Side Matthias「マティ!大丈夫なの!?突然倒れて、何か悪い所はないかしら?」「大丈夫です、母上。ところで、俺はどれくらい寝ていました?」「3,4時間位よ。ねえ、マティアス。本当に大丈夫なの?明日の顔合わせで倒れられたら困るわ」「大丈夫です。体もいつもより快調です。お気になさらずに」この押し問答は絶対数時間は続く。はっきり言って面倒臭い。母上が心配なさっているのは嬉しいが、でも本当に大丈夫なんだ。……というか、明日なんだな、ジェシカ・フォン・グラッチェスと会うのは。彼女は所謂悪役令嬢だ。そんな彼女は、常に未来の王妃として努力を惜しまなかった。そして何より、彼女はマティアスを深く愛していたのだ。だが、婚約者であるマティアスは、ヒロインと恋に落ちた。幼き頃からずっと一緒で初恋の相手でもある婚約者を、たかが会って数ヶ月の少女に奪われたのだ。しかし未来の王妃として、婚約者を取られたからと、物理的に嫌がらせをすることはできない。よって、会うたびに嫌味を言っていた。ただそれだけだが、プレイヤーの心を確実に抉る嫌味ばかりだった。彼女は努力する天才だ。その類稀な彼女の頭脳が、嫌味へと向いたら当然、どれも効果絶大な言葉のナイフとなるのだ。正直俺は、彼女を愛することはできない。俺は同性愛者だし、好きな人はいるし。どうやって彼女との婚約を回避しようか。いや、そもそも王太子である俺が、男と恋愛するのは許されない。――気が重いな。俺は人知れず溜息を吐いた。ちなみに、アインが嫌いそうなこの性格については、今は目を瞑らせて欲しい。◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆――翌日「今日はお日柄もよく――」「誠に嬉しゅう申し――」定型文から始まるお見合い。はっきり言って、乗り気じゃない。記憶を取り戻す前はこんなんじゃなかったんだけどな……。「じゃあ、あとは本人たちだけで」その言葉と共に、俺とジェシカ嬢は二人きりにされた。俺は、母上の言葉通りに、幾つかある庭の一つである薔薇園へ彼女をエスコートする。彼女は乙女ゲームの主役格であるために、やはり美しい。ベージュの髪に、紫の瞳。今はあどけなさもあり、可愛らしいが勝っているが、十年経つ頃には、美しい令嬢に育っている事だろう。はあ、そんな彼女を愛せないのが心苦しい。「マティアス様。私からお話がございます
Last Updated : 2026-09-16 Read more