Todos los capítulos de ラリっとボンノー!!〜鬼娘は活力煩悩まみれ、俺は無気力何もない〜: Capítulo 21 - Capítulo 30

50 Capítulos

弐拾壱話:ゴスロリ巫女と赤鬼娘

 ライブの興奮冷めやらぬまま、俺と羅璃は三軒茶屋のライブハウスを後にした。 耳の奥ではまだ轟音が響いているような、身体中にビリビリとした振動が残っているような感覚だ。 圧倒された。でも、どこか、心地よかった。 観客の熱狂、ミサト先輩の歌声、そして……サクラのギター。 あの場の全てが、俺の中に何かを刻みつけた。 ◇ ライブハウスの狭い入り口から外に出ると、夜の冷たい空気が肌を刺す。 周囲には、ライブ帰りらしき若者たちがまだ多く、興奮した様子で感想を言い合っている。 俺も、羅璃も、言葉少なだった。頭の中が、今日の出来事でいっぱいだ。 すると、後ろから声を掛けられた。「……潟梨君」 聞き覚えのある声だった。振り返ると、そこに立っていたのは……思わず息を飲んだ。 衣装もメイクもそのままの、天宮司さくらさんだ。 白いゴシックロリータファッションに、切れ長のアイメイクと黒いリップ。 普段の、大学のマドンナとしての姿とは全く違う、まさに「白き堕天使達」のギタリスト「サクラ」の姿だ。その姿は、羅璃のほとんど人間になった(でも角と赤い瞳は健在の)羅璃姿にも負けず劣らず、夜の街中で異彩を放っている。 羅璃の赤い肌と、サクラの白い衣装のコントラストが、鮮烈だ。 周囲の視線が、一斉にサクラさんに集まる。さすがにあの格好では、ただ歩いているだけでも周囲をざわつかせてしまうだろう。 天宮司さんことサクラは、振り向く俺たちに微かに会釈した。そして、まっすぐに俺の目を見て、言った。「……明日……講義のあと……話しましょう」 それだけ言うとサクラは、周囲のざわめきを気にする様子もなく、踵を返し、人混みの中に消えていった。まるで、幻を見たかのような、あっけない立ち去り方だった。
last updateÚltima actualización : 2026-07-28
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弐拾弐話:ゲーム・イン・ザ・ダーク

 天宮司さんがサークル棟から立ち去って、話が終わったのを見計らってか、山本中会長と中村山くんが部室に戻ってきた。寺社杜さんも一緒だ。「おい、潟梨! マドンナとなんか話してたのか!? 何話してたんだよ!」 中村山くんが興味津々で俺に詰め寄る。山本中会長も、好奇心と、どこか探るような視線で俺を見ている。「え、いや……別に……大した話じゃないよ」 俺は、天宮司さんの秘密を守るために、話を誤魔化した。羅璃は、何か言いたそうにしていたが、俺が横目で牽制すると、ニヤリと笑って口を噤んだ。羅璃は、俺が秘密を守るという約束を果たそうとしていることを理解したらしい。「そ、そんなことより……げ、ゲーム作りの話って……どうなりました?」とっさに、話題を逸らそうと羅璃見て、思い出したこの前のことを話す。 そして、サークルでのゲーム制作の話になった。「それでさ、どんなゲーム作るかって話なんだけど、たった3人でも皆意見バラバラでさー」 中村山くんが、さっきまでの議論の状況を説明する。「やっぱ、いきなりデカいもの……つまり、 世に出ている製品レベルのものを、いきなり作ろうとしても難しいしなって話になった。 まあ、最初はどうしても夢見ちゃうからな~でも、まずは少人数でも作れるような…少人数っていうか、ここにいるメンバーで可能なシンプルなジャンルから攻めてみるのがいいんじゃないかって、山本中会長が言ってて」 山本中会長が頷く。現実的な意見だ。皆、やりたいことはバラバラだが、まずは「出来ることから」始めよう、という方向にまとまりつつあるらしい。これは、以前の惰性に流されていたサークルとは違う、前向きな変化だ。これも、羅璃がもたらした変化の一つだろう。
last updateÚltima actualización : 2026-07-29
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弐拾参話:ツンデレ積んでるデレテレ

 サークルで羅璃を主人公にしたゲームを作る、という話になってから一夜明けた。 ダルい。 でも、何かを「作る」という、今まで避けてきた行為に足を踏み入れたせいか、いつもと少しだけダルさの種類が違う気がする。 そして、昨夜の羅璃の「一生とり憑いてやる」という言葉が、頭の中でリフレインしている。  講義を受けようと、いつもの講義室に入り、羅璃と共に席に着く。 ダルい。周りの学生たちの話し声が耳障りだ。 羅璃は隣で、すでにスマホをいじっている。 すると、通路を挟んで少し離れた場所に座っていた人物が、こちらに向かってきた。天宮司さくらさんだ。いつもの、落ち着いた雰囲気のマドンナ。 ライブの時の、白いゴスロリ衣装と黒いリップは、やはり夢だったかのようだ。 天宮司さんは、俺たちの横に来て、そのまま、俺のすぐ隣の席に座った。 隣の席は空いていたけれど、天宮司さんが俺の隣に座るなんて、初めてのことだ。 これは、昨日の約束……監視するため、だろうか? 羅璃が、天宮司さんの存在に気づいたらしい。 ニッと、面白がるような笑みを浮かべた。「お? なんだよサクラ! 早速やるのか? 同盟なんて結んだけど、もう気が変わったわけ?」 羅璃が、天宮司さんを挑発するような口ぶりで話しかけた。 天宮司さんは、羅璃の挑発にも動じず、すました顔で答えた。「……同盟は結びましたから。無闇に動いたりしません」 天宮司さんの言葉に、俺はホッとした。昨夜の約束は、有効らしい。「ただし……」 天宮司さんの声に、緊張が走る。「羅璃さんから……私に仕掛けてくるようなことがあれば……容赦しません」 天宮司さんの瞳の奥に、神職としての強い意志が宿
last updateÚltima actualización : 2026-07-30
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弐拾肆話:コンビニ談義・コイビト談義

 ゲームの話が盛り上がる一方……そう、三軒茶屋のライブハウスで「白き堕天使達」のライブを見てから久しく、俺は羅璃と一緒にコンビニのバイトに向かっていた。 ライブの轟音と熱狂は、まだ身体の中に微かに残っているような気がする。 そして、あの夜、白いゴスロリ衣装でギターを掻き鳴らしていたのが、大学のマドンナ、天宮司さくらさんだった、という衝撃的な事実。 ダルいというより、まだ現実感が薄い。 コンビニに着くと、高橋先輩がレジに立っていた。 俺の新しい格好と髪型を見て驚いていた高橋先輩は、ライブの後で話すのはこれが初めてだ。「お、潟梨くん!羅璃ちゃん! こんばんは!」 高橋先輩は、いつものサバサバした笑顔で俺たちを迎えてくれた。 ライブハウスで見た、切れ長メイクに黒リップの「ミサト」とは全く違う。 そのギャップが、何とも不思議な感覚がする。 まるで、二人の高橋先輩がいるみたいだ。 でも、どちらも同じ高橋先輩なんだ。 当たり前だけど、それが俺には新鮮な驚きだった。 人の多面性というか、複雑さというか…… 今まで、他人のことなんて、表面的な部分しか見ていなかったんだな、と改めて気づかされた。 これも、羅璃が俺の世界に塗り込めた「色」の一つだろうか。「高橋美里先輩! ライブ! マジでヤバかったです! 超感動しました!」 羅璃は、バイトに入るなり、高橋先輩に詰め寄って、ライブがいかに素晴らしかったかを熱弁し始めた。 羅璃の、感情をそのままぶつけるような素直な感想に、高橋先輩は少し恐縮している。「あ、ありがとう羅璃ちゃん! そんな風に言ってもらえるなんて、嬉しいな」 高橋先輩は、少し照れながら答えた。「特に、ギターのサクラさん! 超カッコよかったです! しょーへーも感動してましたよ!」 羅璃は、俺
last updateÚltima actualización : 2026-07-31
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弐拾伍話:ラリって誘惑・ラリが主役

 羅璃を主人公にした、シンプルなアクションゲームを作る。 悪意が具現化したモンスターを倒し、良い人間に戻す。 そして、俺は羅璃のキャラクターデザインを担当する。 サークルメンバーと役割分担を決め、皆で一つの目標に向かって進むことになった。 サークル部室を出て、羅璃と共にアパートへの帰り道を歩く。 羅璃はまだゲーム制作のことで頭がいっぱいらしく、「どんな必殺技がいいかなー?」「空とか飛べると楽しいかも!」などと、一人で盛り上がっている。 ゲームを作る。 それは、俺がかつて絵を描くことから逃げ出した「創作」という行為に、再び向き合うことを意味していた。 そして、ゲームのテーマは、羅璃という存在そのもの。 「羅璃は、俺の煩悩と活力の集合体」  羅璃をゲームにするということは、俺自身の内面を、ゲームという形にして外に出す、ということなのかもしれない。 アパートに戻り、部屋に入る。羅璃はソファに飛び乗って、早速ゲームのアイデアを俺にぶつけてくる。 その羅璃の姿を見ながら、サークルで話した「心理カウンセリングみたいになりそうだ」という言葉が頭をよぎった。 そして、羅璃は、本当に俺のカウンセラーなのか? という疑問。 相談に乗ってもらった記憶なんて全くない。ただ、羅璃の破天荒な行動に振り回されて、その結果、俺の煩悩が解消されてきただけだ。「ねー、しょーへー! 私のデザイン、どんな感じにするの? 超可愛くしてよ!」 羅璃が、ソファから俺に話しかけてきた。そうだ。俺の今日の課題は、羅璃のキャラクターデザインだ。「……デザイン、か」 俺は、自分の机に向かった。スケッチブックと鉛筆を用意する。 きちんと絵を描くのは、ハルカさんと会って以来だ。 数週間しか経っていないのに、ずいぶん前のこ
last updateÚltima actualización : 2026-08-01
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弐拾陸話:デザイン心眼・ダサイの真贋

「羅璃を主人公にしたゲームを作る」 (俺は羅璃を元にしたキャラクターデザインを担当する) 羅璃は見た目の派手さが十分特徴あると判断した俺は、ほとんどそのままを描いたデザインをもってサークル棟に向かい、メンバーに見せた。 山本中会長は「悪くない」といい、中村山さんは「うーん」と難しい顔をした。 寺社杜さんは、ゲームに落とし込む担当なので具体的にツッコミを入れてきた。 「情報多すぎ」「等身リアルすぎ」「特徴弱すぎ」 3Dのアクションにするといっても、有名なダークファンタジーのゲームの様な、一流のゲーム会社が作る製品版クオリティはどう考えても無理なので、可能な限りシンプルに作る……という条件がある様だ。 絵が描けるのと、キャラクターデザインができるのでは、そこに意外なほどの乖離があるということを知った。  これまでは、ユーザー視点で特に何も考えずにゲーム画面を見て来た俺にとっても新しい視点だ。  ちゃんとやり切ろうと決めたのだ。向き合うしかない。 寺社杜さんは、部室に転がっているゲーム雑誌から、幾つかサンプルを見せてくれて、ゲーム内容に合わせた世界観を伝えるにはキャラクターの等身やタッチ、色遣いが大切だと教えてくれた。 特に自分たちを含めてマニアックな世代はどうしてもゴチャ付いたリアル系が作りたくなるのは分かるけど、ゲームに反映するためのグラフィック作成の立場からは、あまり細かい造形を求められると作らなければならない質と量がヤバいから対応できないときっぱり言われてしまった。 中村山くんがまあまあ、と言っていたが、実際にグラフィック担当の寺社杜さんから言われると、そこは従わざるを得ないと感じた。 このままサークル棟に籠って意見を聞きながらデザインすることも考えた。  しかし、とても集中することはできないと思い部屋に戻り、机に向かった。 スケッチブックと鉛筆を机の上に用意する。  羅璃はソファで、サークルで中村山さんから借りた昔の携帯ゲーム機で遊びながらくつろいでいる。 「あー
last updateÚltima actualización : 2026-08-02
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弐拾漆話:認知視・ラリの実像

 午前中の講義室での出来事の後、俺はキャンパスをあてもなく歩き回り、自分の感情の混乱をどう扱えばいいのか分からずにいた。  天宮司さんと羅璃の言い争い、俺の突然の自己主張、そして、自分の中に生まれた、今まで知らなかった感情の波。 ダルい。 全てがダルい。 でも、そのダルさの中に、今までなかった種類の疲労感と、そして、微かな、しかし確かな、自分の心の動きがあった。 午後のサークル棟に向かう。 手には、昨晩徹夜で描き上げた羅璃のキャラクターデザインのラフスケッチが入ったファイルを持っている。 疲れと、午前の出来事による精神的な疲労で、足取りが重い。「しょーへー、作ったゲームが出てバカ売れしたら良いよなぁ~」「マイクラみたいにヒットしたら億万長者じゃん!やったな」「羅璃は南国リゾートでバカンスしたいなぁ~」 昼飯の時に合流した羅璃は、俺の隣で、いつもの調子に戻っているようだが、どこか、俺の様子を気にしているのが分かった。 サークル部室の扉を開ける。 中には、山本中会長、中村山くん、寺社杜さんが集まっていた。 ゲーム制作の話でもしているのだろうか。「あ、潟梨! 羅璃ちゃんも! 来た来た!」 中村山くんが、俺たちに気づいて声を上げた。 皆、俺の顔を見て、一瞬驚いたような顔をした。 徹夜明けで、明らかに消耗しているのが分かるのだろう。「遅かったな……潟梨。大丈夫か? 顔色悪いぞ」 山本中会長が、心配そうに尋ねてきた。寺社杜さんも、俺の顔を見つめている。「あ……いえ、大丈夫です……徹夜で……」「徹夜!? 何をだよ?」 中村山くんが興味津々だ。
last updateÚltima actualización : 2026-08-03
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弐拾捌話:ラリ消失オレ焦心

 サークルで羅璃の姿の見え方に関する驚きの真実を知り、キャラクターデザインの宿題をもらってアパートに戻る。 頭の中は、羅璃が人によって違う姿に見えているという事実と、俺だけが羅璃の「人ではない」側面を強く認識しているということ、そして、その羅璃が俺の煩悩と深く繋がっているという、あまりにも非現実的な情報で混乱していた。 ダルい。 疲労困憊だ。 部屋に着くと、もう限界だった。 考えるのも、立っているのもダルい。 俺は、そのままベッドに倒れ込んだ。羅璃が何か言っていたような気がするが、もう何も聞こえない。身体中の力が抜けていくのを感じた。このまま、暗闇に落ちて行きたい。 意識が…遠のいていく。 深く、深く…暗闇の底へと沈んでいくような感覚。 羅璃に、聞かなければならないことがあったはずだ。 なぜ、俺にだけ違う姿が見えているのか。本当に、俺の煩悩が解消されれば、羅璃は消えてしまうのか。意識を失う寸前だった。 すると、暗闇の中に光が現れた。そして、その光の中に、誰かが立っている。 羅璃だ。 でも、いつも見ている羅璃の姿とは違う。赤い肌ではない。角もない。全身に禍々しい文様もない。そこに立っているのは、ごく普通の、可愛らしい女の子だった。見慣れない姿なのに、それが羅璃だと分かる。「…しょーへーは…変わったね…」 羅璃が、寂しそうな、でも優しい声で言った。「…羅璃の…役目は…終わったのかな…?」 その言葉に、俺の胸が締め付けられた。終わった? 羅璃の役目が? それは…消える、ということなのか?「…おわった…?」 震える声で聞き返した。 羅璃は、静かに頷いた。
last updateÚltima actualización : 2026-08-04
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二拾玖話:さくら錯乱

 夢に翻弄されて朝から疲れた状態で、大学に行った。 午前の講義。 いつものように窓際の奥の席に座る。 すると天宮司さくらさんが、俺たちの横に来て、会釈した。 昨日の気まずさから、どうすればいいのか分からなかったが、天宮司さんの顔には、穏やかな、しかし真剣な表情が浮かんでいる。「……潟梨君……羅璃さん」 天宮司さんが、俺たちのすぐ隣の席に座った。 昨日のこともあって、少し気まずい。「昨日は……ご迷惑をおかけしました。 私の心配が過ぎて……余計なことをしてしまったと……反省しています」 天宮司さんは、静かに、しかし明確に、謝罪の言葉を述べた。 大学のマドンナが、俺なんかに頭を下げるなんて。 驚いた。そして、彼女もまた、自分の感情によって動かされ、そしてその結果に責任を感じているのだと知った。「あ……いえ、大丈夫です…天宮司さんが俺の事を……心配してくれたからこその……行動だったことは…理解していますから……」 俺は、慌てて天宮司さんをフォローした。 自分の事を心配してくれたからこそ、羅璃を危険視し、あんな行動に出た。 それは、迷惑だったけれど、天宮司さんの優しさでもあったのだと、今は理解できる。 対人関係が苦手な俺が、天宮司さんの気持ちを理解し、言葉を返せている。 これも、羅璃が俺を変えてくれた成果だろうか。 天宮司さんは、わずかに微笑んだ。そして、俺の顔色を見て、まだ心配そうな表情を浮かべた。「ですが……やはり、ずいぶん消耗しているようです。羅璃さんの影響では……」 再び|羅璃《ラ
last updateÚltima actualización : 2026-08-05
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参拾話:おとなしい視点・大人らしい視線

 大学での講義を追い出された後、羅璃と二人でアパートに戻った。 頭の中は「無邪鬼」という言葉と、羅璃が人によって見え方が違うという事実でいっぱいで、ダルい。 疲労困憊でベッドに倒れ込んだが、羅璃の残り数えるほどになった文様と、「貪」という言葉が頭から離れない。  夕方になり、コンビニのバイトの時間になった。 羅璃も当然のように付いてくる。これも、煩悩解消の一環なのだろう。 制服に着替え、バックヤードに入ると、いつものように高橋先輩がいた。 高橋先輩は、俺たちを見るなり、にこやかに挨拶をしてくれた。「おー、翔平に羅璃ちゃん! 遅かったじゃん。さっき、店長が『今日はどうせ二人とも寝坊だろ』って言ってたぞー?」 高橋先輩が冗談を言う。 俺は、昨日今日と立て続けに講義を追い出されたことを思い出し、冷や汗をかく。店長にバレているのだろうか。「んもう、ミサトさーん! 私、ちゃんと早起きしたもん!」 羅璃が、高橋先輩に抱きつくようにして甘える。 羅璃と高橋先輩は、すっかり仲良くなったようだ。他愛のない会話が、二人の間で弾む。 レジの準備をしながら、羅璃が俺のゲームをつくることになったサークルの話や、天宮司さんとのゴタゴタについて、高橋先輩に話しているのが聞こえてきた。 羅璃は、天宮司さんのことを「無邪鬼ちゃん」と呼んでいる。 高橋先輩は、それを面白そうに聞いている。「へー、翔平がゲーム作るのかー! しかも羅璃ちゃんが主人公なんて、面白いことになったね!」 高橋先輩は、相槌を打ちながら言った。 そして、ふと、俺と羅璃を交互に見て、目を細めた。「……それにしてもさ……本当に、二人とも変わったね」 高橋先輩の言葉に、俺はハッとした。 変わった。それは、俺も感じ
last updateÚltima actualización : 2026-08-06
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