重厚な実家の扉が背後で閉まり、ガチャリという冷たい金属音が夜の空気に吸い込まれていった。 まとわりつくような生ぬるい風が、火照った頬をそっと撫でる。 街灯のオレンジ色の光が等間隔に落ちるアスファルトの夜道を、紗良と湊斗は並んで歩いていた。遠くを走る車のエンジン音や、どこかの窓から漏れ聞こえるテレビの音が、ひどく現実味を帯びて鼓膜を打つ。 五年間、いや、美波が家に来てからのもっと長い間、紗良の心を縛り付けていた呪縛。それを自らの手で完全に断ち切ったのだ。 ふと、自分の呼吸がひどく浅いことに気がついた。深く息を吸い込もうとすると、胸の奥が微かに痛む。無意識のうちに、肩が石のように強張っていたのだ。外の空気に触れ、静かな夜道を歩き始めて初めて、自分がどれほど全身の筋肉を硬直させてあの場に立っていたのかを悟った。(……終わったんだ。全部) 奪われ続けた日々。自分を押し殺して笑顔を取り繕ってきた日々。長い、長すぎた悪夢が、今度こそ本当に終わったのだ。「お疲れ様でした」 隣を歩く湊斗の、低く穏やかな声が静寂を破った。 ただ、それだけ。過剰な同情も、大げさな慰めの言葉もない、彼らしいシンプルな一言。 けれど、その声の底に流れる絶対的な肯定と、すべてを包み込むような優しさが、紗良の張り詰めていた心の糸をふっと緩めた。 泣くほどのことではないはずだった。自ら望んで証拠を集め、自らの意志ですべてを壊してきたのだから。勝ったのは自分であり、悲劇のヒロインを気取るつもりなど毛頭ない。 それなのに、彼の一言だけで、また目頭が熱く潤んでいくのがわかった。視界がじんわりと滲み、街灯の光がぼやけて広がる。 紗良は必死に瞬きを繰り返し、こみ上げてくる熱いものを喉の奥へと飲み込んだ。「高校のときから、ずっと待っててくれたの?」 震えそうになる声を抑え、少しだけ首を傾けて彼を見上げる。 湊斗の横顔は、街灯の光と影に縁取られてひどく大人びて見えた。彼は紗良の歩幅に合わせて少しだけ歩みを緩め、前方を見据えたまま、ぽつりとこぼした。「待ってたというか、諦められなかっただけです」 自嘲するような、けれどどこか誇らしげな響き。 高校時代、バスケ部のマネージャーだった紗良をいつも目で追っていた彼。あの頃からずっと、彼は紗良のことを見つめ続けてくれていたのだ。私が他の誰かの隣
ปรับปรุงล่าสุด : 2026-07-22 อ่านเพิ่มเติม