マンションへ戻る頃には、窓の外はすっかり暗くなっていた。「ただいま」 玄関で靴を脱ぎながら声をかける。 返事はない。――まだ帰ってないんかな。 リビングへ向かうと、ローテーブルの上には何も置かれていなかった。 凜は鞄をソファへ置き、そのままキッチンへ向かう。 冷蔵庫を開いて水を取り出しながら、玲奈の言葉が頭を過った。『聞けばいいじゃん』 冷たい水を一口飲み、小さく息を吐く。 しばらくして、玄関から電子錠の開く音が聞こえた。「お帰りなさい」 リビングへ入ってきた理玖は、凜を見るなり一瞬だけ目を細めた。「早かったな。もっとゆっくりでも良かったんだぞ」「玲奈さんは今日も出勤だから」「そうか。楽しめたか?」「うん。久しぶりに色々話せました」「なら、良かった」 理玖はネクタイを緩めながら、ソファへ腰を下ろした。 凜もその左隣へ座る。 いつもと同じ距離。 聞くなら、今しかない。「あの、理玖」「どうした?」「……」 切れ長の目がこちらを向く。 喉まで出かかった言葉が、そのまま引っ込んだ。「なんだ?」「今日、仕事……忙しかった?」 出てきたのは、全く違う言葉だった。「いつも通りだ」「そうなんや」 そこで会話が途切れる。――違う。本当に聞きたいのは、そんなんやない。 けれど、真正面から理玖の顔を見ると、どうしても言葉にできなかった。「どうした? さっきから変だぞ」 理玖が眉を寄せる。「何かあったのか?」「別に、何も……」「なら、なんでそんな顔してる」――玲奈と同じこと言う。 思わず苦笑すると、理玖がさらに怪訝な顔をした。「なんだよ」「今日、
ปรับปรุงล่าสุด : 2026-09-18 อ่านเพิ่มเติม