All Chapters of 8度目の入籍失敗、別の人と結婚: Chapter 21

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第21話

私は航平の胸に顔を埋めた。「何に対しての『ありがとう』なの?」「僕と家族になってくれて、ありがとう」その言葉に、思わず涙がこぼれ落ちた。この1年間、航平は私のことを本当に大切にしてくれた。時々、これが現実ではないのではないかと錯覚してしまうほどに。けれど、毎朝目を覚まし、キッチンで立ち働く彼の背中を見るたびに、私は実感するのだ。これは夢なんかじゃないと。妊娠中のつわりはひどく、私は何度も吐いてばかりいた。すると航平も心配のあまり、一緒になってげっそりと痩せこけてしまった。見かねた母が彼に言った。「妊娠して辛い思いをしてるのは茉央なのに、どうしてあなたの方がそんなにやつれてるのよ?」航平は真剣な顔で答えた。「代わってやれなくて、見ていて胸が痛いんです」母は背を向けて、こっそりと涙を拭っていた。その後、無事に子供が産まれた。女の子だった。航平は娘を抱きかかえ、目を真っ赤に泣き腫らしていた。私はベッドに力なく横たわったまま、彼に尋ねた。「どっちに似てる?」彼は娘の顔を見て、それから私を見た。「君に似てる。二人とも、すごく可愛い」私が「えこひいきね」とからかって笑うと、彼は身をかがめ、私の額にキスをして言った。「僕はもともと、君だけをえこひいきしてるからね」その瞬間、私はふとずっと昔のことを思い出した。礼人もかつて「えこひいき」という言葉を口にしたことがあった。けれど、彼のそれは別の女性に向けられていた。航平のえこひいきはまぎれもなく、私だけに向けられている。出産から1ヶ月が経ち、お披露目のお祝いの席を設けた日。多くの親戚や友人が集まってくれた。礼人は来なかった。ただ、人づてに贈り物が一つ届けられた。それは赤ちゃんの無事を祈るお守りだった。そして一枚のカードが添えられている。そこにはこう書かれていた。【彼女が一生、愛されますように。そして、お前が永遠に幸せでありますように】私はそれをじっと見つめ、やがてカードを箱の中へとしまった。捨てることはしなかった。けれど、それ以上思いを馳せることもなかった。後に友人から聞いた話では、礼人はこの街を離れたらしい。遠く離れた支社へ異動したそうだ。彼はあれから誰とも恋愛をしておらず、結婚もしていない。前を向
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