Tous les chapitres de : Chapitre 31 - Chapitre 40

51

31話 3層目 

 3層目の空気はまた違った。 暖かかった。松明の数が増えていた。廊下が広くなった。 だがモンスターがいなかった。「……静かすぎる」 レイナが言った。「看破は反応しているか」「していません。モンスターもいない」 小鈴が辺りを見回した。 廊下を進んだ。曲がった。また進んだ。 行き止まりだった。 だが扉ではなかった。 広間だった。◆ 広間の中央に、椅子があった。 そこに座っていた。 人だった。 長身の男だった。白い衣を纏っていた。目を閉じていた。顔が整っていた。歳は分からなかった。 頭上に表示が出た。【番人】 NPCだった。「倒せるか」 俺は小鈴に聞いた。「看破が……反応していません。弱点が見えません」「攻撃は通らない、ということか」「恐らく」 番人は目を閉じたまま動かなかった。 だが口が開いた。「来たか」 声は穏やかだった。「通りたければ、私を満足させろ」 広間が静まりかえった。◆ 孫尚香が前に出た。 誰も止めなかった。 孫尚香は番人を見た。番人は孫尚香を見た。「私がやる」 声は静かだった。 レイナが横から囁いた。「……本当にいいのか」「ええ」 孫尚香は振り返らなかった。「7階で、ただ組み敷かれた。今度は自分から挑む。それだけのことです」 全員が後ろを向いた。◆ 孫尚香は番人の前に静かに進み出た。 7階で酔わされて、何度もイカされた記憶が脳裏をよぎる。あの時はただ組み敷かれる
last updateDernière mise à jour : 2026-07-10
Read More

32話 切り札 

 レイナは番人の前に立った。 番人はレイナを見た。「お前が次か」「そうだ」 レイナは迷わなかった。衣を全て脱ぎ捨て、番人の前に立った。 孫尚香より経験は多い。番人を満足させる自信があった。◆ レイナは自分から跨がり、硬くなった肉棒を秘部に当てて腰を沈めた。 ずぶっ……ずぶずぶっ……「ん……っ」 太い感触が奥まで一気に埋まる。レイナは歯を食いしばり、腰をゆっくり動かし始めた。経験豊富なつもりで、きつめに締め付けながらリズムを刻む。 しかし、番人の動きが始まった瞬間—— 番人はレイナの腰を両手で固定し、ゆっくりと円を描くように腰を回した。角度を微妙に変えながら、彼女の内壁の敏感な部分を的確に擦り上げる。同時に片手で胸を優しく揉み、乳首を指の腹で丁寧に転がした。「は……っ、あ……!?」 レイナの目が見開かれた。普段の彼女なら絶対に漏らさない甘い声が、喉から勝手に零れ落ちた。 (な……何だ、これ……? こんな……) 経験が多いはずなのに、体がまるで初心な処女のように敏感に反応してしまう。番人のテクニックは、ただのピストンではなく、彼女の弱い点を正確に突いてくる。 番人は体位を素早く変え、レイナを椅子に座らせたまま後ろから抱き締める形にした。肉棒を浅く出し入れしながら、首筋を舌で舐め、耳朶を軽く噛む。「あんっ……! そこ……っ!」 レイナの腰がびくんと跳ねた。一瞬で最初の絶頂が襲ってきた。「いっ……く……っ!!」 体が激しく痙攣し、愛液が溢れ出す。しかし番人は止まらない。絶頂直後の敏感な
last updateDernière mise à jour : 2026-07-11
Read More

33話 失業と騎士団

 転職システムが解放された。 俺はすぐに条件を確認した。 クルセイダーへの転職には、クルセイダーの者を素材とする必要があった。 セシルを見た。 セシルはこちらを見ていた。 無表情だった。「……私を素材にするつもりですか」「しない」「そうですか」 それだけだった。 レイナの転職は頓挫した。◆ セシルが後でレイナに話をしたらしい。 レイナは広場で俺に言った。「転職は保留でいい」「そうか」「セシルを素材にするくらいなら、このままで戦う」 レイナは剣の柄を握り直した。「強くなる方法は他にもある」「ある」「なら、それでいい」 それ以上何も言わなかった。◆ 有給消化が終わった。 会社を辞めた。 最終日、机の上を片付けた。社員証を返した。上司が「お世話になりました」と言った。俺も同じ言葉を返した。 特に何も感じなかった。◆ 翌日、ハローワークに行った。 番号札を取り、椅子に座って待った。名前を呼ばれ、書類を書いた。担当者が「就職活動の意思はありますか」と聞いた。「はい」 嘘ではなかった。 求人票は見ていた。応募はしていなかった。◆ 帰宅してゴーグルを被った。 露店に新しい商品を並べた。素材が三点売れた。通知が来た。換金した。 今月の収支を計算した。 失業手当と合わせれば、足りた。 それだけだった。 就職活動を続ける理由が、一つ減った。◆ 塔9階の攻略情報を集めた。 掲示板を漁った。動画を見た。他のプレイヤーのプレイログを読んだ。 しばらくして、気づいた。 
last updateDernière mise à jour : 2026-07-12
Read More

34話 迎撃

 開戦前夜、作戦を練り直した。 全員を集め、地図を広げた。小鈴が偵察で掴んだ騎士団の進軍ルートを書き込んだ。 騎士団は二手に分かれて進んでいた。一方が弱いプレイヤーの拠点を狙い、もう一方が主力として前進する。リチャード一世は主力の中心にいた。「まず分断する」 俺は地図を指で叩いた。「騎士団の★3を主力から引き剥がす。ここに囮の部隊を置き、横から別の部隊が挟む」◆「囮の隊長はジャンヌに頼む」 ジャンヌ・ダルクは静かに頷いた。「承知しました」「セシルとレイナをつける。三人で騎士団の★3を引き付け、分断してくれ」 レイナがジャンヌを見た。 ジャンヌは穏やかな顔をしていた。白い鎧が清潔だった。祈るように手を組んでいた。 信頼できそうだと、レイナは思ったらしかった。 頷いた。「分かった」 セシルも頷いた。「任せてください」◆「リチャード一世はあえて乗る」 全員が俺を見た。「逃げても意味がない。あの戦力で逃げ切れるほどリチャードは甘くない。正面から当たる」 ダルダニヤンが口角を上げた。「正直なところ、そっちの方が好きだ」「当てるのは秦良玉、孫尚香、ダルダニヤン、スブタイ、小鈴の五人だ」 小鈴が俺を見た。「私もですか」「【看破】が必要だ。リチャード一世の弱点を見つけてくれ」 小鈴は少し間を置いた。「……分かりました」 秦良玉は地図を見たまま言った。「五人でリチャード一世を相手にする、ということか」「そうだ」「……勝算は」「ある。ゼロではない」 秦良玉は少し沈黙した。「分かった」◆ スブタイが初めて口を開いた。
last updateDernière mise à jour : 2026-07-13
Read More

35話 獅子心王

 リチャード一世は強かった。 弱点が分からないまま、四人で囲んで削ろうとした。だが削れなかった。 リチャードの剣が一振りするたびに、誰かが吹き飛んだ。秦良玉が受けた。スブタイが凌いだ。ダルダニヤンが切り込んだ。孫尚香の矢が飛んだ。 鎧に弾かれた。 また弾かれた。 リチャードは息も乱れていなかった。◆ ポーションを使った。また使った。 スブタイが膝をついた。立ち上がった。「……消耗が早い」 スブタイが静かに言った。「このままでは削り負ける」「分かっている」 秦良玉が答えた。 俺も分かっていた。 小鈴がいない。弱点が見えない。四人で当たり続けているだけだ。◆ その時、リチャードが笑った。 剣を構えたまま、笑った。 戦場で笑う男だった。「面白い面子だ」 四人を見渡した。「東洋の将軍。フランスの剣士。弓の娘。モンゴルの老将」 リチャードの目が、秦良玉に向いた。「将軍よ。お前は雷帝と戦ったそうだな」 秦良玉の動きが、一瞬止まった。「……何」「雷撃を受けて、鎧の中で漏らしたと聞いている。水溜まりの中から立ち上がった女将軍とは、随分と惨めな話だ」◆ 秦良玉の顔が変わった。 赤くなった。 怒りか羞恥か、どちらか分からなかった。「……なぜそれを」「このゲームには情報屋がいる。面白い話はすぐに広まる」 リチャードは笑ったまま、ダルダニヤンを見た。「フランスの剣士も同じだったと聞いたぞ。一緒に漏らして、一緒に地面を濡らした。騎士が聞いて呆れる」 ダルダニヤンの顔が赤くなった。「……っ」
last updateDernière mise à jour : 2026-07-14
Read More

36話 獅子心王②

 スブタイが俺に通信を入れた。「右翼が限界だ。俺が行く」「頼む」「リチャード一世は任せた」 スブタイは振り返らなかった。そのまま右翼に向かって走った。 小柄な背中が、崩れかけた戦線に飛び込んでいった。◆ 三人になった。 秦良玉、ダルダニヤン、孫尚香。 俺は作戦を伝えた。「秦良玉とダルダニヤンで牽制する。孫尚香が右膝の内側を射貫く。それだけだ」「分かった」 秦良玉が答えた。 孫尚香が弓を構えた。「やります」◆ 秦良玉とダルダニヤンが左右から仕掛けた。 リチャードが剣を振った。秦良玉が槍で受け流した。ダルダニヤンが右から切り込んだ。リチャードが半歩退いた。 孫尚香が矢を放った。 リチャードが剣で弾いた。 もう一本。 また弾いた。「……さっきより動きが噛み合っているな」 リチャードは剣を構えたまま言った。 笑っていた。「ならば俺も本気を出すとしよう」◆ リチャードが深く息を吸った。 次の瞬間、空気が変わった。 重かった。 圧力があった。 獣の気配だった。ライオンのそれだった。十字軍を率い、サラディンと渡り合い、戦場を生き抜いた男の殺気が、形を持って溢れ出した。 秦良玉の足が、僅かに止まった。 ダルダニヤンの剣を持つ手が、僅かに下がった。 孫尚香の矢が、番えられたまま放てなかった。◆「リョウ」 秦良玉が静かに言った。「……飲まれそうだ」 珍しかった。 秦良玉がそれを認めた。 俺は三人を見た。 秦良玉は水溜まりの中から立ち上がった女だ。ダルダニヤンは番人の
last updateDernière mise à jour : 2026-07-15
Read More

37話 戦利品と強化

 シンとガジンを呼んだ。「分配する」「分かりました」「異存ない」◆ まず経験値が入った。 ★5討伐の報酬は大きかった。全員のレベルが跳ね上がった。拠点経験値も大幅に加算された。 次に戦利品を並べた。 捕縛した★3が20人。その他の装備品と資材。そしてリチャード一世から剥ぎ取った剣が一本。【ライオンハートソード】 説明文を確認した。振ると衝撃波が獅子の形となって飛ぶ、とあった。「これはリョウさんが持つべきでしょう」 シンが言った。「リチャードを倒したのはリョウさんのパーティです」「使える者に渡す」 ダルダニヤンに渡すつもりだった。あの男の剣技なら活かせる。今は入院中だが。◆ ★3の20人を三人で分けた。 シンが7人、ガジンが7人、俺が6人。 俺の6人のうち、クルセイダーが4人いた。◆ 捕縛された★3たちは、広場に並んでいた。 状況を察していた。 一人が口を開いた。「頼む……殺さないでくれ」 震えた声だった。 別の一人が続いた。「俺たちはプレイヤーに命じられただけだ。好きでやっていたわけじゃない」「家族がいる。元の世界に……」 俺は黙って聞いていた。 必死だった。 よく出来たAIだと、以前の俺なら思っただろう。 だが今は違った。 ★4以上は歴史上の実在の人物だ。では★3以下は何だ。名前がないだけで、同じように実在したのかもしれない。歴史に名を残さなかっただけで、確かに生きた誰かなのかもしれない。 そう思い始めていた。◆ だがそれでも、許すつもりはなかった。 こいつらは弱いプレイヤーの拠点を踏み潰した。女性キャラを凌辱した。命乞い
last updateDernière mise à jour : 2026-07-16
Read More

38話 快楽の在りどころ 

 小鈴の容態は変わらなかった。 診療所のベッドで眠っていた。顔色は少し戻ってきていた。だが左肩の動きが戻っていなかった。 サラが俺に言った。「神経の損傷が深いです。時間をかければ日常生活には戻れます。でも」「戦闘は」「……難しいと思います。【看破】も、以前のように使えるかどうか」 俺は小鈴を見た。 眠っていた。 穏やかな顔だった。◆ 広場に全員を集めた。「小鈴の戦線復帰は当面ない。覚えておけ」 誰も驚かなかった。 薄々分かっていたのだろう。 セシルが静かに言った。「私たちは看破に頼りすぎていました」「そうだ」「弱点が分からなくても戦える練度を、上げなければなりません」「分かっている」 レイナは何も言わなかった。ただ床を見ていた。◆ ダルダニヤンが診療所から出てきた。 腹の傷はまだ完全には塞がっていなかった。だが歩いていた。「もう動くのか」「寝ていると頭がおかしくなる」「無理をするな」「分かっている。無理はしない。少し動くだけだ」 サラが後ろから顔を出した。「ダル、安静にしてください」「動いた方が回復が早い」「そういう問題じゃないです」 ダルダニヤンはサラの声を聞こえないふりをした。 レイナがそれを見て、小さく息を吐いた。 呆れていた。だが怒っていなかった。◆ ゴールドダンジョンに強化確認を兼ねて入れた。 秦良玉、セシル、レイナの三人を送り込んだ。 結果は明快だった。 三人の動きが別次元だった。 モンスターが近づく前に秦良玉が薙ぎ払った。セシルの盾が別格の耐久を見せた。レイナの剣が以前より速く、深く入った。
last updateDernière mise à jour : 2026-07-17
Read More

39話 弓と酒 

 サラを呼んだ。「解毒薬を作れるか。酒毒に効くやつだ」 サラは少し考えた。「完全には無理です。でも……酔いが回るまでの時間を遅らせることはできます」「どのくらい」「通常より倍くらいは持つかもしれません。ただ個人差があります。孫尚香さんの体質次第では、それより早く効かなくなる可能性もあります」「作ってくれ」「分かりました」◆ サラが薬を持ってきたのは翌日だった。 小さな瓶だった。中身が琥珀色に光っていた。「飲むタイミングは戦闘直前がいいです。早すぎると効果が薄れます」「味は」「……かなり苦いです」 孫尚香に渡した。 孫尚香は瓶を手の中で転がした。「ありがとう、サラ」「無理しないでください」「無理するつもりで行きます」 サラは何も言えなかった。◆ 俺は孫尚香に通信を入れた。「確認する。今回の目的は何だ」「妖怪爺を倒すことです」「それだけか」 孫尚香は少し間を置いた。「あの場所で、ただ組み敷かれたまま終わりたくない。それだけです」「酔いが回ったら動けなくなる」「分かっています」「薬が切れる前に仕留めなければ詰む」「分かっています」「……行け」◆ 7階に入った。 孫尚香は薬を飲んだ。 顔が歪んだ。「……苦い」「サラが言っていただろう」「これほどとは思わなかった」 それだけ言って、妖怪爺のいる方向に歩いた。◆ 妖怪爺は前回と同じ場所にいた。 薄暗い部屋の奥、畳の上に座っていた。白髪。細い目。穏やかな顔をしていた。 孫尚香を見た。「戻ってきたか」「ああ」
last updateDernière mise à jour : 2026-07-18
Read More

40話 霧の9階

 編成を決めた。 秦良玉、レイナ、孫尚香、ダルダニヤン、セシルの五人。 小鈴なしの編成だった。「9階は攻略情報がほとんどない。入ってみないと分からない」「それでも行くしかないだろう」 ダルダニヤンが言った。「そうだ」◆ 塔の9階に足を踏み入れた瞬間だった。 霧が出た。 白かった。濃かった。視界が数メートル先まで霞んだ。「……何だこれは」 レイナが言った。「分からない。警戒しろ」 全員が足を止めた。 霧が漂っていた。甘い匂いがした。花のような、だが人工的な何かが混じった匂いだった。「吸わない方がいい」 秦良玉が言った。「だが呼吸を止めるわけにはいかない」 ダルダニヤンが答えた。 霧はすでに全員の肺に入っていた。◆ 最初は軽かった。 頭がぼんやりする程度だった。 歩きながら、俺は全員の状態を確認した。 秦良玉の歩き方が、僅かに乱れていた。 レイナが自分の腕を強く掴んでいた。 孫尚香の頬が赤くなっていた。 ダルダニヤンが頭を振った。「……まずい匂いだ」「耐えろ。進む」◆ 五十歩ほど進んだ頃だった。 セシルが止まった。「セシル、どうした」 セシルは答えなかった。 俯いていた。 両手が、腰の前に下りていた。「……っ」 小さな声が漏れた。 セシルの手が、股間に触れた。◆ その瞬間だった。 警告音が鳴った。【制約違反 退場処理を実行します】 セシルの体が光に包まれた。「
last updateDernière mise à jour : 2026-07-19
Read More
Dernier
123456
Scanner le code pour lire sur l'application
DMCA.com Protection Status