Todos los capítulos de 夫の葬儀で、死んだはずの彼から電話がきた ~「棺を開けるな」その一言から始まる財閥復讐婚~: Capítulo 21 - Capítulo 30

56 Capítulos

第22話 炎から戻った夫は、亡き弟の告白を最後まで聞けと言いました

 正面スクリーンには、十七歳の美月の顔が映ったまま、冬真の声による証言が流れ始めたが、最初に語られたのは高遠の犯行でも、久瀬製薬の違法実験でもなく、冬真自身が私へ近づいた理由だった。『雨宮澪を最初に調べたのは、母から、雨宮修司が隠した原本を見つけろと命じられたからです。僕は母の指示を拒んだつもりでしたが、修司さんの死因と兄さんの冤罪を調べるためには原本が必要だと、自分へ別の理由を与え、澪へ近づきました。目的が母のためから告発のためへ変わっても、澪に出会いの理由を話さなかった事実は変わりません』 冬真本人が記録した文章である可能性は高かったが、本人の顔ではなく、美月の顔が口を動かしているため、夫の告白を聞いているはずなのに、被害者の少女から、あなたとの結婚は調査だったと責められているようにも感じた。『やめてください。内容を止めてほしいのではなく、私の顔で話すことをやめてください』 美月が自分の声で訴えても、死後証言執行者は、受益者本人による中止命令は、判断能力と権限の一致を確認できないため受理しないと答えた。本人の顔と生体反応を使って認証を成立させたはずの仕組みが、本人から拒否された途端、判断能力を確認できないと言い始めたことに、会場からも疑問の声が上がった。「美月さんの代理人として、肖像と声の使用停止を改めて要求します。裁判所の暫定命令も出ており、会社が配信を止めないのであれば、議長と取締役個人へ損害賠償と刑事告発を行います」「当社の設備は外部から制御され、現場では停止できない状態です。取締役会が
last updateÚltima actualización : 2026-08-30
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第23話 十人目の患者の出生記録には、私の名前が書かれていました

 臨時株主総会が第一号議案の否決を確認し、裁判所の証拠保全命令を受け入れて休会したころには、朔也が旧研究病院から搬送されて二時間近くが経っており、私が救急病院へ着いたとき、正面玄関には、夫を火災現場へ残したまま総会へ居座った妻の気持ちを聞かせてほしいと叫ぶ記者たちが集まっていた。 車から降りれば囲まれると分かっていたため、病院側が用意した地下搬入口へ回ることもできたが、私は、正面へ集まった人々の存在を知らなかったことにして裏から入れば、逃げたと書かれるのが怖いと感じ、その恐れを、人命を優先して取材へ応じないという立派な説明へ置き換えそうになった。「澪さん、正面を通る法的な必要はありませんし、記者へ説明しなければならない義務もありませんが、何も話さず裏へ回ったあと、自分が逃げたと思い続けるのであれば、私が短く状況を説明し、そのあいだに入ってもらうことはできます。ただし、朔也さんを心配する妻の映像を撮らせれば有利になるという判断まで含んでいるなら、それも自分で認めてから選んでください」 芙美から言われ、私は、総会で美月の顔を使った取締役会を責めた数時間後に、自分の顔を、夫を心配している証拠として使おうとしたことへ気づいた。「裏から入りますし、逃げたと書かれれば、逃げましたと認めます。私は今、知らない人から質問されれば、朔也さんへ会う前に、自分たちの結婚が本物だと説明してしまう気がしますし、その説明を先にすれば、病室で本人へ何を言っても、世間へ向けた続きのように感じると思います」「それなら、報道対応は病院と警察へ任せますが、今の判断を、取材へ応じなかった正解として覚えないでください。明日に
last updateÚltima actualización : 2026-08-31
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第24話 亡き夫は、プロポーズの六日前に私の出生記録を開いていました

 父の文章を読み終えたあと、私は、十人目の患者が自分だったことよりも、父を告発する権利があると、亡くなった本人から許可されたことへ腹が立った。 父を恨んでもよいのか、会社へ売られたと考えてよいのか、それでも守ろうとしてくれた人として愛してよいのか、それらを決める権利は、本来、父から返してもらわなければ持てないものではない。それなのに、死ぬ前の父は、自分を告発してよいという言葉を残すことで、最後には娘へ選択を返した誠実な人間になろうとしており、その文章を読んだ私も、父は自分の間違いを理解していたのだと安心しかけていた。「続きを開いてください。父が自分の罪を認めた文章だけで終われば、私は、最後には分かってくれた人として、また父を許す理由へ使います」「開示できる範囲は広がりましたが、医療記録には、澪さんの出生だけでなく、お母様の診療情報も含まれています。お母様は亡くなっていますが、亡くなった人の情報であっても、ご遺族である澪さんが無条件に全てを読めるわけではありませんし、今夜、続けて読まなければならない緊急性もありません」 真奈は、私が感情的だから止めるのではなく、二人分の記録を一人の意思だけで開く危険があると説明した。私は、母の記録を勝手に読むことへ抵抗を覚えながら、母が私の出生時刻を偽り、父と一緒に母子健康手帳を隠したのであれば、その沈黙によって、すでに自分の人生へ関与しているとも考えた。「母の病気と私の出生が関係ない部分まで読みたいとは言いませんが、母が私へ薬を受けさせることへ同意したのか、私を守るため記録を隠したのか、それとも、父や会社から何も知らされていなかったのかは確認したいで
last updateÚltima actualización : 2026-09-01
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第25話 死んだ夫が登録した十一人目の患者は、私のお腹にいました

 本人への事前通知を不要とするという一文を見たあと、私は、AUR‐011が将来生まれるかもしれない子どもの番号ではなく、すでに冬真と雅世のあいだで、私へ知らせず作られた家族の一員であるように感じた。「母体と胎児を保護するためと書けば、本人へ知らせないことまで医療上必要だったように見えますが、妊娠した私へ話さず、どうやって保護するつもりだったのですか。眠っているあいだに入院させるのか、通常の健診だと嘘をついて採血するのか、それとも、危険が出るまで普通の妻として暮らさせ、緊急時だけ会社の患者へ戻す予定だったのですか」「冬真が作った最初の案では、妊娠反応が確認された時点であなたへ説明し、久瀬製薬と無関係な医師を選ばせることになっていました。しかし私は、説明を受けたあなたが会社を信用せず、検査そのものを拒む可能性があると考え、事前通知を不要とする条件を加えました」「その説明なら、冬真は知らせようとし、あなたが隠したことになりますが、承認者には二人の名前があり、冬真は死亡する三日前まで記録を開いていました。あなたが勝手に書き換えたのなら、なぜ本人は戻さなかったのですか」 雅世は、自分の責任を冬真へ分けたくない気持ちと、息子だけを庇えば、また母親として都合のよい説明になるという迷いを隠さず、しばらく黙った。「あの子は、最初、あなたへ話すつもりだったと思いますが、結婚後の照合結果を見たとき、AUR‐010の記録を公表すれば、あなたが会社の患者として扱われ、子どもを持つことまで監視されると恐れました。それなら、会社の内部で記録を封じ、自分が必要な検査だけ管理すればよいと考え、私が追加した条件を残しま
last updateÚltima actualización : 2026-09-02
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第26話 死んだ夫は、私の妊娠を全株主へ公表しました

 朔也の名がAUR‐011の管理者として表示されると、本人は、引き受けないと即座に答えたが、私は、彼が私や子どものため辞退したのか、自分が弟の遺産を奪った男に見られたくないから逃げたのか、判断できなかった。「拒否する前に、受け入れなかった場合、管理権がどこへ移るのか確認してください。あなたへ引き受けてほしいと頼んでいるのではなく、拒否すれば正しい人間になれると思い、結果を見ないまま決めないでほしいのです」「俺の同意なく名前を登録した制度へ、拒否する前に説明を聞けと言われること自体が、すでに選択を狭められている。受け入れなければ子どもが危険になると示されれば、自由に断れるとは言えない」「そのとおりですが、私は今、子どもの身体と株式が関係するため、あなたの自由より結果を先に考えてほしいと思っています。その気持ちを、母親として当然だと正当化せず、あなたへ強制しようとしていることも認めます」「君から、子どもを守るため受け入れてほしいと言われれば、断れないと思うし、断れない俺を信頼された夫だと感じ、うれしくなる部分もある。それで受け入れたあと、君から選ばれた父親だと思い込み、子どものことへ口を出す権利まで得たと考えるのが怖い」 芙美は、二人の会話を止めず、AUR‐011の仮登録が法的にどこまで効力を持つか確認していた。冬真が作った処理命令だけでは、朔也へ医療同意権も議決権も自動的に移らないが、家族信託には、管理者候補が四時間以内に辞退しなければ暫定受諾とみなし、辞退した場合には、久瀬製薬の患者保護委員会が後任を選ぶという条項が入っていた。
last updateÚltima actualización : 2026-09-03
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第27話 夫は、裁判官の前で「この結婚は愛ではなく復讐でした」と認めました

 七十二時間以内に離婚しなければ子どもを会社へ渡すという申立てを読んだ朔也は、裁判所の判断を待つより先に、離婚届を用意してほしいと芙美へ頼んだ。「署名するだけで、今すぐ提出するとは言っていない。裁判所が旧取締役の主張を認め、離婚しなければAUR‐011を患者保護委員会へ移すと決めた場合、俺の署名を待つ時間で、君と子どもが会社へ連れていかれる可能性を減らしたい」「私へ選択肢を渡すためと説明していますが、署名した離婚届を私へ渡せば、提出して子どもを守るか、提出せずあなたを選ぶかという最後の判断を、私一人へ持たせることになります。あなたは、どちらになっても、自分は私の決定を尊重した夫でいられますが、私は、あなたと子どものどちらを選んだか考え続けるのですよ」「なら、俺が提出すると決めればよいのか。君へ相談せず離婚を成立させれば、冬真と取締役の命令に従い、君の夫であることを勝手にやめる。どちらにしても、片方へ責任が偏ることは避けられない」「避けられないから、少しでも二人で持つ方法を考えるのではなく、先に署名して、いつでも自分を切り離せる状態を作ろうとしたことへ腹が立っています。あなたは、子どもを守るため離婚する男になれば、私から愛されると思っていませんか」 朔也は、そんなことは考えていないと否定しかけたが、私が返事を待つと、点滴の管がついた左手を見つめた。「思っている。離婚したあと、君から、本当は別れたくなかったと言われ、子どもが会社から自由になったとき、もう一度選ばれる場面まで考えた。自分から離婚すれば、
last updateÚltima actualización : 2026-09-04
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第28話 離婚させられた私へ、元夫は「もう一度、契約結婚をしてくれ」と言いました

 戸籍上、朔也と他人になったと聞いた瞬間、私の中へ最初に生まれたのは悲しみではなく、これで、退院から一週間後に結婚を続けるか答えなくてよくなったという、ほんのわずかな安堵だった。 その安堵へ気づいた途端、離婚を望んでいないと裁判所で話したばかりなのに、自分は本当は別れたかったのではないか、父親になってほしいと朔也へ期待しながら、答えを出す責任から逃げたかっただけではないかと考え、私は、彼の顔を見られなくなった。「私は今、少し安心しました。あなたと離婚できてよかったという意味ではなく、結婚を続けるか自分で決めなくてよくなったことへ安心しましたが、そんな違いを説明すれば、自分は別れを望んでいなかったと守ろうとしているように聞こえます」「俺も、離婚させられたと知った瞬間、これで子どもの管理権を狙った夫だと疑われずに済むと思った。君を失ったことより、自分の疑いが晴れる可能性へ先に安心し、そのあとで、君がもう妻ではないと理解して怖くなった」「私より先に、自分の名誉を考えたことを責めてほしいですか。それとも、正直に言ったから許してほしいですか」「どちらも求めているが、許されたあと、正直だった自分へ満足すると思う。君も、安堵したことを話したから、離婚を喜んだのではないと分かってほしいのではないか」「分かってほしいですし、あなたが傷ついた顔をすれば、自分の安堵を取り消したくなります。ただ、最初に感じたことまで、あなたを愛している証明へ合わせて書き換えません」
last updateÚltima actualización : 2026-09-05
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第29話 死んだ夫は、兄へ「会社を捨てれば父親にする」と遺言しました

 高遠から裁判所へ送られた書類を開く前に、芙美は、亡くなった父親が遺言や意思書へ何を書いていても、私が出産後に持つ親権を奪ったり、本人の同意なく朔也との養子縁組を成立させたりすることはできないと説明した。「法的な効力がない部分が多いのであれば、読まなくても私たちの生活は変わりませんか。それとも、子どもの十五パーセントの株式と結びつけ、書かれた条件へ従わなければ相続できない仕組みになっているのですか」「親権を冬真さんが決めることはできませんが、本人が信託へ移した株式について、一定の管理条件を付けることはできます。ただし、条件が子どもの利益や公序良俗へ反し、母親の選択を不当に制限する場合は、無効を争えますし、子どもには、信託と別に法律上保障される相続分もあります」「争えるという説明は、今すぐ従わなくてよいという意味であって、最初から何も影響しないという意味ではないのですね」「はい。無効だと判断されるまで、信託側は、書面の条件に従って処理する可能性があります。ただ、読むことを拒否したから条件へ同意したとも、読んだから従うと約束したとも扱われません」 私は、冬真の意思を知れば、愛していた夫が子どものことまで考えてくれたと安心し、そこへ書かれた条件を少しは守ってあげたいと思うかもしれず、逆に、また自分の人生を決められたと怒ることで、子どものために必要な提案まで拒むかもしれなかった。「読みます。ただし、冬真が子どもの父親だったから意見を尊重することと、亡くなった父親に決定権があることを分けてください。私は、あ
last updateÚltima actualización : 2026-09-06
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第30話 死んだ夫は、私が子どもを産めば死ぬかもしれないと知っていました

 独立検査機関から届いた報告書には、AR‐7関連物質の値が上昇しているという結果のほかに、血小板の減少、血液を固める働きの変化、肝機能を示す数値のわずかな異常が記されていたが、それらが妊娠初期に一時的に起きた変化なのか、二十四年前に投与された試験物質が再び作用し始めた兆候なのか、現在の資料だけでは判断できないと書かれていた。 私は、判断できないという言葉を、危険ではないという意味へ読み替えたくなったが、産婦人科医は、安心させるために曖昧な説明をすることも、最も悪い結果だけを示して決断を急がせることもできないと前置きし、妊娠を続けた場合、私の血液や神経へどのような影響が起きるか、胎児に同じ物質が移るか、出産まで身体が耐えられるかについて、確実に答えられる者はいないと話した。「では、妊娠を終わらせれば、澪の身体からAR‐7に似た成分が消え、少なくとも本人の命は守れるのですか。俺は、彼女へ子どもを諦めろと言うためではなく、選択肢ごとに、何を失い、何を守れる可能性があるのか知りたいのですが、その質問自体が圧力になるなら、本人のいない場所で聞きます」「私のいない場所で、私の妊娠について安全な答えを先に聞き、その答えをどう伝えるかあなたが決めれば、冬真と同じことになりますから、ここで聞いてください。それに、あなたが妊娠を終えてほしいと思っているなら、その気持ちまで医師の説明へ隠さず、あとで自分の言葉として話してください」 朔也は、終えてほしいと決めたわけではないと反射的に否定しかけたが、言葉を途中で止め、自分は、子どもへ会いたいと思う一方、私が死ぬ可能性を聞いた瞬間、妊娠を続けないでほしいと考えたと認めた。
last updateÚltima actualización : 2026-09-07
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第30話 死んだ夫は、私が子どもを産めば死ぬかもしれないと知っていました

 独立検査機関から届いた報告書には、AR‐7関連物質の値が上昇しているという結果のほかに、血小板の減少、血液を固める働きの変化、肝機能を示す数値のわずかな異常が記されていたが、それらが妊娠初期に一時的に起きた変化なのか、二十四年前に投与された試験物質が再び作用し始めた兆候なのか、現在の資料だけでは判断できないと書かれていた。 私は、判断できないという言葉を、危険ではないという意味へ読み替えたくなったが、産婦人科医は、安心させるために曖昧な説明をすることも、最も悪い結果だけを示して決断を急がせることもできないと前置きし、妊娠を続けた場合、私の血液や神経へどのような影響が起きるか、胎児に同じ物質が移るか、出産まで身体が耐えられるかについて、確実に答えられる者はいないと話した。「では、妊娠を終わらせれば、澪の身体からAR‐7に似た成分が消え、少なくとも本人の命は守れるのですか。俺は、彼女へ子どもを諦めろと言うためではなく、選択肢ごとに、何を失い、何を守れる可能性があるのか知りたいのですが、その質問自体が圧力になるなら、本人のいない場所で聞きます」「私のいない場所で、私の妊娠について安全な答えを先に聞き、その答えをどう伝えるかあなたが決めれば、冬真と同じことになりますから、ここで聞いてください。それに、あなたが妊娠を終えてほしいと思っているなら、その気持ちまで医師の説明へ隠さず、あとで自分の言葉として話してください」 朔也は、終えてほしいと決めたわけではないと反射的に否定しかけたが、言葉を途中で止め、自分は、子どもへ会いたいと思う一方、私が死ぬ可能性を聞いた瞬間、妊娠を続けないでほしいと考えたと認めた。
last updateÚltima actualización : 2026-09-07
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