All Chapters of カーストゲーム~学園底辺から成り上がり、俺を操っていた女に復讐しようとしたら最高の彼女が出来た件~: Chapter 31 - Chapter 40

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わかってくれ

「やー……こういっちゃなんだけどよ。須藤、お前ほんっとここまでするくらいだったんだな?」「我ながらどうしてと言うべきか、アプリの効果ってやべぇと言うべきか。お恥ずかしい限りです」 無事に退院できた先輩を家に招けば、設備を見るなりなんとも言えない顔をされた。「で、でででで、でもですね!? すっごく、練習環境として、さ、さいきょー! で、ですから、ね!?」「その通り過ぎるはそうだけどな? とりあえず、先に謝っとくわ。二人の愛の巣にお邪魔して悪いなって」「あいぃっ!? あ、ああああっ、あい、あいあい……」「……須藤?」 困ったような顔に変えて俺を見てくる先輩へと黙って首を横に振る。「ああいう事があった後だからってわけじゃないなら、良いんだけどさ」「葵のコレはもとからっす。つか、気にしてないって言わなかったの?」「うっ――い、言って、ません……はい。で、でででもっ! あ、アプリのせいだって、わかったし! ほんと気にして、ませんからっ!」「そっかよ。なら、ありがたい。でも改めて悪かった。どう償えばいいかわかんねぇけど、何かあったら力になるって約束するし、先んじて合宿終わりまでマジ全力で協力するから、友崎もよろしくな」 二人の関係に関してはどうにもならないとはならなくてよかった。 とりあえず俺としては背中に隠れながら会話されるのを何とかしないといけないと思いつつではあるが……先輩が気にしてないというよりは、気を使ってくれてるのもわかる。 多分、この三人で成果を出すためにはまずこの辺りを何とかしないといけないだろう。「先輩?」「おん?」 とはいえ、あまり問題にならないと思っていたりもする。「まずは、一緒にプレイしてみましょっか」「あぁ、そうだな。んじゃ、デバイス繋げてさせてもらうぞ? スペックは大丈夫そうだが、テストもしていいか?」「もちろんです」「あいよ」 中々の荷物になったプレイデバイスの設定をお願いする。 奮発したおかげか、このPCなら三人まで同時に接続しても大丈夫らしいが、正直詳しくはないので何とも言えないが。「葵」「ん? なにかな?」 先輩が少し離れたからか、自然体の葵へと振り返って。「いつも通りで大丈夫だ、少なくともプレイしている間は」「大丈夫って……えぇと?」「俺とのことだけ考えてりゃいいってことだよ。まず
last updateLast Updated : 2026-07-23
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作戦会議

 上手く誤魔化されたのか、それとも本当にそうとしか言えないのか。 ともあれ葵の真意ってのは今一つわからないままではあるが。「――そうだな。そういう形が一番だと思うよ、オレも」「結局葵にキャリーしてもらう形、それ以外には目がないって葵も言ってましたけど、先輩もそう思うんですか?」 夏休みが始まり、先輩と外で作戦会議という名の昼飯を一緒にしている。「オレとしてもお前ら二人についていくのはぶっちゃけキツイよ。オレが足を引っ張ってしまうって意味でな」「まじすか」「マジもマジだよ。部長も言ってたけど、お前らは二人で完成されているんだ。他の誰かや何かが介入しちゃその完成度は著しく落ちる。そういう意味でも、オレがソロでタンクロールして、お前が友崎を育てて、育った友崎が試合を決める。多分、これしかないだろうな」 さも当然と先輩は涼しい顔をして言ったけど、いまいち実感がない。「はぁ。自覚なさそうだな?」「す、すみません」「謝る事じゃねぇよ。仮にオレがお前の位置に居ても戸惑ってたよ、急な高評価にさ」「先輩でも、ですか」 少しだけほっとしてしまう。 葵とセットの自分ってヤツの評価は沢山聞くことができたけど、いまいち信じてはいなかったから。 それこそ、やる気にさせてこのまま実力をあげてもらうなんてやり方の一つだろうなって思ってた。「しかし……やっぱはっきり言って、異常だな」「葵のプレイングはそう言えるくらいなんすね」「ちげぇよ、オレが今言ってんのはお前だよ、須藤。お前が異常なんだ」「……俺が、ですか?」 なんて安堵は、どうにもしていられないらしく。 呆れてるわけでもなく、真剣に。「あの友崎葵ってプレイヤーに、合わせられるようになったお前が、何より異常だよ」 視線を真っすぐぶつけながら、言ってきた。「少なくともオレにゃあ無理だ。あえての言い方をするが、友崎は物凄い自己中心的なプレイヤーだ。他人どころか一緒のチームメイトにすら思考を割かない。現にこの間一緒にしたプレイだってそうだ、オレも混ざっての3on3だったが、オレってプレイヤーはあの子の頭になかっただろうよ」「……それは」 否定は、出来ない。 多分一緒にやった試合のほぼ全て、先輩がいようがいまいが結果に影響はなかったと思う。「ま、それが悪いってわけじゃねぇよ。オレが言いてぇのはお前
last updateLast Updated : 2026-07-25
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めちゃくちゃにされたい

「あー……なるほど、確かにそうかもしれない、ね」 帰ってきてみればやっぱりPCにかじりついていた葵だったが、俺の姿を見るなり区切りをつけてお茶を淹れてくれて、同じソファに横並びで座ってきた。 何処となく照れくさいというか、そんな気持ちを味わいながら先輩の話を伝えてみれば納得顔でうんうん頷かれる。「そうかもって?」「んー……あくまでもあたしの感想だけど。城山先輩ってアナライザーとしての素質があると思うんだ」「アナライザー?」「自分や相手チームの傾向とかを考察して、対策を考えたり指示したりする人のことだよ」 ほほう、そういう役割の人もいるのか。 なんというかやっぱちゃんとした競技なんだなとか思うね。 やってることはコーチに近い、のかな? 何にしてもマネージャーとかそういう位置に相当する人までいるのか。「城山先輩自身も、うん。上手いというか、必要なスキルがある程度高い次元でまとまってる人で、各種役割への理解も深いプレイヤーだし、達也君とは違う意味で視野が広いんだよね」「ほほー……いや、たったちょっとだけ一緒にプレイしただけでそこまで見える葵が凄いよ」「根拠がないっていうか、あくまでもただのあたしの感想、だよ。あ、嫉妬しちゃった? ごめんね? あたしの最推しは達也君だから!」「いや、そう言うのは良いって」 やっぱTPBRについて語る時の葵は人が変わるよね、嫉妬とか感じてる暇がない。「そう? で、だけど。プレイスタイルって面を見れば先輩の言う通りだと思うんだ。あたしは達也君がゲーム内にいるってことを前提にしたプレイへ変化したけど、達也君自身は元から誰かを支える、サポートするってプレイは変わってない」「ああ、中身を問わないでというか、元からのプレイスタイルを葵にチューニングしただけってのは、なんとなくわかるよ」「うん。そうできたって言うのが先輩の言うところの異常って部分なんだけど……それは置いておいて。考え方は変えないでプレイスタイルを変えることが出来たら、達也君は化けるかもしれない。そうだね、あたしも同感だなって思ったの」 なんかややこしくなってきたな。 考え方は変えないでプレイスタイルを変える? うーん、いまいちイメージが湧いてこない。「それはつまり、役割を変えるって言うか。葵とコンビを組まないで動いてみるっていうことか?」「うー
last updateLast Updated : 2026-07-26
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火の玉ストレート

 さて、相変わらずエロにまっすぐストレートな葵はともかくとしてリクエストは抱き潰されたいとの事。 と言っても俺にそんなテクだどうのと言われても困るのも確かである。 初心者相手になんともハードル高いことを求めるものだと思ったりもするけど、ぶっちゃけ葵の無茶ぶりはデフォルトのような気もするし……何の効果が良いだろうかと探してみたところ。「ま、マジカルチンポて」「っ! そ、それっ! それがいいっ!」 ベッドの上で裸になって俺のスマホを一緒に確認すればそんな効果が見つかった。 この単語が意味するところは分からないが、葵の食いつきを見るにリクエストに応えることはできるらしい。「えーと何々? 消費ポイントは任意で、消費した分の日数効果が維持される、と」「は、はやくシよっ! あ、あたし待ち切れな――」「はいステイ」「ぷぎゅ」 葵の顔にアイアンクローを優しくかましておく。 消費が任意だってのは助かるポイントだなと思いながら他の効果も確認してみれば、肉体能力向上だなんだも同じように消費したポイントがそのまま効果持続時間となるみたいだ。 で、葵が示した性的なアプリ効果を使用した上で異性を抱くってのを達成すればポイントはやっぱり5ポイント貰えるらしい。「はぁむっ♡」「うぉ……」 ふむふむと確認を続けていれば待ちきれなくなってきたのか葵がアイアンクローしてた手を取って、指を舐めてきた。「た、つやくぅん♡ は、はやく♡ はやくシよぉ♡ あたし、達也君のマジチン♡ とってもたのしみなんだぁ♡」「お前ってヤツは……ったく」 エロ過ぎる共犯者さんですことってね。 おかげで早くも勃起してしまったよ、ムラムラしてしょうがない。 とりあえずコレだけ確認できれば問題ないかと内心でため息をついた後にマジカルチンポの効果をオンにする。「ん……うん、特になにも変わったような感じはしないけど」 目に見えての変化とかは無くて、何ならいつもと変わらない感じではあるけれども。「シた? マジチンになった?」「うん。とりあえず1ポイント消費で様子を――ってちょ」「いただきまぁすっ♡ はぁむっ♡」 いや、速攻しゃぶりにいかんでも。 あーでもやっぱ気持ちいいな、葵の舌がちんこを這いまわる感触とか、口の中の温かさとか。「気持ち――」「ふ――んんんんんっ♡♡♡」「――
last updateLast Updated : 2026-07-28
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篠崎百合②

 結局のところ、須藤達也という男へ最初に目を付けたのは正解だったのだろう。 彼は、私、篠崎百合という女を飾り立てるために必要な人間だった。 直感に従ったのみではあったけれど、あえて言うのならば直感に殉じ切ることが出来なかったことこそが私のミスであり後悔だ。「とはいえ、まさかではあるのよね」 夏休み最後の講義を右から左に聞き流しながら考える。 一緒に受けているはずだった彼の姿はここにないことを見るに、物理的な接触を控える方向で動いているのだろう、臆病者めと思うが正解だ。 いや、そうまさかだった。 彼がアプリを所有したなんて完全に思案の外だったのよ。 経験から一つの組織にアプリを持つものは二人いないと思っていたけれど、その考えを否定されてしまった。「つまり、他にも現れる可能性があるということ」 これは大きな不利だ。 何が不利だって、須藤は考慮しなくてよくても、私はその可能性を無視できないという点ね。 須藤にのみ注意を配って出し抜くだけならどうということはないのだけれど。 他にも所有者が現れるかもしれないという可能性に備えなければならない以上、安易な権能の使用は控えなければならない。「まったく、厄介な……」 重ねて、須藤だけなら気に掛ける必要はほぼ無い。 善良が服を着て歩いているような男だ、アプリを使用することに抵抗があるだろうし、思い切った命令や権能の使用はまず無理なはず。 いや、言い切ってもいい。 須藤達也という男は、カーストアプリを使いこなせないと。「だからこそ……友崎葵が不気味ね」 私にとって大きな障害になり得るのはあの芋女だ。 あの子がどういう子なのかという部分が全くわからないが、もしも私と同じような人間だとしたなら……思い切ったことができる可能性は大いに否定できないのだから。「……私と同じような、か」 ありきたりな話だからこそ、やっぱりその可能性はある。 ただ、救いと思うべきなのでしょうね、彼女にそう言った欲みたいなものが見えないことは。 けどそう、だというのに彼女のプレイは人を惹きつける。 私が思わず心の底から本物だと認めてしまうほどに。「ふぅ。だめね、中々にダメージを受けているじゃない、百合」 頭を振って切り替える。 特別自分のことを強い人間だとは思っていないし、思えない。 こうして予定外の予想
last updateLast Updated : 2026-07-30
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お似合い

「篠崎の実力?」「はい。アプリで一時的なブーストができるって言うのはわかったんですけど、そもそもどの程度なのかって部分を確認する必要もあるかなと思って」 夏休みに入って少し。 先輩はバイトがない日は基本的にうちへ来て一緒に練習してくれている。 今日も三人での練習日で、いつものように何回か試合をした後の休憩中、少し気になっていたことを聞いてみた。「あー……そだな、まず友崎はどう思う?」「えうっ!? あ、ああああ、あたし、ですか!?」「いやそんな驚かんでも。いい加減慣れてくれって思うのは甘い考えなのかねぇ……」「そ、そそ、そんな、ことは……あ、あうぅ」 こっち見んなとでも言ってやるべきか。 いい加減にかどうかは何とも言えない所ではあるけど、連携を深めるって意味から見ればそろそろある程度まともに話せるようになった方がいいとは思う。「……えと、その」 そんな風に考えながら葵へと首を横に振れば、肩をがっくり落とした後軽く頭を振って。「あた、しとしては、ですけど」「うんうん」「せ、先輩の見立てのが、多分、正確だと、思ってるんです。だ、だから、まず先輩の意見を先に、聞きたい、です」「……おー。な、なんかちょっと感動するんだけど須藤?」 顔を真っ赤に、言葉尻をすぼめながらも葵は言い切った。 言えたじゃねぇか! なんて持て囃したい気分ではあるが、とりあえず大袈裟に捉えられても葵が困るだろう。「あー、わかった、悪い。そう、だな。念を押して、オレの言う通りだなんて同調は――」「ぜっ、絶対それはないですっ!」「……おう、今度はマジで悪い」 一つ大きく深呼吸した後、先輩は小さく頷いて。「一言で言うなら、折れた友崎って感じだな」「折れた、葵?」「……」 ちらりと葵を見ればなんとなく分かったというか、同意してるんだろう頷いていた。「須藤はバスケをやってたんだよな?」「ええ、まぁ」「だったらわかると思うが、練習したり試合したりするなかでいろんな壁ってのにぶつかるだろう? オレはバスケ未経験だから上手く言えねぇけど、シュートの成功率だとかドリブルが上手くなるためにはとかさ」 ……なんとなく、わかる。 確かに、目に見えない壁へぶつかって、乗り越えるためにもっと練習して、研究しての繰り返しはあったから。「実力は、間違いなくある。それは折れ
last updateLast Updated : 2026-08-03
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相棒の応援

 先輩が言ったオールソロってのが気になる、というか引っ掛かる。「葵? EUスタイルってのはなんでメジャーと呼ばれなくなったんだ?」「端的に言っちゃえば対応できる幅が狭くて、効果も限定的になるから、かな」「幅が狭くて限定的?」 先輩が帰った後、居残り練習と言えばそうだが。 もうなんか半ば同棲に近いレベルで当たり前の顔して居座っている葵が、柔らかく笑顔を浮かべながらそんなことを言う。「浅く広くと、狭く深くって違い……って言うのもわかりにくいか。えと、ものすごく乱暴な言い方になっちゃうけど、EUスタイルはね? チームが持つ戦術に対して対策しなくても、人に対して対策をすればそれで終わっちゃうんだ」 ……なんとなく見えてきた。「NAスタイル自体が持つ戦術の豊富さ、幅が広ければ対策を打つにしても多くの物を考えなきゃならないのに対して、EUスタイルはその人だけを深く考察して対策すればいい。つまり、考え方によっては取るべき対策が少なく、深い練習しやすいって側面があるわけだ」「そうそう! 上手く言えなくてごめんね? やっぱり初心者でもある程度取っつきやすいのがNAスタイルと言うか、多くの意味で完成されたスタイルだから……プロシーンって言うメタ、対策ありきの試合でもなければEUスタイルは見ないこともあって、難しいんだ」 メタ、つまりは対策ありきの試合でもなければ、か。 確かにプロチームって言うのは有名だ。 個人での配信だってアーカイブされているものの入手は容易だし、大会に出場していれば多くのチームリプレイが集まり、研究もされやすい。 なら、そう言う露出された情報を基にアナライザーが研究しチームプレイに反映するって流れがあって然るべきとなるわけだ。「……深いな、TPBRは」「あ、あはは。TPBRを好きになってと言うか、夢中になってくれて嬉しいって言うのが一番だけど。でも多分ね? バスケットボールでも……うん、それこそ多くの競技でそこは同じことだとも、思うよ?」「あー……そっか、うん。確かに、その通りだよ、葵」「にぇっへっへっ。良かった、間違ってなくて」 なんだその笑いは。 と言うか近いな? いつの間にすり寄って――あぁもう肩に頭を乗せるなって、いい匂いが過ぎる。「バスケと、多くの競技と同じ、かぁ……」 なんかこのままいつものスケベな流れに突入し
last updateLast Updated : 2026-08-06
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普通なら

 普通なら。 ――少し、お話できませんか? なんてメールが女から夜に来ればテンション上がるってもんだし、何ならコンビニか薬局でゴムでも買って来なきゃなーとかスキップしてるんだろうが。「うげ」 居酒屋でのバイト休憩中、スマホに届いたメッセとその差出人の名前を見て出たオレの言葉はそんなもんだった。「おん? なんだ城山、まぁた女絡みか?」「え? しろっちまた修羅場ってんの? いい加減落ち着け―? ウチに就職の話なくなるぞー?」「いやあの、とりあえず普段オレんことどういう目で見てるのかよぉくわかって泣きそうなんスけどいいっスか」「なはは! 冗談だ――って言えないのが城山だよ。ちゃんと紳士かつ真摯に返事しとけー?」 店長と社員さんたちから頂く温かい言葉に涙が出るね、たまらんよ。 けどま、そう言う風に見られるなんてのは慣れてるし、自分でもチャラい男だなってのは自覚もしてる。 つまるところノーダメージってやつだ。 何せ、ほんとに一歩間違えたらやらかしてた男なわけだしさ。「ん? どうした? 返事しないのか?」「いや……どう返したもんかな、と」「めずらし。何? ガチの修羅場? そーだんのろか?」「修羅場ってわけじゃないんスけどね」 メッセを送って来たのは友崎だ。 正直、オレのことは怖いとまだ思ってるだろう、あんなコトがあったわけだし。 何よりそれこそ見た目からして相性最悪と言えるだろう。 須藤がいなきゃマジで関りなんて持ってなかったと言える相手だ。 もしかしたら、セフレでワンチャン、なんて可能性はあったかもしれないが。「……反省足りてねぇな、オレ」「お? なんか言ったか?」「なんでもねーっスよ。修羅場じゃないだろうけど、何の話されるかわかんねって意味で怖いってだけっス」「ほぉん?」 そう、ぶっちゃけ色んな意味であり得ないって相手だ、友崎って女の子は。 須藤がいなきゃ、友崎のことを面白い女の子だとも思わなかっただろう。 篠崎がいなきゃ、実はエロい身体つきでそそる女の子だとも思わなかっただろう。 同じサークルの違う場所で、ほんと陸に住んでるか海に住んでるかみたいな違いを抱えて、関りなんて生まれなかった。「……よし、っと」 それでもこうして、バイトが終わった後なら大丈夫だよ、なんて返事を送ってしまうのは何故なのか。 言わずと
last updateLast Updated : 2026-08-08
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「――じゃ、またアイツの家でな」「は、ひゃいっ! あ、ありがとうございましちゃ! ……か、かんだ」「あはは。ま、オレのはまだそれでいいと思うよ。加えて言うのなら、達也に悪いから今度はせめて了解くらいは取っておいて欲しいな」「りょ、りょうかい? え、えと、わ、わかりました」 城山先輩に家の近くまで送ってもらった。 あたしの返事を聞いた城山先輩は何とも言えない顔をした後車で帰っていく。 了解って、何の了解を取るんだろう? いまいちよくわからないけれど……それにしても我ながら勇気を振り絞ったものだと思う。 まさかあたしが達也君以外とも話そうと思うなんてね。いや、それは達也君相手にでも思っていておかしくないことなんだけど。「あれ?」 頭を捻りながら久しぶりの家に帰ってきてみれば、灯りがついていた。 ちらりとガレージを覗いてみれば、お父さんではなく……お姉ちゃんの車が止まっていて。「た、ただいまー」「ん? あおちゃんおかえりー!」 ちょうどお風呂上りだったらしい、シャツとパンツだけなんて言うお姉ちゃんがいた。「お仕事、お休み? いつ帰って来てたの?」「ちょうど二時間くらい前かな? お盆にはちょっと早いけれど、ずっと缶詰だったしって言われちゃってね。むしろ仕事してないほうが疲れちゃうんだけどなー」「あはは。お姉ちゃんらしいなぁ」 そういうお姉ちゃんはうずうずしているというか、好きなことを仕事にしてる人だしほんとにそうなんだろう。「にしてもあおちゃん?」「うん?」「こーんな夜中まで、どこ行ってたのかなー?」 どこ行ってたって。 というかなんでそんなにやにやして近寄ってくるのかな?「お盆過ぎにサークルの選抜大会があってね。その練習でチームの人の家で練習してたんだ」「……え˝?」「な、何? その反応にどうあたしは返事したらいいの?」「い、いやー……ちょぉっと予想以上の返事が返って来たというか、お姉ちゃん的には彼氏ができたからって返事を期待していたって言うか」「か、かかか、かれしっ!?」 かれしって、彼氏ってこと!? た、達也君はあたしの彼氏だった!?「……にへぇ」「あ、当たらからずともだったり? ほほーん?」 達也君があたしの彼氏、恋人……じゅ、じゅるり。 い、いかんですよあたし! にやにやが止まりませんぞあたしって
last updateLast Updated : 2026-08-13
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どこにでもある壁

「あ、あー……達也? まぁなんだ、初心者だったら大体通る道だしだな?」「う、うんうん! せ、洗礼っていうか! 最初の壁って、言うか!」「わかっては、いるんだけど、ね」 どうにも気落ちが止められない。 理由は簡単で、ソロでTPBRをプレイするようになってから、野良で一緒になるチームメイトからの温かいご指摘というヤツに思い悩んでいる。「はぁ。いや、ネットだからってのはほんとわかってる。わかってるんだけど」 当たり前だが一緒するヤツ皆が皆、葵や先輩のような人ではない。 もっと言えば年下、極論小学生なんかもいるわけだ、そんな相手に画面の向こうにいる人も人間ですよと説いたところであまり意味はないだろう。 そういう意味でも、わかっている……はずではあったんだけどなぁ。「……ん。達也君」「うん?」 いつまでも落ち込んでいたら情けない。 そう思って切り替えるべく頭を振った時だった。「仕方ないよ。だって、達也君下手くそだもん」「ちょっ!? 友崎ちゃんってば大胆ね!?」「っ……」 さっきまでの気遣うような声色じゃなく、葵がまっすぐただ事実をそうだというように。「城山先輩もそう思いますよね? 今まで達也君は知ってる相手とだけプレイするって言うぬるま湯に浸かっていただけで、多くの人が通る道をスキップしてるって」「うぐ……」 いまいち何を言われているのかがわからないまま、葵は先輩に話を振った。 水を向けられた先輩は、言葉に詰まった後大きく深呼吸をして。「……その通りだわな。正直、んなもん傷つくつかないのレベルじゃあない。いや、その場で感情的になってしまうことはあっても、直ぐに忘れるようなモンだし――」「城山先輩」「っ……あぁもうっ! ほんっと友崎はTPBRになるとガチだな……! 達也、友崎だけじゃない、オレもそう思ってるって前置きしたうえで言うぞ? お前、まだ傷ついていい段階じゃねぇよ」 それは、ゲーム中に知らない相手からぶつけられる言葉よりも、遥かに痛くて。「達也君みたいな人がまったくいないわけじゃ、ないよ。けどね? プロになっていたかもしれない可能性や実力を持ってるお姫様に勝つなんて、大それた目標を持ったプレイヤーがいちいち雑音に気を揉むなんて……笑っちゃうかな」「……葵」 葵の評価、ことTPBRに関しては飾らない。 だから、そう
last updateLast Updated : 2026-08-14
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