エルゼはお姉様の”治療”のおかげで、昨日の惨事が、まるで悪い夢だったように、身体が軽くなっているのを感じていた。ただ、下腹部の奥に消えない僅かな熱が居座っている。(たくさんお姉様に”穢れ”を落としてもらったから、まだ身体が落ち着かないのかもしれないわ……)自分に言い聞かせるように、考え事をしていると、エレノアがやってきて広間へと連れて行かれた。暫く待っていると、広間に凛とした慈愛に満ちた声が響く。「ただいま、エルゼ。待たせてしまったかい?」そこには旅塵を纏いながらも、神々しいまでに美しいアルベールが立っていた。「お兄様……! お帰りなさい!」エルゼは溢れる涙を拭いもせず、駆け寄ってお兄様の胸に飛び込んだ。アルベールはそれを優しく受け止め、細く軽い身体を抱きしめる。「いい子で留守番できたかい? ……実は、今回の遠征で魔力を使い過ぎたようで……エルゼの魔力を少しだけ貰ってもいいかな?」「はい……! 私ので良かったらいくらでも使ってください!」エルゼは愛する兄の役に立てる。その純粋な喜びに即答してお兄様に抱きついた。「ふふ。いくらでも……なんて。エルゼが倒れてしまうよ。だけど、ありがとう。それじゃあ少しだけ貰うね」アルベールは微笑み、エルゼを抱きしめたまま銀糸に顔を埋め、吸い上げるように魔力を吸収し始める。傍目には「疲れ切った兄が妹に癒やしを求めている」美しい光景。(あ、ぁ……っ!?)だがその瞬間、エルゼの背筋に電流が走った。アルベールが魔力を引き出すたび感度が上がり、体
Last Updated : 2026-08-11 Read more