訴状が届いた日、凛花はまたしても俺に泣きついてきた。激しい雷雨の中、彼女はずぶ濡れになりながら声を枯らして泣き叫び、何度も俺に許しを乞うた。もう一度だけチャンスをくれ、二度とあんな真似はしないからと泣き喚いていた。俺はピシャリとカーテンを閉め、耳栓をして、ふかふかの広いベッドに寝転がった。胸が痛むことなど、ただの一ミリもなかった。彼女はたかが一晩、雨に打たれただけだ。だが、俺の5年間の結婚生活は、それこそ果てしなく続く冷たい土砂降りのようなものだったのだから。俺が無視を決め込めば、凛花もすごすごと引き下がるだろうと思っていた。だが驚いたことに、翌朝すっかり日が昇っても、凛花はまだ外に立ち尽くしていたのだ。雨に濡れた髪が頬にへばりつき、土気色の顔には血の気が全くない。あんなにもボロボロで無様な彼女を見るのは初めてだった。顔を合わせたくはなかったが、俺にも仕事がある。案の定、俺がエントランスを出るなり、凛花はふらつく足取りで駆け寄り、すがりつくような哀れな瞳で俺を見つめてきた。「そんな捨て犬みたいな目で見ても無駄だ。俺は君を助けたりしない」俺は冷酷に言い放った。「あなたが怒っているのは重々承知してる。この一晩でアタシもすっかり目が覚めたの。助けてほしいなんて厚かましいことは言わない。でも、もう一度だけ、最後にやり直すチャンスをくれないかしら……これ、覚えてる?」凛花はそう言って、震える手を俺の前に差し出し、そっと手のひらを開いた。そこには、小さなメレダイヤの指輪が乗っていた。俺は一瞬息を呑み、思わず遠い過去の記憶に引き戻された。最初の頃、凛花は間違いなく俺を愛していた。当時の俺たちは金がなく、二人の全財産をかき集めても十数万にしかならなかった。世間の花嫁の指輪には立派なダイヤが輝いているというのに、俺が彼女に贈れたのは、惨めなくらいちっぽけな代物だった。「結婚した時、約束したじゃない。どんな困難があっても、決して見捨てないって……あなたは、一生アタシだけを愛するって誓ってくれたわ」俺の視線が僅かに揺らいだのを見逃さず、彼女の瞳に縋るような希望の光が宿った。「アタシはあなたを裏切るようなことは一切してない。アタシと拓海の関係も、あなたが誤解しているようなものじゃないの。ただ、身寄りのない彼
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