「学園はどうだ? フィロメニア」「まだ二日目ですが今のところ不自由さは感じません」 次の日、本格的な学園生活が始まった二日目の放課後、フィロメニアの部屋をある人物が尋ねていた。 青色の髪が混じった金髪を長く伸ばした、つり目気味の美男子。 髪も顔もフィロメニアとよく似ている。 それもそのはず。 俺たちとテーブルを挟んで座る彼の名は【ファブリス・ノア・ラウィーリア】。 フィロメニアのひとつ年上の実兄だ。 そして、ついでに言うと攻略対象の一人でもある。 乙女ゲーでもキザでプライドの高いモテ男という設定だが、公爵家の次期当主である自分に媚びを売らないヒロインに対し、興味を持つという流れで恋愛に発展していくキャラクターだ。 ゲーム中ではモテ男にしては珍しく、ヒロインに対し熱心にアタックを仕掛けてくる根は素直な性格だった。 けれど、いかんせんこれまでに努力せずモテてしまっていたせいで不器用でヘンテコな誘い方しかできず、やたらと学園中で顔を合わせる半分ストーカーみたいなヤツである。 けど、今の俺から見たファブリスの評価は少し変わっていた。 俺もお屋敷で働いていたのだから、ファブリスと会話したことは一度や二度じゃない。 お屋敷では実家ということもあって稚拙な部分が隠せていないものの、割と親切な性格だったと思う。『ウィナフレッド。どうだ? 遠方から取り寄せた希少な毛皮を使った外套だ。似合うか?』『わぁ、あったかそう! よかったですね。ファブリス様』『あ、ああ……』 という風に気軽に声をかけてくれていたし。『ウィナフレッド。手が空いているなら私に茶を淹れろ』『畏まりました』『言っておくが私は茶にはうるさいぞ。砂糖など――』『はい。ミルクでお出ししたものに砂糖が三つ、でしたよね。メイド長から聞いています』『あ、ああ、それで……いい』 こんな感じでフィロメ
Last Updated : 2026-06-26 Read more