陸side体育祭が終わって数日。教室の後ろには、体育祭の写真が貼られている。「筋肉痛やばい!」と騒いでるやつもいるけど、学校はいつもの日常を取り戻していた。だけど、俺の日常だけは少し違っていた。「陸ー。」教室のドアの前で伊吹が俺に手を振る。「帰るよー!」「うるさい。」そう返しながらも立ち上がる。昔から変わらない。いつものやり取り。なのに、最近は妙に落ち着かなかった。「玲央も行く?」「行く。」三人で廊下を歩く。その途中。前から湊がやって来た。「悪い、待たせた。」「遅い。」「先生に捕まった。」そう言って伊吹の隣に並ぶ。自然だった。あまりにも自然で。まるでそれが当たり前みたいに。「そういえばさ!」伊吹が楽しそうに話し始める。「パン食い競争の時の写真見た!?私の顔、超ひどいの!」「見たよ。あれは超面白かった。さすがカメラマンさん!」湊が笑う。「もう!」そう言って伊吹も笑う。その光景を見た瞬間。胸の奥がざわついた。何だ、これは。理由なんて分からない。分かりたくもない。だけど、気付けば視線が二人を追っていた。帰り道。玲央と二人になる。伊吹は先に帰り、湊はサッカー部へ向かった。青空が広がっている、真っ昼間の通学路。今日は午後は授業がないから早く帰れるんだ。蝉がうるさいくらいに鳴いていた。コンビニの前で止まって、「ちょっと悪い、飲み物買ってくる。」と言って玲央は中に入っていった。俺はぼーっとしていた。空を見て、まぶしい太陽を見て、しばらくすると、玲央がコンビニから出てきた。片手にジュースを持っている。「待たせた。…何ぼーっとしてるんだ?」と俺を見た玲央が不思議そうに声をかけた。しばらく沈黙が続く。俺は何度も口を開きかけては閉じた。言うつもりなんてなかった。言葉にしたら、認めることになる気がしたから。それなのに。胸の奥で溜まり続けていた気持ちは、もう押し込めておけなかった。まるで口だけが勝手に本当の気持ちを伝えようとしているみたいだった。そして、「なあ。」俺から口を開いた。「ん?」玲央は前を向いたまま返事をする。「最近さ。」俺は頭をかいた。言葉がうまく出てこない。だけど、このまま黙っている方が苦しかった。「伊吹が湊と話してると
最後更新 : 2026-07-10 閱讀更多