奈々を抱きしめたまま、私は全身の力が抜けた。防犯カメラの映像が脳裏に焼きつき、何度振り払おうとしても消えてくれない。まだ5歳の子供が、3日3晩、たった一人で過ごしていたなんて……私は奈々をそっと離し、その顔を両手で包み込み、覗き込んだ。左の頬骨には大きな青あざがある。ソファから落ちたときにぶつけたのだろう。あごには小さな擦り傷ができ、黒ずんだかさぶたになっていた。そっと手を取って見ると、袖の下には、真っ赤に腫れ上がった火傷の跡が広がり、いくつもの水ぶくれができていた。破れた水ぶくれからは、薄黄色い浸出液がにじんでいる。その瞬間、涙があふれた。「痛かったでしょう?」奈々は慌てて手を引っ込め、小さく首を振る。「ううん。醬油塗ったの。ひんやりして、もう痛くないよ」まだ5歳の子どもが熱湯で火傷をした時、思いつく応急処置が醬油を塗ることくらいだろう。20分以上流水で冷やさなければならない。水ぶくれが破れれば感染するおそれがあるから、すぐ病院に行かなければならない。そんなことは、彼女が知るはずもない。その間、父親である宗介は何をしていたのか。ほかの女性の子供を海へ連れて行き、ワインを飲み、写真を撮ってSNSに投稿していた……私は宗介とのチャット画面を開いた。最後のやり取りは、3日前で止まっている。出張へ向かう前、私は次のメッセージを送った。【家政婦の山田さんは今週、家の都合でお休みなの。だからこの3日間は、必ず時間どおりに帰って奈々ちゃんの面倒を見てね】返事は、【了解】という2文字だけだった。それから3日間、メッセージは一通も届かず、電話も一本もなかった。私は宗介に電話をかけた。何度かコールが鳴った後、ようやく繋がった。向こうは騒がしく、ショッピングモールのような雑踏の音が聞こえる。子どもたちの楽しそうな笑い声まで混じっている。「帰ってきたのか?」今日の天気でも聞くような、気楽な口調だった。「宗介、この3日間、一度も家に帰ってないじゃない」「ああ、急に仕事が入ってさ。でも、山田さんに頼んで……」「山田さんは休みだって、出発する前にちゃんと伝えたでしょう?」受話器の向こうが、ぴたりと静まり返る。「……奈々ちゃんは?無事か?」無事って?私は奈
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