All Chapters of ラリっとボンノー!!〜鬼娘は活力煩悩まみれ、俺は無気力何もない〜: Chapter 21 - Chapter 22

22 Chapters

弐拾壱話:ゴスロリ巫女と赤鬼娘

 ライブの興奮冷めやらぬまま、俺と羅璃は三軒茶屋のライブハウスを後にした。 耳の奥ではまだ轟音が響いているような、身体中にビリビリとした振動が残っているような感覚だ。 圧倒された。でも、どこか、心地よかった。 観客の熱狂、ミサト先輩の歌声、そして……サクラのギター。 あの場の全てが、俺の中に何かを刻みつけた。 ◇ ライブハウスの狭い入り口から外に出ると、夜の冷たい空気が肌を刺す。 周囲には、ライブ帰りらしき若者たちがまだ多く、興奮した様子で感想を言い合っている。 俺も、羅璃も、言葉少なだった。頭の中が、今日の出来事でいっぱいだ。 すると、後ろから声を掛けられた。「……潟梨君」 聞き覚えのある声だった。振り返ると、そこに立っていたのは……思わず息を飲んだ。 衣装もメイクもそのままの、天宮司さくらさんだ。 白いゴシックロリータファッションに、切れ長のアイメイクと黒いリップ。 普段の、大学のマドンナとしての姿とは全く違う、まさに「白き堕天使達」のギタリスト「サクラ」の姿だ。その姿は、羅璃のほとんど人間になった(でも角と赤い瞳は健在の)羅璃姿にも負けず劣らず、夜の街中で異彩を放っている。 羅璃の赤い肌と、サクラの白い衣装のコントラストが、鮮烈だ。 周囲の視線が、一斉にサクラさんに集まる。さすがにあの格好では、ただ歩いているだけでも周囲をざわつかせてしまうだろう。 天宮司さんことサクラは、振り向く俺たちに微かに会釈した。そして、まっすぐに俺の目を見て、言った。「……明日……講義のあと……話しましょう」 それだけ言うとサクラは、周囲のざわめきを気にする様子もなく、踵を返し、人混みの中に消えていった。まるで、幻を見たかのような、あっけない立ち去り方だった。
last updateLast Updated : 2026-07-28
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弐拾弐話:ゲーム・イン・ザ・ダーク

 天宮司さんがサークル棟から立ち去って、話が終わったのを見計らってか、山本中会長と中村山くんが部室に戻ってきた。寺社杜さんも一緒だ。「おい、潟梨! マドンナとなんか話してたのか!? 何話してたんだよ!」 中村山くんが興味津々で俺に詰め寄る。山本中会長も、好奇心と、どこか探るような視線で俺を見ている。「え、いや……別に……大した話じゃないよ」 俺は、天宮司さんの秘密を守るために、話を誤魔化した。羅璃は、何か言いたそうにしていたが、俺が横目で牽制すると、ニヤリと笑って口を噤んだ。羅璃は、俺が秘密を守るという約束を果たそうとしていることを理解したらしい。「そ、そんなことより……げ、ゲーム作りの話って……どうなりました?」とっさに、話題を逸らそうと羅璃見て、思い出したこの前のことを話す。 そして、サークルでのゲーム制作の話になった。「それでさ、どんなゲーム作るかって話なんだけど、たった3人でも皆意見バラバラでさー」 中村山くんが、さっきまでの議論の状況を説明する。「やっぱ、いきなりデカいもの……つまり、 世に出ている製品レベルのものを、いきなり作ろうとしても難しいしなって話になった。 まあ、最初はどうしても夢見ちゃうからな~でも、まずは少人数でも作れるような…少人数っていうか、ここにいるメンバーで可能なシンプルなジャンルから攻めてみるのがいいんじゃないかって、山本中会長が言ってて」 山本中会長が頷く。現実的な意見だ。皆、やりたいことはバラバラだが、まずは「出来ることから」始めよう、という方向にまとまりつつあるらしい。これは、以前の惰性に流されていたサークルとは違う、前向きな変化だ。これも、羅璃がもたらした変化の一つだろう。
last updateLast Updated : 2026-07-29
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