霜川市の冬は、乾燥した冷たい空気の中に、いつも年越しの準備をする出汁の匂いや、家々の窓から漂ってくる夕食の香りが混じっていた。寧々が佳正の手を引き、駅を出た時、ここ数日張り詰めていた神経がようやく完全に解き放たれた。浅野家が住む古い集合住宅の階段で、二人の足音に反応してセンサーライトが点灯していく。ドアの前に着く前に、内側から勢いよくドアが開けられた。「寧々!佳正!やっと着いたのね!」小百合はエプロン姿で、手にはまだ小麦粉がついていた。彼女は寧々の手からそれほど重くない荷物をサッと受け取ると、屈み込んで佳正を抱きしめた。佳正は大人しく、祖母に抱きしめられるままになっていた。「早く入りなさい、外は寒いだろう!」賢三も玄関に出迎え、娘のコートを受け取った。「よく帰ってきたな」小さなリビングは、温かみのあるオレンジ色の照明で心地よく明るく照らされていた。使い古して少し色褪せた布製のソファには、小百合が新しく編んだ毛糸のカバーが掛けられており、柔らかくて温かい。寧々はローズピンク色の綿の部屋着を着せられ、少し困ったような笑いを浮かべていた。「パッと明るくていい色じゃない!お正月はこういう明るい色を着るものよ!早く着なさい、温かいから!」小百合は有無を言わせなかった。佳正は綿の部屋着にすんなり順応し、自分用の小さな青いお揃いの服を大人しく着ていた。時折顔を上げ、おじいちゃんやおばあちゃん、そしてママの会話に耳を傾けていた。その時、チャイムが鳴った。佳正は目を輝かせ、素早い動作でドアを開けに行った。ドアの外には誠が立っていた。手には霜川市の特産品や二人の老人への栄養食品など、大小の包みを提げている。「誠おじさんだ!」佳正の声には珍しく弾んだ響きがあった。「誠くんじゃないの!早く入ってちょうだい!ちょうどご飯ができるところよ!」キッチンから小百合の声が聞こえてきた。その声には喜びが溢れていた。誠は笑って佳正の髪を撫で、中に入った。「おじさん、おばさん。またご飯をご馳走になりに来ちゃいました」「ご馳走だなんて、ここは誠くんの家みたいなものよ!毎日でも来てほしいくらいだわ!」小百合は最後の一皿を手にキッチンから出てきた。食卓には、決して豪華とは言えないが、寧々の記憶にある通りの
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