Tous les chapitres de : Chapitre 21 - Chapitre 30

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21話 回復と準備

 翌朝、小鈴は広場の隅に座っていた。 膝を抱え、虚ろな目で地面を見ていた。昨夜と同じ姿だった。眠れなかったのだろう。目の下が暗かった。 秦良玉が傍にいた。 何も言わなかった。ただそこにいた。 アニスが朝食を運んできた。小鈴の前に器を置いた。「食べられそうですか」 小鈴は器を見た。「……少しだけ」 それだけ言った。 アニスは何も言わずに頷いた。◆ セシルは浴場から出てきた後、広場の隅で膝をついていた。 目を閉じ、何かを呟いていた。 祈りだった。 レイナが近づいた。「セシル」 セシルは顔を上げなかった。「……神は、私を見捨てたのでしょうか」 レイナは少し黙った。「見捨てていない」「でも私は……あんな目に……」「お前はまだここにいる」 セシルはレイナを見た。 レイナは視線を外さなかった。「それだけで十分だ」 セシルは唇を噛んだ。 声を殺して、泣いた。 レイナは何も言わなかった。ただ傍に立っていた。◆ 俺は小鈴に声をかけた。「小鈴」 小鈴が顔を上げた。「無理するな。今日は休め」 小鈴は少し黙った。「……申し訳ありません」「謝るな」 小鈴は俯いた。「また……弱いところを見せてしまいました」「弱くない」 俺は少し間を置いた。「あの状況で誰でも同じになる。お前だけじゃない」 小鈴は答えなかった。 だが肩の力が、少し抜けた。◆ 7階の敗因を整理した。 三つあった。 一つ目。ダルダニヤンがサキュバスの魔力に絡め取られた。精神系の魔法への耐性がなかった。 二つ目。セシルが力勝負で負けた。今のレベルでは純粋な筋力差を覆せない。 三つ目。小鈴が色魔師のトラウマ攻撃に崩された。精神防御が必要だ。 だが問題はそこだけではなかった。 7階の対戦相手はランダムだ。次の挑戦で同じ相手が来る保証はない。ダルダニヤンが再びサキュバスと当たるとは限らない。小鈴が再び色魔師と当たるとも限らない。「全員が全方位の耐性を持つ必要がある」 俺は呟いた。 魔法耐性。精神防御。物理耐久。回復手段。 五人全員に対して、それぞれの弱点を補う準備が必要だった。 だが今、セシルと小鈴は戦線を離脱している。 戦える者はレイナ、ダルダニヤン、孫尚香、そして秦良玉の四人だけだ。 7階は五つの闘技場がある。四人では一戦
last updateDernière mise à jour : 2026-07-02
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22話 露店と回復

 露店を開いた。  町の一角に場所を確保し、リズが作った武器とサラが調合したポーションを並べた。  最初は様子見だった。通りを歩くキャラたちが立ち止まり、品物を眺めていた。 リズが緊張した顔で俺の視点カメラを見た。 「……売れますかね」 「待て」  しばらくして、一人が手を伸ばした。  ポーションだった。 「これ、いくらですか」  サラが値段を答えた。 買われた。  次の客が来た。また来た。  昼過ぎには在庫が半分になっていた。 「……売れてる」  リズが呟いた。目が輝いていた。 「当たり前だ。需要はある」  俺は内心で少し安堵していた。◆  ゴールドが積み上がった。  露店の売り上げだけではなかった。ゴールドダンジョンの周回も並行して続けた。レイナ、ダルダニヤン、孫尚香の三人でひたすら回した。 秦良玉は引き続き教官として拠点に残った。  訓練兵五人の動きが、少しずつ形になってきていた。秦良玉の指導は相変わらず厳しかったが、訓練兵たちも慣れてきていた。 夕方、訓練を終えた訓練兵の一人がアニスの厨房を手伝い始めた。  アニスが少し驚いた顔をした。 「手伝ってくれるんですか」 「はい。何か出来ることがあればと思って」  アニスは微笑んだ。 「ありがとうございます。じゃあこれを」  拠点が、少しずつ生活の場になってきていた。◆  セシルの変化は、少しずつだった。  特訓は続けていた。盾を構え、ダルダニヤンの攻撃を受け続けた。  だが時折、手が止まることがあった。  ダルダニヤンが踏み込んだ瞬間、セシルの目が一瞬遠くなった。  ダルダニヤンが攻撃を止めた。「……大丈夫か」 「……はい」  セシルは首を振った。盾を構え直した。 「来てください」  ダルダニヤンは少し黙ってから、頷いた。  また踏み込んだ。  セシルは受けた。今度は手が止まらなかった。  それを繰り返した。  何度目かの後、セシルが口を開いた。「……ダルダニヤン」 「何だ」 「あなたは……怖くなかったのですか。サキュバスに」  ダルダニヤンは少し考えた。 「怖かった。というより、気持ちよかった。それが余計に怖かった」  セシルは少し黙った。 「私は……痛かっただけです。気持ちよくなどならなかった」 「そうか」
last updateDernière mise à jour : 2026-07-02
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23話 塔7回再挑戦 

 セシルが広場に出てきた。 盾を構えた。新しい盾だった。リズが強化を重ねた一品だ。前のものより厚く、重く、そして堅かった。「……行けそうか」 俺が聞いた。「行きます」 迷いのない声だった。 小鈴も広場に出てきた。 顔色がまだ完全ではなかった。だが目が違った。先週の虚ろな目ではなかった。「小鈴、無理するな」「無理ではありません」 小鈴は俺を見た。「……あの色魔師を、倒したいんです」 静かな声だった。だが芯があった。◆ 全員に魔法耐性アイテムを配った。 町で買ったものとリズが作ったものを組み合わせた。完璧ではないが、前回よりは遥かにマシだ。 ダルダニヤンが指輪を眺めた。「これで前回みたいにはならない」「そうだ」「……サキュバスにも通じるか」「通じる。ただし油断するな」 ダルダニヤンは少し笑った。「今度は俺が翻弄してやる」 レイナが冷たい目で見た。「調子に乗るな」「分かってる」 孫尚香は装備を確認しながら、静かに息を吐いた。 セシルは盾を一度強く握り、頷いた。 秦良玉が全員を見回した。「行くぞ」 将軍の声だった。◆ 7階の扉を開けた。 五つの闘技場が広がっていた。 小鈴が第2闘技場の前に立った。「私が最初に行きます」 全員が小鈴を見た。「……本当に大丈夫か」 俺が聞いた。「大丈夫です」 小鈴は扉に手をかけた。「あの色魔師は、私のことをもう一度壊せると思っているはずです。だから私が行かなければなりません」 扉を開けた。◆ 映像が流れ始めた。 色魔師が小鈴を見た。不気味な笑みが浮かんだ。「また来たか。懲りな
last updateDernière mise à jour : 2026-07-03
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24話 7階再挑戦 SMと裸踊り 

 二勝した。 あと一勝で勝ち越しだ。 残る三人はレイナ、孫尚香、セシル。 三人のうち一人が勝てばいい。 だが油断はできなかった。相手はランダムだ。何が出るか分からない。「レイナ、行けるか」「当然だ」 レイナは剣の柄を握り直した。 第5闘技場の前に立った。「負けるなよ」 ダルダニヤンが言った。「お前に言われたくない」 レイナは扉を開けた。◆ 映像が流れ始めた。 闘技場は暗かった。 天井から鎖が垂れていた。壁に拷問道具が並んでいた。 奥から足音がした。 現れたのは女だった。 長身で細身。肌が濃い青みがかった褐色だった。白い長髪が腰まで伸びていた。黒い革の衣装が体に張り付いていた。手に長い鞭を持っていた。 ダークエルフだった。 その目が細くなった。「……いい獲物が来た」 低く、艶のある声だった。 レイナは剣を構えた。「かかってこい」「焦らなくていいわ。たっぷり楽しみましょう」 鞭が空気を切った。 レイナが避けた。だが鞭は軌道を変えた。 レイナの剣首に絡みついた。「……っ!」 引っ張られた。剣が手から離れた。「剣を手放すのは早かったわね」 レイナは素手で構えた。「まだ終わってない」「そうね。ここからが本番よ」◆ ダークエルフの鞭が再びしなり、レイナの両手首に絡みついた。「っ……!」 一瞬で両腕が頭上に引き上げられ、鎖の垂れた天井に固定された。 レイナの体が吊るされるような形になる。「動かないで。すぐに気持ちよくしてあげる」 ダークエルフが艶やかな声で囁き、革の衣装から蝋燭を取り出した。 火を灯すと、熱い蝋がレイナの胸の谷間からゆっくりと垂らされた。「熱っ&hellip
last updateDernière mise à jour : 2026-07-03
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25話 7階再挑戦 貞操帯

 映像が流れ始めた。 第1闘技場。 石畳の床。高い天井。 対角から足音がした。 重い足音だった。 セシルの体が一瞬強張った。 知っている足音だった。 オーク戦士だった。 前回と同じ個体かどうかは分からなかった。だが同じ種類だった。緑がかった肌、太い腕、小さな目。手に持つ斧が、セシルの盾より大きかった。 オークはセシルを見た。 そして、笑った。「また来たか、小娘」 セシルは答えなかった。 盾を構えた。 前回と同じ構えだった。だが目が違った。◆ 外で見ていた全員が黙って映像を見つめていた。 レイナが拳を握りしめていた。「……セシル」 小鈴は両手を胸の前で組んだ。 ダルダニヤンは腕を組み、映像から目を離さなかった。 孫尚香はまだ酔いが残っているのか、壁に寄りかかりながらも映像を見ていた。 秦良玉は無言で立っていた。◆ オークが突進した。 セシルは盾で受けた。 前回と同じ衝撃だった。足が滑った。押し込まれた。 だが今回は違った。 セシルは足を踏ん張り直した。「……まだだ」 オークが斧を振り上げた。 セシルは盾を傾け、斧の軌道を流した。 反撃した。盾の縁でオークの膝を打った。 オークがよろめいた。 セシルは距離を取った。呼吸を整えた。 前回もここまでは同じだった。 オークが唸った。今度は慎重に近づいてきた。 セシルは盾を構えたまま、動かなかった。 オークの斧が横薙ぎに来た。 セシルは受けた。体が横に吹き飛んだ。壁に激突した。「…&hell
last updateDernière mise à jour : 2026-07-04
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26話 雷帝と失禁 

 露店の売り上げが好調だった。 リズが作った武器とサラが調合したポーションが、町で評判になっていた。品質が安定していた。値段も手頃だった。リピーターが増えていた。 売り子として★1のキャラを二人配置していた。大人しい性格の女性二人だった。アニスに接客を少し教わり、丁寧な対応をしていた。 俺は露店の収益を確認しながら、VRダイブ解放までのゴールドを計算した。 もう少しだった。 その時、通知が来た。【警告】町の露店が被害を受けています】◆ 映像を確認した。 露店の前に男たちが立っていた。五人ほどいた。荒っぽい雰囲気だった。 売り子の★1が震えていた。「このポーション、偽物じゃないか」 男の一人が瓶を手に取り、地面に叩きつけた。 粉々に割れた。「こんな粗悪品を売るな。迷惑だ」「そ、そんなことは……」「黙れ」 男が売り子の腕を掴んだ。 投げ飛ばした。 売り子が地面に倒れた。 もう一人の売り子が助けようとした。同じように突き飛ばされた。 露店の台が蹴り倒された。商品が地面に散らばった。◆ 俺は町に向かった。 秦良玉と小鈴を連れた。 売り子二人は地面に座り込んでいた。体に傷があった。小鈴がすぐに傍に膝をついた。「大丈夫ですか……!」「……リョウ様、申し訳ありません。止められなくて……」「お前たちのせいじゃない」 俺は顔を上げた。 男たちの後ろに、一人の男が立っていた。 プレイヤーだった。 体格の良いアバターを使っていた。腕を組み、俺を見下ろしていた。「お前がここの露店の主か」「そうだ」「バルカスだ。この町のギルドを立ち上げている。町で商売したければ、ギルドに加入してもらう必要がある」「誰
last updateDernière mise à jour : 2026-07-05
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27話 雷帝の終焉

 雷帝が杖を構えた。 青白い電流が走った。 秦良玉が受けた。 今度は避けられなかった。 直撃だった。 全身に電流が走った。鎧が内側から弾けた。金属の破片が飛び散った。 秦良玉の体が吹き飛んだ。 地面に叩きつけられた。 鎧がほとんど砕け散っていた。白い肌が露わになった。 脚が開いた状態で倒れ込んだ。 体の制御が完全に失われていた。 鎧の残骸の隙間から、液体が溢れた。 止まらなかった。 地面に広がった。水溜まりがさらに大きくなった。 秦良玉は気づいていた。 だが体が動かなかった。◆ その時、脳裏に映像が蘇った。 ケンタウロスだった。 あの日の石畳。開いた脚。貫かれた痛み。「……また……また同じ目に……」 声が漏れた。将軍の声ではなかった。 秦良玉の体が震え始めた。 雷帝がゆっくりと近づいてきた。 杖を地面に突き立てた。 ズボンを下ろし始めた。「将軍……存分に味わわせてもらう」「来るな……っ」 秦良玉の声が震えた。「来るな……!」 体が動かなかった。槍が手の届かない場所にあった。 その目に、恐怖が浮かんでいた。 俺は画面を見ていた。 介入する手段がなかった。 悔しかった。 こんな場面で何もできないことが、腹の底から悔しかった。◆ その時、声が聞こえた。「おい、雷帝」 ダルダニヤンだった。 体中に傷があった。鎧が半壊していた。そ
last updateDernière mise à jour : 2026-07-06
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28話 5日間

 翌日、秦良玉は屋敷から出なかった。 ダルダニヤンも動けなかった。 俺は何も指示を出さなかった。 今日は動かす日じゃない。◆ 露店が半壊していた。 バルカスとの戦闘で棚が倒れ、商品が散乱していた。売り子の二人が黙々と片付けていた。リズが工具を持って駆けつけ、壊れた棚の修繕を始めた。 アニスが食糧の在庫を確認していた。「三日分は大丈夫です」「分かった。今日中に補充する」 ゴールドダンジョンに誰かを入れなければならなかった。 動けるのは訓練兵だけだった。 効率は悪かったが、仕方がなかった。◆ 二日目の朝、レイナが広場に出てきた。 包帯は巻いたままだったが、歩き方は戻っていた。剣を持っていた。「ゴールドダンジョンに入る」「傷は」「動ける」 俺は少し考えた。「セシルと二人で入れ」「分かった」◆ ゴールドダンジョンは資材と金貨を落とす。 戦闘難易度は低い。だが量が多い。手数が必要なダンジョンだ。 セシルが盾を構え、レイナが斬り込む。いつも通りの動きだった。 最初は問題なかった。 三周目に入ったあたりで、俺は気づいた。 レイナの動きがおかしかった。 避けない。 避けられるはずの攻撃を、正面から受けていた。モンスターの爪が左腕を掠めた。血が出た。それでも止まらなかった。むしろ踏み込んだ。「レイナ」 俺が声をかけた。「何だ」「避けろ」「戦っている」 それだけ言った。 セシルが横目でレイナを見た。何も言わなかった。◆ ダンジョンを出た後、セシルが俺に通信を入れてきた。「少し話せますか」「聞かせろ」「レイナさんのことです
last updateDernière mise à jour : 2026-07-07
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29話 迷宮 

 塔の8階に足を踏み入れた瞬間、俺の視点が変わった。 上空からの俯瞰が、効かなくなった。 視野が狭くなった。まるで自分がその場に立っているような、地上からの視点だった。「……なんだ、これは」 思わず声に出た。「リョウ?」 ダルダニヤンが俺の視点カメラを見た。「俯瞰が使えない。8階の仕様らしい。お前たちの視点とほぼ同じになった」「不便だな」「ああ。小鈴、頼む」 小鈴が頷いた。手に羊皮紙と炭を持っていた。「マッピング、始めます」◆ 迷宮は暗かった。 松明が壁に等間隔で取り付けられていたが、それでも先が見えなかった。石造りの廊下が左右に分かれていた。天井が低かった。「左から行く」 俺が言った。「根拠は」 ダルダニヤンが聞いた。「ない。だが必ず左から選ぶと決めておけ。迷宮で一番まずいのは場当たりで動くことだ」「分かった」 五人が左の廊下に入った。 小鈴が歩きながら壁に印をつけた。曲がった方向と歩数を数え、羊皮紙に書き込んだ。「看破、反応しますか」 俺が聞いた。「……少し。床に何かあります」「罠か」「たぶん」「全員、壁際を歩け。床の中央を踏むな」◆ 最初のモンスターが現れたのは、三つ目の曲がり角を過ぎた直後だった。 石でできた四足の獣だった。目が赤く光っていた。体表が岩のように硬そうだった。「セシル、前へ」「はい」 セシルが盾を構えた。獣が突進してきた。盾が受け止めた。足が滑らず、踏ん張った。「小鈴、弱点は」「首の付け根、左側です」「ダルダニヤン」「見えた」 細剣が閃いた。首の付け根に吸い込まれた。獣が
last updateDernière mise à jour : 2026-07-08
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30話 2層目 

 2層目に入った瞬間、空気が変わった。 湿度が上がった。壁が濡れていた。松明の炎が小さかった。1層目より暗かった。「構造が違う」 小鈴が呟いた。「どう違う」「廊下が広いです。でも天井が低くなっています」 俯瞰が使えない状態で、空間の把握は小鈴の地図だけが頼りだった。「マッピングを続けろ。ペースは落とさなくていい」「はい」◆ 最初のモンスターは1層目より大きかった。 人型だった。石の鎧を纏い、両手に棍棒を持っていた。動きが鈍かったが、一撃が重そうだった。 セシルが前に出た。「私が受けます」 棍棒が振り下ろされた。盾で受けた。足が沈んだ。膝をついた。「セシル!」「大丈夫です……!」 立ち上がった。盾を構え直した。 レイナが左から切り込んだ。孫尚香が後方から矢を放った。「小鈴、弱点は」「胸の中央、鎧の継ぎ目です」「孫尚香、聞こえたか」「聞こえた」 矢が継ぎ目を貫いた。モンスターが動きを止めた。レイナが踏み込み、止めを刺した。 ダルダニヤンは後方で剣を構えていた。戦力として数えられない状態だった。それでも黙って立っていた。◆ 二体、三体と倒しながら進んだ。 セシルへの負荷が大きかった。盾に傷が増えていた。ポーションを一本飲んだ。「持ちますか」 小鈴が聞いた。「持ちます」 セシルは答えた。表情が変わらなかった。◆ 四体目を倒した先に、扉があった。 1層目と同じ石造りだった。だが今度は違った。 扉の中央に、二本の突起が飛び出していた。 石でできていた。形が、明らかにそれを模していた。 全員が沈黙した。 小鈴の顔が赤くなった。 セシルは扉を見たまま、表情を変えな
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