物置部屋には、私だけが取り残されてしまった。ここは本来、父が理安のために子ども部屋へ改装しようとしていた場所だ。壁際には新しいフローリング材が積まれ、床には丸められた配線コードが転がっている。そして部屋の隅には、白いポリバケツが二つ置かれていた。「工事の材料には体に悪いものもあるから、絶対に触っちゃ駄目よ」。母は以前そう言っていたのに。さっき私をここに放り込んだとき、母の手の力はすさまじかった。その勢いで弾き飛ばされた私は、暗がりの中でポリバケツにぶつかってしまったのだ。蓋がきちんと閉まっていなかったらしく、隙間からドロリとした白い液体がこぼれ出し、床材を這うようにして私の靴底へと迫ってくる。ツンとするキツい臭いがした。さっきの、理安の薬と同じように鼻の奥を刺す嫌な臭い。私は思わず鼻と口を両手で覆い、ドアのところまで後ずさった。「お母さん……ごめんなさい、私がいけなかったから、お願いだから開けて……!」冷たいドアに耳を押し当ててみるけれど、家の中からは足音一つ聞こえない。もう一度叩いてみたが、すぐに手のひらが赤く腫れて痛むだけだった。このドアは、最近新しく付け替えられたばかりだ。「理安がハイハイするようになったら危ないから、家中のドアを外からロックできるものに替えるんだ」と父が言っていた。あの日、父は私と同じ目線になるようにしゃがみ込み、優しく頭を撫でながらこう言った。「星那はお姉ちゃんなんだから、お父さんとお母さんと一緒に、理安のことを見ててあげてね」――私は、ちゃんとお姉ちゃんとして見ていたのに。理安の喉からぜいぜいと苦しそうな音が鳴り始めたことに、誰よりも早く気づいたのは
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