アルベールの帰還日。エルゼは出迎えのために玄関ホールまで来ていた。馬車から降り立ったアルベールは、疲れを感じさせない優雅な足取りでエルゼの元へ足を運ぶ。「ただいま、エルゼ。僕の留守中はいい子にしていたかい? おや……少し顔が赤いようだね。まずはエルゼの部屋へ行こうか」「は、はい……お兄様……っ」エルゼは懸命に平静を装うが、杭に貫かれ、まるでアルベールの前で、昨日までの情事が曝されているように感じた。酷く罪悪感を覚えたが、それが逆にエルゼの身体を昂らせる。アルベールは車椅子を押し、時折肩を跳ねさせるエルゼに気付かない振りをしながらカイルに声をかけた。「カイル、エルゼの様子はどうだった?」「ここ数日、エルゼ様は少々体調を崩され、寝室で過ごすことが殆どでした」「そうか……それは心配だ。魔力が乱れているのかもしれないね。ずっと付きっきりで疲れたろう。カイルはひとまず下がっていいよ」「はっ。何かありましたらお呼び下さい」カイルは恭しく一礼し、立ち去り際にエルゼへ一瞬だけ、昏い独占欲を孕んだ視線を送った。エルゼはその視線に射抜かれ、昨夜注ぎ込まれた”熱”が、まだ中に残っているような錯覚に陥り、身体を小さく震わせながら目を伏せた。エルゼの寝室に入り、アルベールは車椅子をベッドサイドに止めると、エルゼを抱き上げベッドに横たえる。「やはり指輪でも”呪われた魔力”は完全に抑えきれないようだね。また僕が浄化してあげるから心配しないで」アルベールはいつも通りエルゼの両手を大きな手で包み、ゆっくりと魔力を抜いていく。「あっ……は、んんっ……!
Terakhir Diperbarui : 2026-08-21 Baca selengkapnya