俺は、羅璃と家族を残し、二階にある自分の部屋へ向かった。 部屋に入り、扉を閉める。 壁には、小学校から高校までのサッカーの大会記録や賞状が貼られている。 部屋の隅には、埃を被ったスケッチブックが置かれている。 ダルい。 でも、目を逸らすことは、もうできそうになかった。 部屋の空気が、重く感じる。過去の俺が、この部屋に詰まって閉じ込められているみたいだ。 目を閉じて、深く息を吐く。 すると、部屋の扉が、静かに開いた。 そこに立っていたのは、羅璃と、そして智絵だった。 智絵は「開かずの間」と化している俺の部屋に久々に足を踏み入れて懐かしむ顔をしている。 羅璃が、ゆっくりと部屋に入ってきた。 先ほどとは違い、に壁に飾られた賞状などのサッカーの話題を茶化す様子はない。 智絵も続いて恐る恐る入ってきた。 「……これ……全部、しょーへー……なんでしょ」 羅璃が、掠れた声で尋ねた。 そして、本棚に律儀に取ってあったスケッチブックを取り出しパラパラと捲る。 かなりの数のデッサンやクロッキーが描かれたスケッチブックが、棚に何冊も並んでいる。「……ああ」 俺は、それだけ答えるのが精一杯だった。 羅璃は、壁の最後の賞状……高校のインターハイ予選のものを見つめて、立ち止まった。 そして、ゆっくりと俺の方を振り返った。智絵も、心配そうに俺を見ている。 沈黙が流れる。部屋の中には、過去の俺の痕跡だけが、静かに存在している。 やがて、俺は、ぽつりぽつりと、話し始めた。まるで、自分自身に聞かせるかのように。 「……高校三年。インターハイ予選だった。試合中に、デカい怪我をしたんだ」 声が震える。思い出すだけで、あ
Last Updated : 2026-07-18 Read more