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第5話

Author: くまキャン
家賃、光熱費、従業員への退職金が重くのしかかり、私は資金繰りのために自分の住むマンションを抵当に入れるしかなかった。

不動産仲介業者の店舗から出てきたその日、ちょうど涼介の車が通りかかるのに出くわした。

結衣は助手席に座り、最新モデルのブランドバッグを手にしながらも、相変わらず塞ぎ込んだような表情を作っていた。

しかし、私を見る目には優越感が満ちていた。

涼介は車の窓を下ろした。その目は笑っていたが、決して笑みは奥まで届いていなかった。

「澪、今になって後悔したか?戻ってきて結衣にきちんと謝るなら、すべて元通りにしてやってもいいぞ」

私は手の中の契約書を強く握りしめ、ただ吐き気だけを覚えた。

「謝罪はもう済ませたわ」

彼は鼻で笑うと、アクセルを踏み込んで走り去った。

車の排気ガスが顔に吹き付け、私はむせて咳き込んだ。

数日後、事務所の管理会社から通知が届いた。涼介がこのフロアごと買い取ったため、三日以内にすべての荷物を撤去しろとのことだった。

がらんとしたオフィスを見渡す。かつて徹夜で図面を引いた時の明かりや、従業員たちと企画を話し合った笑い声が、今ではすべて水の泡となってしまった。

荷物をまとめていると、10年前に初めて賞を取った時のデザイン画を見つけた。その裏には涼介の字が書かれていた。

【澪、お前の才能は世界中に見てもらう価値がある】

突然、涙がこぼれ落ちた。

私が最後の資料の入ったダンボールを運び出そうとした時、黒スーツの男たちが数人入ってきて、有無を言わさず荷物を外へ運び出し始めた。

「社長の命令だ。これらは邪魔だから、すべて処分しろと」

私は止めに入ったが、そのうちの一人に突き飛ばされて床に倒れた。

箱の中の図面が床一面に散らばり、彼らの足で無残に踏みにじられた。

ちょうどその時、涼介から電話がかかってきた。その声にはどこか面白がるような響きが混じっていた。

「澪、辛いだろう?言ったはずだぜ、素直に言うことを聞かないと、もっと悲惨な目に遭うってな」

私は歯を食いしばって何も答えずに電話を切った。ゆっくりと床から立ち上がり、足跡だらけになった図面を拾い集める。

彼が私の事務所を潰し、名誉を地に落としたとしても、私は絶対に屈しない。

だが、彼がここまで徹底的に私を追い詰めるとは思ってもみなかった。

彼はなんと証拠をでっち上げ、私の事務所が脱税していると告発したのだ。国税局の職員が調査に訪れ、私のデザインアーカイブからパソコンまで、すべて差し押さえられた。

私は一夜にして、気鋭のデザイナーから、誰もが忌み嫌う脱税犯へと転落した。

街を歩いていても、顔を上げて人の目を見ることすらできない。

しかし、涼介のあの勝ち誇ったような顔を思い出すたび、ここで倒れるわけにはいかないと自分を奮い立たせた。

私にはまだ最後の一縷の希望が残されていた。

以前応募していた国際的なデザインコンペだ。これで大賞を取れれば、今の最悪な状況を打破できるかもしれない。

コンペの結果が発表され、私は見事に大賞を獲得した。

瞬く間に、ネット上での私の評判は好転した。

再び提携を持ちかけてくる企業も現れ始めた。

しかし、結衣は被害者面をして、私が彼女の作品を盗作したとSNSで訴え出たのだ。

彼女が提示した証拠はどれも、私の作品と彼女のスケッチが酷似していることを巧妙に示していた。

【星野さん、どうして私の名誉を傷つけた上に、私の情熱まで奪おうとするんですか?】

すぐに私はネットで大炎上し、個人情報まで特定された。

多くの配信者や野次馬が正義の鉄槌を下すという名目で私の元に押しかけ、私を取り囲むと、ライブ配信中のスマートフォンを顔に突きつけてきた。

「謝れ!」

「恥知らず!他人を中傷してパクっておいて、よく平気でいられるな!」

「さっさと土下座しろ!」

私は人々に小突かれて倒れ込み、カメラと群衆の前で無理やり土下座させられた。

「申し訳ございません、私がどうかしていました。

申し訳ございません、浅野さん、どうか許してください。

申し訳ございません、もう二度とこんなことはしません」

……

そう言わされてようやく、連中は私を解放してくれた。

散っていく群衆を見つめながら、私はようやく悟った。涼介は、本気で私を社会的に抹殺し、絶望の淵に追いやるつもりなのだと。

彼は私のキャリアを台無しにするだけでなく、私が二度と這い上がれないように徹底的に潰そうとしている。

私は手元の離婚協議書を見つめ、主寝室から聞こえてくる忌まわしい声に耳を傾けながら、完全に心を死なせた。

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