夫の葬儀で、私は愛人にされた ――すべてを奪われた私を救ったのは、亡夫の兄でした ―― のすべてのチャプター: チャプター 11 - チャプター 20

45 チャプター

第11話 契約結婚生活

エレベーターを降りた紗英は、目の前に広がる空間を見て足を止めた。正面の大きな窓から、都心の街並みが見渡せる。磨かれた床に午後の日差しが落ち、その先には、ホテルのラウンジのような広いリビングが続いていた。もちろん、受付もなければ、人の姿もない。「……ここから、もうお部屋なんですか?」先を歩いていた怜司が振り返った。「この階はすべて、私の住まいです」すべて。紗英は、思わず左右を見回した。都心の一等地に建つタワーマンション。そのワンフロアを、一人で使っているという。雅人と暮らしたマンションも、紗英にとっては十分に贅沢な住まいだった。けれど、ここは広さも、窓から見える景色も、何もかもが違った。「都内では、ほとんどここで過ごしています。仕事場にも近いので」怜司は、それがこの家を選んだ唯一の理由であるかのように言うと、再び歩き出した。紗英は、慌ててその背中を追った。あの日、差し出されたペンで婚姻届に名前を書いた。そのあとに受けた説明や、必要だと言われてそろえた書類のことは、ひどく遠い出来事のように思える。そして数日後の今日、紗英は荷物とともに、この家へやってきた。「こちらを使ってください」廊下の途中で、怜司が扉を開けた。大きなベッドと、小さなソファ。 窓際には机があり、奥には専用の浴室まで備わっていた。先に運び込まれた自分の荷物が、壁際にまとまって置かれている。「収納は奥です。足りないものがあれば、担当者に伝えてください」「……貴方のお部屋は?」怜司の視線が、紗英へ向いた。口にしてから、聞き方を間違えた気がした。「いえ、そういう意味ではなくて」「どういう意味です?」……どういう意味って
last update最終更新日 : 2026-09-15
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第12話 思いがけない散歩

この家へ来て一週間がたった。朝食を終えた紗英は、広いリビングの壁一面を占める窓のそばに立っていた。眼下のビルの間に、大きな公園が見える。木々に囲まれた道を歩く人影が、小さく見えた。あれは、犬を連れた人? 黄色い帽子をかぶった子どもたちの列。その脇を、黒っぽい服の人影が足早に通り過ぎていく。あそこなら、土や葉の匂いがするだろうか。花壇には、何が植えられているのだろう。「何か見えるんですか」背後から声をかけられ、紗英は振り返った。怜司が、片手にコーヒーカップを持って立っていた。今日はまだ出かけないらしく、ネクタイを締めていない。シャツの襟元が少し開き、整えられていない髪がいつもより近づきやすい印象を与える。もっとも、それだけで軽い口調で声をかけられるほど、親しくなったわけではない。「……公園を」怜司は窓の外へ目を向けると、何も言わず、そのままキッチンのコーヒーマシンへと向かう。その後ろ姿をほんの少しだけ目で追ったあと、紗英は、もう一度ガラスの向こうの公園を見た。このまま部屋へ戻れば、今日も昨日と同じ一日になる。「あの」意を決して彼に声をかけた。「はい」「少し、外へ出たいんですけど」怜司は、キッチンのカウンターに置いたタブレットから目を離さずに答えた。「外出は、運転手をつけて車で行くなら別に構わない」「すぐそこの大きな公園に行きたいだけなんだけど」紗英はそう言いながら、窓の外を指さした。だが、怜司がこちらを向くことはなかったので、紗英は口をへの字にしてその指を下ろした。「車ならすぐだが」「歩きたいんです」そこでようやく、怜司が顔を上げた。「何か目的でも?」「ありません」「なら、何のために?」紗英は答えかけて、口を閉じた。自分は、納得の上でこの場所で軟禁されているの
last update最終更新日 : 2026-09-17
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第13話 契約妻の結婚式

怜司と散歩に出かけた翌日。久しぶりに外を歩いたせいか、紗英の気持ちは落ち着いて、軽くなっていた。今日は、ハウスキーパーさんが「私は花には疎いんですけど…」と言いながら、頼んでいた切り花を買ってきてくれて、それをあちこちに飾ることができたのも嬉しかった。寝室のデスクで一人PCに向かうと、なんだか閉塞感を感じて鬱々としてしまうので、日中は明るいリビングで、人の気配を感じながら、外の見える場所で過ごすことにした。いつまでこの軟禁生活が続くのかはわからないが、時間のあるうちにと、以前から気になっていた、イギリスのフローラルデザイナーのYouTubeレッスンをじっくり見る。小一時間ほどそれを見て、アイデアを練ったあと、自分のメモを作った。メモの中にイラストを入れると満足感で思わず顔が綻ぶ。仕事を終えて出て行くハウスキーパーを見送って、固まった体をほぐすように背伸びをする。リビングのテーブルに戻ると、“ポンッ”とPCの画面右上に通知が浮いた。『亡き弟の“愛人”を引き取ったVHG副社長』一瞬でさっきまでの気持ちが、冷たい何かに置き換わった。ニュースサイトの通知をクリックすると、画面に先日の公園での散歩のときの写真が出て来た。「何よ。これ……」  『亡き弟の“愛人”を引き取ったVHG副社長――葬儀騒動の女性と高級マンションで同棲か』  「高級ホテルグループ ヴァレストラ・ホスピタリティ・グループ(VHG)副社長・高槻怜司氏が、先日事故死した同社取締役・高槻雅人氏の葬儀で「妻」を名乗り騒動となった女性と行動をともにしていることが分かった。」  「女性は都内で活動するフラワーデザイナー。」  「関係者によれば、現在この女性は怜司氏が所有する都内の高級マンションに出入りし、生活をともにしているという。」  「高槻家をめぐる騒動は、思わぬ方向へ広がり――」公園の花壇の方を向いて、口元に笑みを浮かべた、目元を消した粗い白黒写真。雅人の葬儀の時にも、愛人が葬儀に乱入、という記事が出た。しかし、これほど大きくメディアを賑わせはしなかった。怜司は、私の動向を見張るために一緒に暮らす、と言った。でも、こんなことを想定していただろうか。こんな状況で、出て行けと言われたらどうしたらいいのか。「怜司さんと、話をしないと……」外から遮断されたここ数日の生活の
last update最終更新日 : 2026-09-18
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第14話 突然の訪問者

翌朝、紗英がリビングへ出ると、見知らぬ女性がダイニングテーブルの前に座っていた。濃紺のスーツに身を包んだ女性は、紗英に気づくと立ち上がり、丁寧に頭を下げた。「おはようございます。高槻副社長の秘書をしております、佐伯と申します」「あ、おはようございます」促されるままにダイニングテーブルに向かい、淹れてもらったコーヒーを恐縮しながら口にする。「本日は、結婚式についてお打ち合わせをさせていただきたく、参りました」テーブルの上には、いくつものファイルとタブレットが並べられていた。――本当に、結婚式をするんだ。昨夜、怜司から突然告げられた話が、ようやく現実味を帯びてくる。「その前に、一点ご報告がございます」佐伯はタブレットを紗英の前へ向けた。表示されていたのは、ヴァレストラ・ホスピタリティ・グループの公式サイトだった。そこには、昨日まで見たこともなかったお知らせが掲載されている。『弊社副社長・高槻怜司は、水城紗英氏と婚姻いたしております』「えっ……公式サイトからの公表……なんですか?」「はい。昨夜の報道を受けて、今朝、広報部より発表いたしました」紗英は画面に表示された自分の名前を見つめた。雅人との結婚は、ずっと隠していた。「結婚の公表はもめ事の元だから」と雅人には言われていた。怜司は一緒に暮らし始めてわずか一週間で、世間に向けて自分との結婚を公表したのだ。「副社長からは、これ以上、水城様を曖昧な立場に置かないように、と指示を受けております」「……そうですか」契約だから。目的があっての結婚だから、配慮が必要。きっと、それだけのこと。それでも、紗英は画面からしばらく目を離せなかった。◇◇◇相談することがたくさんあり、途中で百貨店の外商がやってきたりと、気づけば簡単な軽食を取っただけであっという間に日が傾く時間になっていた。「ドレスについては、こちらのショップを手配しております。装花については、水城様のお好きなようにしていただければと」佐伯の説明を聞きながら、紗英は並べられた資料をめくった。会場はヴァレストラ系列のホテル。招待客は双方の親族と親しい友人を中心に、必要な関係者を加えるという。「ご友人の招待についても、ご希望をお伝えいただければこちらで準備をいたします」「……少し、考えさせてください」仕事を失ってから、
last update最終更新日 : 2026-09-23
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第16話 本物の妻と

翌日の午後。 結婚式の招待客について考えていた紗英のもとに、思いがけない来客があった。 「高槻の若奥様……澄香様がお見えです」 インターホンを受けたハウスキーパーからそう告げられ、紗英は思わずソファから立ち上がった。 「澄香さん?」 ――雅人の本当の奥さん 昨日、悠真が訪ねてきたばかりだ。そのことだろうか。 こんな昼間に。当然だが、怜司は仕事でいない。 「……お通しして」 紗英は、緊張で冷たくなった手を握りしめた。 ◇◇◇ 澄香は、葬儀の日と変わらず隙のない装いだった。 淡いベージュのワンピースを着て、リビングのソファに腰を下ろす。 指にはあの指輪が光っていた。 紗英が向かいに座ると、澄香は静かに頭を下げた。 「昨日は悠真が突然押しかけてしまったそうで、申し訳ありませんでした」 「あ、いえ。驚きましたけど……」 「昨日、怜司さんが連れて帰ってきてくれたので、助かりました」 紗英は、どんな表情すればいいかわからず、無理に微笑み、ほんの少し頭を下げた。 澄香は、しばらく何も言わなかった。重い沈黙が流れた。 目の前にハウスキーパーがお茶を置き、去って行く。 どうしようもない息苦しさに、紗英はティーカップを手に取った。
last update最終更新日 : 2026-09-25
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第17話 雅人の遺したもの

澄香の目は、不安げにどこか遠いところを見つめていた。 「義母にその話をすると、仕事に持って行ったんだろうって。でも、それにしてはあまりに何もなさ過ぎて」 彼女は落ち着かないように、皺のないスカートを伸ばす。 「こんなことを他人に話すなんて、世間知らずも良いところなんでしょうけど、あなただからこそ話せる気がして。……悠真と私に残されたのは、彼の保険だけなんです。悠真が彼から相続できるものは何もありませんでした」 「え? だって、高槻の家があるんじゃないですか?」 「あれは、義父の物ですから」 澄香の言いたいことは、わかる気がした。 今の彼女には、何もないのだ。 自分も両親が相次いでこの世を去った時、寂しさや悲しさもさることながら、何もない自分にひどく不安を覚えた。 「義母は、怜司さんが帰って来たら、私と悠真を追い出すかもしれない、と言っていたんです」 「彼はそんなことしないと思いますけど」 まだ、よく知りもしない怜司だが、弟の妻子を家から追い出すような人には思えなかった。 「私もそう思っています。でも……あなたは、高槻の家に入りたいのかもしれない、と思って」 そう言った後、澄香は、深々と頭を下げた。 「どうか、私たち親子をあの家に置いていただきたいんです」 「や、やめてください。頭を上げてください」 驚いて声を上げ、思わず澄香が膝の上に置いていた手に触れていた。 「そもそも、私は高槻の家に入りたい、なんて思
last update最終更新日 : 2026-09-26
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第18話 祝福の裏側

結婚式の準備は、拍子抜けするほど順調に進んでいた。装花を任せてもらえるというので、張り切ってプランを立てたあとで、予算を聞くのを忘れていたことに気づく。会場となるホテルで打ち合わせをしながら、今さらながら秘書の佐伯に聞いてみた。「装花にかけられる予算って、どのくらいになりますか?」その言葉に佐伯が一瞬、目を丸くしたあと、笑みを浮かべた。「予算は、特にありませんよ。紗英さんの好きなように、と副社長からは聞いていますから」好きなようにって……自分が結婚式をするならどんな花で式場を飾りたいか。紗英にはずっと持ち続けていたイメージがあった。淡いピンクのアルストロメリア。母が入院していた頃、小学生の紗英がお小遣いで買って届けていた花だ。一本でもいくつもの花が咲くからと、花屋の女性が勧めてくれた。それ以来、いつか自分が結婚するなら、この花を使いたいと思っていた。白い花々の間に淡いピンクのアルストロメリアを散らし、オリーブの葉を添える。そんな装花で式場を飾りたいと、ずっと思っていた。もちろん、雅人との結婚式ではそれは叶わなかったけれど。――費用も契約のうちに入ってるってことよねこれ以上佐伯に聞いても、答えてくれそうにないので、遠慮せず、自分が思い描いていた装花にすることにした。◇◇◇結婚式の日は心地よい初夏の風が吹いて、とても良い天気だった。都内にある最も格式の高いヴァレストラホテルのインナーガーデンで、制服姿の人たちが会場をセッティングしているのを紗英は窓越しに見ていた。「紗英さん。そろそろ準備を始めましょう」結局、紗英側の招待客は多くなかった。会社を辞めるまで自分をかばってくれた元同僚の三田村佳奈。懇意にしていた花の仕入れ先の高岩優斗。そして、普段はほとんど交流のない母方の叔父夫妻。雅人のことが公になったあと、個人的に心配して連絡をくれたのは、佳奈と高岩だけだった。準備が整って控室で座っていると、軽いノックの音がする。ずっと付き添ってくれていた佐伯が戸口へ向かい、入れ替わるように怜司が入ってきた。白いタキシードの胸元には、昨夜紗英が作ったトルコギキョウとアルストロメリアのブートニアがある。「綺麗だね」社交辞令だとわかっていても、そう言われて嬉しくならないはずがない。「怜司さんも……とても素敵ですよ」思わずそう言ってし
last update最終更新日 : 2026-09-28
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第19話 忘れられた記憶

結婚式から三日が過ぎた。華やかだったホテルのパーティーも、白いドレスも、怜司と交わしたキスも。すべて、本当にあったことなのだろうかと思うほど、家の中はいつもの静けさを取り戻していた。紗英は、一日の終わりに、リビングのテーブルで、式に使った花の残りを小さく生け直していた。淡いピンクのアルストロメリア。まだいくつか、固いつぼみが残っている。この花は、ついている花が順に咲く。だから一本で、長く花を楽しめるところもいい。茎の先を切り、水を替えていると、ふいに背後から声がした。「まだその花、咲いてるんですね」振り返ると、怜司が立っていた。今夜は、いつもより早い帰宅だ。「おかえりなさい」「ただいま。結婚式のときの花ですよね。長持ちだ」「まだつぼみがありますから。ちゃんと手入れをすれば、もう少し楽しめますよ」紗英はそう言って、少し萎れた葉を取り除いた。「昔から、花が好きなんですか?」「え?」「そうやって、こまめに花の世話をしているから」思いがけない質問に顔を上げる。怜司は、アルストロメリアを見ていた。「お母様の思い出の花だと言っていましたね」「ああ……」紗英は小さく笑った。「小学生のお小遣いじゃ、毎日豪華な花束なんて買えませんから。少しでも長く咲かせたくて、いろいろ調べたんです」「毎日、病院へ?」「学校の帰りに行ける日だけです。病院も近くはなかったので」懐かしく、そして切ない記憶だった。病室の窓辺の小さな花瓶。痩せていく母の笑顔。そして――。一瞬、別の記憶が頭をよぎった。いつも病院で会った、少し年上の男の子。紗英の表情が曇る。「どうしました?」「いえ。あ……病院で出会った子のことを思い出して」怜司に聞かれ、紗英は何でもないと言うように首をふって答えた。「同じくらいの時期に、同じようにお母さんのお見舞いに来ている男の子がいて。よく話をしたんです」怜司の表情が、ほんの一瞬止まった。だが、紗英は気づかなかった。「大人になって雅人と出会ったとき、その子が彼だったってわかって」紗英は、アルストロメリアの位置を直しながら続ける。「私、全然気づかなかったんですよ。子どもの頃と大人じゃ、顔も変わりますしね」そして、手を止めて小さく息を吐いた。「それで……なんだか、運命の出会いみたいに思ってしまって。馬鹿ですよね」
last update最終更新日 : 2026-09-30
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第20話 不穏な電話

怜司が出発してから、まだ一日。それなのに、家の中が妙に静かに感じる。普段だって、日中はほとんど一人で過ごしているのに。おかしなものだ。紗英はリビングのソファに座り、意味もなく携帯電話の画面を開いた。最後に表示されているのは、今朝届いた怜司からのメッセージだ。『何かあったら、必ず連絡を』何回目ですか、と返した自分の文字を見て、小さく笑う。あれだけしつこく言われたのだから、さすがに忘れようがない。シンガポールまでは七時間ほどだろうか。――もう着いたかな。そう考えてから、紗英は携帯電話を伏せた。別に、彼が恋しいとかそんなわけではない。――すぐに帰ってくるんだし「何考えてるんだろ、私」声に出して、自分で呆れた。そのとき、テーブルの上で携帯電話が震えた。知らない番号。『知らない番号からの電話には出ない』昨夜の怜司の声が、そのまま頭の中で再生された。「はいはい。わかってますよ」誰もいない部屋で呟き、着信が切れるのを待った。数秒後。留守番電話が入ったという通知が表示された。仕事の連絡かもしれない、とそう思い、再生する。『水城紗英さんのお電話でしょうか』男性の声だった。聞き覚えはない。『突然申し訳ありません。高槻雅人さんのことで、お話ししたいことがあります』紗英の指が止まった。『これをお聞きになりましたら、ご連絡ください』そこでメッセージは終わった。雅人のこと?折り返しをしようかと考えて、手を止めた。――知らない番号には出ない。そうだ。こんなの怪しいことこの上ない。いくら気になったからといって、こちらから電話をするなど、もってのほかだ。紗英は番号をコピーし、何かあれば連絡するように、と聞いていた佐伯へメッセージを送った。『知らない番号から、雅人のことについて話があるという留守番電話が入りました。この番号に心当たりはありますか?』ほどなくして既読がついた。『確認いたします。こちらから連絡するまで、先方とは接触しないでください』紗英は携帯電話をテーブルへ置いた。自分一人で何とかしようとする必要はない。こういうのは、勝手に動くと良くない。ドラマとかでもそうじゃない?そう思った直後だった。今度は、ショートメッセージが来る。さっきと同じ番号からだった。一枚の画像が添付されていた。『信用いただけな
last update最終更新日 : 2026-10-03
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