正面スクリーンには、十七歳の美月の顔が映ったまま、冬真の声による証言が流れ始めたが、最初に語られたのは高遠の犯行でも、久瀬製薬の違法実験でもなく、冬真自身が私へ近づいた理由だった。『雨宮澪を最初に調べたのは、母から、雨宮修司が隠した原本を見つけろと命じられたからです。僕は母の指示を拒んだつもりでしたが、修司さんの死因と兄さんの冤罪を調べるためには原本が必要だと、自分へ別の理由を与え、澪へ近づきました。目的が母のためから告発のためへ変わっても、澪に出会いの理由を話さなかった事実は変わりません』 冬真本人が記録した文章である可能性は高かったが、本人の顔ではなく、美月の顔が口を動かしているため、夫の告白を聞いているはずなのに、被害者の少女から、あなたとの結婚は調査だったと責められているようにも感じた。『やめてください。内容を止めてほしいのではなく、私の顔で話すことをやめてください』 美月が自分の声で訴えても、死後証言執行者は、受益者本人による中止命令は、判断能力と権限の一致を確認できないため受理しないと答えた。本人の顔と生体反応を使って認証を成立させたはずの仕組みが、本人から拒否された途端、判断能力を確認できないと言い始めたことに、会場からも疑問の声が上がった。「美月さんの代理人として、肖像と声の使用停止を改めて要求します。裁判所の暫定命令も出ており、会社が配信を止めないのであれば、議長と取締役個人へ損害賠償と刑事告発を行います」「当社の設備は外部から制御され、現場では停止できない状態です。取締役会が
Última actualización : 2026-08-30 Leer más