All Chapters of あなたを待つ日は、もう終わり: Chapter 11 - Chapter 12

12 Chapters

第11話

私は思わず笑ってしまった。笑いすぎて息が苦しくなるほどだった。ようやく笑いがおさまり、顔を上げた時には、もう表情は消えていた。冷え切った眼差しで悠真を見つめる。「あなた、本当に気持ち悪い」悠真はその場で固まった。信じられないものを見るような目で私を見返す。「……今、何て言った?」「あなたを見ているだけで嫌悪感しか湧かないって言ったの」悠真は怒りに任せて私に歩み寄ろうとする。だが、私の隣にいた女性たちのたくましい腕が彼を押し返した。「俺はちゃんと謝ったじゃないか!これ以上、何を望むんだ!昔の君なら……」最後まで言わなくても分かった。言いたいことくらい。私は女性たちの間から一歩前に出る。そして、ためらうことなく悠真の頬を平手で打った。乾いた音が静かな里に響く。悠真は頬を押さえ、呆然と私を見つめる。私は冷たく笑った。「昔の私なら?あなたを心から愛していた私なら?何をされても最後には許してくれた私なら?ええ、そうよ。私は確かにあなたを愛していた。だから故郷を離れて、東都までついて行った。あなたと紗耶が寄り添う姿を見ても、それでも愛そうとしていた。でもね、悠真。人の愛情は、永遠じゃないの。どうして、何度私を傷つけても許されるって思えたの?どうして『愛してる』の一言だけで、私が喜んで戻ると思えたの?そして、何より――何度も踏みにじられたあとでも、私がまだあなたを愛していると思えたの?」悠真は一歩、また一歩と後ずさる。やがて力が抜けたように、その場に崩れ落ちた。ようやく気づいたのだ。私の目から、彼への愛が完全に消えていることに。彼はようやく取り乱した。「ごめん……千歳……ごめん……お願いだ……許してくれ……」涙を流しながら、何度も頭を下げる。けれど私は、その姿を見ても何も感じなかった。胸は驚くほど静かだった。私は感情のない声で告げる。「もう謝らないで。今の私は、あなたの顔を見るだけで吐き気がする。悠真。あなたしか見えていなかったあの子は、もう死んだの。52回、一人きりで夜明けまで待ち続けた、あの夜のどこかで。あなたは一度も、あの子を人生のパートナーとして迎えてはくれなかった。それでも、あの子は52回、あなたを人生のパートナーと
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第12話

その日、悠真は里をあとにした。ほんの数日のうちに、何年も老け込んだような背中だった。陽斗には、私がすべてを話した。私はそっと尋ねる。「最後に、あの人に会わせてあげなかったこと……ママのこと、恨んでる?」陽斗は静かに首を横に振った。年齢には似つかわしくない落ち着きが、その小さな瞳に宿る。「神崎さんは……パパになれる人じゃなかった。だから、後悔してない」私は陽斗の頭を優しく撫でた。……かつて悠真に宝石の仕事を教えたように、私は里の女性たちと一緒に宝石の仕事を始めた。私たちが扱う宝石は品質の高さと誠実な商売ぶりが評判となり、年月を重ねるごとに多くの人から愛されるようになっていった。……その後、悠真のことを知ったのはニュースだった。東都に戻った悠真は、最後まで紗耶との結婚を拒み続け、抵抗するために自らの体を傷つけることさえあった。皮肉にも、その出来事によって紗耶のお腹の子は神崎家にとってさらに重要な存在となり、一族はますます彼女を手放せなくなった。結局、悠真は一族の長老たちの意向に逆らえず、紗耶と正式に結婚することになる。人を見る目だけは誰にも負けないと自負していた美智子も、最後には身内に足元をすくわれた。嫁と姑は毎日のように衝突し、家中が騒ぎの絶えない日々となり、その話は東都でも格好の噂話になった。一方、望まぬ結婚に納得できなかった悠真は、ある日、紗耶が油断した隙を突いて彼女を階段から突き落とした。お腹の子は助からなかった。その日を境に、紗耶の心は完全に壊れてしまった。子どもを失い、悠真の愛も失った彼女は、すべてを諦めたように刃物を手に取った。悠真の胸を刺し、その場で自らも命を絶つ。最期まで、冷たくなった悠真の手を固く握り締め、小さく呟き続けていた。「これで……あなたは永遠に私だけのもの」この事件は東都中を震撼させ、神崎家の名声は一気に失墜した。しかし、一族にとってそれ以上に深刻だったのは、家を継ぐ者を失ったことだった。美智子や一族の長老たちは何度も私を訪ね、陽斗を神崎家の後継者として迎えたいと申し出てきた。けれど私は、そのたびに静かに断った。最後にはやむを得ず、それまで見下していた分家の中から後継者を選んだと聞く。けれどそんなことは、もう私にも陽斗にも、何ひと
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