桐生涼介(きりゅう りょうすけ)が、またしても若い愛人を家に連れ込んだ時。私はもう騒ぎ立てることはせず、彼らのためにコンドームまで用意してやるほど気が利いていた。事が終わった後、涼介はすやすやと眠る愛人にそっと布団を掛けた。彼はバスローブを羽織ってこちらへ歩み寄り、ドアの枠に寄りかかると、口元に笑みを浮かべた。「今日はずいぶん大人しいな?」涼介は近づき、私の肩口の髪を指でくるくると弄った。その全身からは、事後の生々しく嫌悪感を催す匂いが漂っている。「最初からそうしていればよかったんだ。俺が騒がれるのを一番嫌うこと、知ってるだろう」私、星野澪(ほしの みお)は嫌悪感を露わにしてその手を避け、そのまま離婚協議書を差し出した。「10年の約束の期限が来たわ、涼介。私たち、これでおしまいにしましょう」涼介の笑顔が一瞬強張ったが、書類を受け取ろうとはせず、逆に身を乗り出してきて、その息遣いが私の耳元をかすめた。「新しい駆け引きか?」彼は声を潜め、からかうように言う。私は一歩後ろへ下がり、書類の束を彼の胸元に軽く押し当てた。「サインして」涼介はそこで笑みを収め、伏し目がちに書類の表紙を一瞥した。再び顔を上げた時、その瞳の奥には依然として、気怠げで揺るぎない自信が満ちていた。「結衣のせいか?」涼介は鼻で笑った。「あいつはお前とは違う。何も求めていない。ただ恩返しのために俺と一緒にいるだけだ。わざわざ自分と比べる必要なんてないだろう?」「あなたには関係ないことよ」私は静かに答えた。涼介は私を数秒見つめ、突然声を上げて笑い出した。「いいぜ」彼は振り返り、ベッドサイドの引き出しからペンを取り出すと、素早くサインを書き殴った。「構わないぜ、澪。お前の遊びに付き合ってやるよ。頭が冷えたら運転手に迎えに来させる。今回は後片付けをしてもらう必要はない。何しろ、彼女はまだ目を覚ましていないからな」そう言い終わるや否や、浅野結衣(あさの ゆい)が寝苦しそうに小さな寝息を漏らした。涼介はすぐに振り返り、彼女をあやしに行った。私は主寝室のドアを閉め、ゲストルームに戻って荷物をまとめ始めた。涼介はこれまで、すべての愛人を家に連れ込んできた。外のホテルは落ち着かないが、家は違う。私が隅々ま
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