祐希は慌てて七海へメッセージを送る。【ごめん七海、俺は本気で離婚しようとしたわけじゃない、どうか説明させてくれ】送信してしばらく待っても、既読がつかない。「……やっぱり、俺もブロックされたのか?」祐希は呆然と画面を見つめる。「そんなはずがない……」震える手で今度は電話をかける。しかし耳に届いたのは、感情の欠片もない機械音声だけだった。「おかけになった電話は現在おつなぎできません。しばらく経ってからおかけ直しください」電話番号まで、ブロックされていた。「……七海は、SNSに何を書いたんだ?」俊平はようやくスマホを差し出す。「どうぞ。ご自分の目で確かめてください」画面には、七海の投稿が映っていた。【今日をもって、北原祐希と縁を切る。もう二度と関わらない】その一文を読んだ瞬間、祐希の表情から血の気が引いた。もう、許してはもらえないということだろうか。次の瞬間、祐希は酒場を飛び出していった。麻衣が慌てて追いかけたときには、彼の車はすでに夜の街へ走り去っていた。千鶴も出てくる。「麻衣、大丈夫?」「……うん」麻衣は小さく頷いたものの、胸の中は不安でいっぱいだった。七海は本気で祐希と別れるつもりなのか。それとも、祐希を引き留めるために、駆け引きをしているだけなのか。彼女には分からない。だが、さっきの祐希の取り乱しようを見る限り、彼は七海との離婚を受け入れられないことは明らかだ。――じゃあ自分は何だ?二人にとって都合のいい駒だったのか?「千鶴……私、祐希さんに見捨てられちゃったのかな」「そんなことないよ。悪い方に考えちゃだめ」千鶴は優しく励ました。「きっと祐希さんは、七海に事情を説明しに行っただけ。決着をつけるためだよ」「そうだよね……もし祐希さんが私を捨てたら、そのときは私の味方になってくれるよね?」「……うん」千鶴は頷いたが、胸の奥は複雑だった。本当は――七海と祐希に離婚してほしくなかった。麻衣は親友。でも七海だって、同じくらい大切な親友なのだから。……祐希が自宅へ戻ると、広い家には使用人たちの姿しかなかった。七海の姿はどこにもない。しかし彼女の荷物は、そのまま残されていた。クローゼットに並ぶ洋服。洗面台の化粧品。彼女のお気に入りのぬいぐるみも、ガラスケー
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