七日後、南区孤児院の洗濯場の小窓を見に行く日が来た。 予定表には、たった一行で書かれていた。 ――南区孤児院、洗濯場小窓再確認。 それだけである。 王宮の大きな予定表の中では、あまりにも小さい。 同じ日には、王太子府の再教育報告、ベルナール分家の補填金処理、夫人会臨時窓口の新様式確認、救貧院の冬季支援第二便、薬草園の匂い欄付き記録試行も入っていた。 それらに比べれば、小窓ひとつの確認など、些細に見える。 けれど、エレノアはその一行に赤ではなく、青の印をつけていた。 青は継続確認。 重要度ではなく、忘れてはいけない約束の印だ。 最初に窓布を掛けた日、ロウ夫人は言った。 洗濯場は湿気が多く、布が傷みやすい。 だから七日後に見る。 その約束を守る日だった。 王妃基金臨時長が自ら行く必要があるかと問われれば、必ずしもそうではない。 記録係と夫人会代表代行だけでも足りる。 けれど、エレノアは行くことにした。 最初の再確認は、制度の癖を決める。 約束した再確認が、本当に行われるのか。 現場はそれを見ている。 王宮側も、それを見ている。 ここで「小窓だから」と後回しにすれば、次も後回しになる。 後回しは、やがて空欄になる。 空欄は、誰かの夜に風を入れる。 だから、行く。 朝の北翼執務室で、リリアナは小窓再確認の記録紙を何度も見直していた。「洗濯場小窓、前回確認者、デリア様。作業者、ミリアム様、メイベル様、ニナさん。次に見る日、七日後。確認項目、湿気、布端ほつれ、留め具、風の入り方、洗濯時の邪魔にならないか」 声に出して読んでから、彼女は顔
Last Updated : 2026-10-06 Read more