All Chapters of 夫の浮気相手は私の親友だった: Chapter 21 - Chapter 22

22 Chapters

第21話

「私は……理想の物件が見つかったから、ちょっと浮かれて……」「僕も同じ気持ちですよ」「じゃあ、お礼にご飯をご馳走します。一日付き合ってもらったので」二人は近くの小さな居酒屋へ入り、食事をしながら酒を酌み交わした。その夜の七海は久しぶりに心から気分が高揚していた。飲み過ぎたせいで酔いが回り、すっかり上機嫌になってしまう。俊平が止めようとしてもまったく聞かず、最後は彼が七海を家まで送り届けることになった。だが俊平は気づいていなかった。この日はずっと、自分たちのあとをつけている者がいたことを。一人は祐希。そして、もう一人は――女性だった。祐希は一日中、七海のあとを追っていた。彼女がずっと俊平と一緒に過ごしている姿を見て、胸の奥に激しい苛立ちが込み上げる。だがそれ以上に、不安も募っていた。南川市へ来ていたはずの麻衣がどこにも見当たらないのだ。何度電話をかけても繋がらず、彼女が何を企んでいるのかも分からない。七海の身に何かあってはならない。そう思った祐希はホテルにも泊まらず、七海の実家のマンション前で一晩中見張ることにした。――その頃。七海がうとうとと眠っていると、スマホに知らないアドレスからメールが届いた。送り主は千鶴だった。連絡先がブロックされ、別のアカウントを使ってメールを送ったのだ。【七海。麻衣があなたを追って南川市へ向かった。様子がおかしかった。七海のせいで全てを失ったって言って、必ず復讐するって言ってたから、相当精神が不安定かもしれない。どうか気をつけて。今まで、祐希さんと麻衣のことをずっと黙っていて、本当にごめんなさい。私も反省をしてる。いつか仲直りしてくれたら嬉しい。ここ最近、いろいろ考えたの。親友のあなたと喧嘩別れなんてしたくなかったのに、どうしてこんなことになってしまったんだろうって。そしたら、やっと目が覚めた気がするの。何がともあれ、七海が傷つく姿がもう見たくない。だから、ちゃんと自分を守ってね】通知音は聞こえたが、七海は酔いが深く、スマホを手に取る気力すらない。そのまま再び深い眠りへ落ちていった。深夜。ふと、何かが焦げる臭いが鼻をついた。次の瞬間、廊下に火災警報器が鳴り響く。「火事だ!逃げろ!」誰かの叫び声が聞こえた。「七海!火事よ!早く出てきな
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第22話

「あなた!しっかりして!」紗智子は泣き崩れそうになりながら夫の体を揺らした。「七海、何とかできないの?」「お母さん、家にハンマーはある?」「ある、そこの棚の中よ!」七海はすぐに棚からハンマーを取り出し、力任せに玄関のドアを叩き始めた。だが何度振り下ろしても、ドアはびくともしない。「七海……お父さんがもう……!」紗智子は嗚咽を漏らしながら叫んだ。「お父さんが死んだら、私だって生きていけない!」「誰かいませんか!お願いです!ドアを開けてください!」廊下には避難する人々が次々と駆け抜けていく。けれど、誰一人として立ち止まり、この部屋の扉を開けようとはしなかった。絶望しかけた、その時だった。ドアの向こうから聞き覚えのある声が響く。「七海、中にいるのか?」祐希だった。「七海さん!ご両親は無事ですか?」続いて俊平の声も聞こえる。「七海、慌てるな!今すぐ助ける!」二人が同時に駆けつけてくれた。七海は胸が熱くなり、必死に叫ぶ。「私はここです!お願い、早く開けて!父がもう限界なんです!」ドンッ――!激しい衝撃とともに玄関が破られた。真っ先に飛び込んできたのは祐希だった。「お義父さん、お義母さん、もう大丈夫です!今助けます!」炎はさらに勢いを増し、廊下まで熱気が押し寄せている。祐希は康二を背負うと、そのまま階段へ向かって駆け出した。俊平も紗智子を背負い、数歩進んだところで振り返る。「七海さんも早く!」「はい!」七海もふらつきながら二人のあとを追う。避難する住人で階段は大混雑だった。酒がまだ残っていた七海は足元がおぼつかず、人にぶつかられた拍子にバランスを崩す。「きゃっ――!」そのまま階段を転げ落ちた。最後の一段まで転がり落ちると、頭を手すりへ激しく打ちつける。次の瞬間、意識は闇に沈んだ。……目を覚ますと、誰かが話している声が耳に入ってきた。「紗智子さん、安心してください。七海さんに命の別状はありません」俊平の声だった。「それと、犯人の夏目麻衣ですが、警察に逮捕されました。放火のうえ、多くの住民に迷惑をかけ、負傷者まで出しています。実刑は免れないでしょう。仮に出所できたとしても、もう紗智子さんたちに危害を加えることはできません」「そうだったの……
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