身体が突然、ふっと軽くなった。そのまま私は、宙へ浮かび上がっていった。下を見下ろすと、部屋の隅で小さな身体がうずくまっていた。制服は焼け焦げ、残っているのはわずかな布切れだけ。皮膚は焼けた紙のように真っ黒に焦げ、少し触れただけで灰になってしまいそうだった。髪の毛は一本も残らず、青白い頭皮がむき出しになっている。そこには無数の水ぶくれがびっしりと浮かんでいた。それは私だった。もっと正確に言えば、それは私の死体だった。私は死んだ。大晦日の夜、自分の部屋で、生きたまま焼き殺されたのだ。階下から、救急車のサイレンが聞こえてきた。邸宅の庭にある人感センサーライトが点いては消え、消えてはまた点く。遠くからは、途切れ途切れにお正月の歌も聞こえていた。救急隊員たちが担架を抱えて駆け込んでくる。母の泣き声が、張り裂けそうに響き渡った。「佐緒里ちゃん!目を開けて、お母さんを見て!お願いだから!」母は妹をぎゅっと抱きしめ、両手を震わせていた。父も担架の横について歩き、顔面を真っ青にして、一歩たりとも離れようとしない。妹の顔の火傷を見つめながら、目を真っ赤にしていた。「絶対に助けてやってくれ……頼む……」最初から最後まで、誰一人として2階を見上げることはなかった。救急車はサイレンを響かせながら、走り去っていった。邸宅のリビングでは、テレビがまだ特番を流していた。アナウンサーは満面の笑みを浮かべている。「この家族団らんのひとときに、皆さまのご家族に幸せが訪れますように……」それから、およそ1時間が経った頃、父が戻ってきた。その顔は、今にも雷が落ちそうなほど険しかった。父は大股で2階へ上がり、私の部屋の前で足を止めた。「美緒!出てこい!」父は焦げたドアを思いきり蹴り飛ばした。ドンッ!大きな音が響き、木片が床に散らばった。私は父の目の前まで浮かんでいき、「お父さん」と呼ぼうとした。けれど、声が出なかった。「中に隠れていれば、俺が許すとでも思ったか?」父は冷笑した。「お前の妹はまだ救命処置を受けてるんだ。顔の傷が残ったら、お前は一生ただじゃ済まさないからな!まだ子供のくせに、なんて悪どい心をしてるんだ。あれはお前の実の妹だぞ!」父の言葉がまるで刃物の
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