「全部あんたのせいよ!」車を降りた途端、母の怒声が飛んできた。「最初から私たちを罠にはめるつもりだったんでしょう!実の親をこんな目に遭わせるなんて、とんだ恩知らずだわ。今日お金を返さないなら、親子だからってもう容赦しないからね!」「親子?」思わず笑いが漏れた。「今さら親子の情を言うの?」「そもそも、あれだけのお金を出せって私が頼んだ?黒瀬製薬に全財産をつぎ込んだのも、自分たちで決めたことでしょ。美羽を黒瀬家に嫁がせて、それで自分たちまで得をしようとしたのも、全部そっちの都合。それですべて失ったからといって、今さら私に責任を押しつけられても困るから。自分で賭けて、自分で負けた。それだけでしょ。私には何の関係もないし、これ以上つきまとうなら警察を呼ぶから」そこまで言うと、さすがに二人の勢いが鈍った。「それに、そもそもあのお金は二人のものじゃないよね。東側の商業地一帯は、おばあちゃんが私に残してくれたものだった。それを遺言どおり私に渡さず、自分たちのものにしたのは誰?」二人が黙り込むのを見て、私は続けた。「私は取られたものを取り返しただけ。返す理由なんてないし、今さら返せなんて、よくそんなことが言えるね」「でたらめを言うな!あれは俺たちの財産だ!お前一人のものじゃない!」父と母が口々に怒鳴りながら詰め寄り、そのまま私をつかもうとしたが、手が届くより早く京司が2人との間へ入り、私を背中にかばった。「触らないでください。これ以上彼女につきまとうなら、弁護士を通して正式に対応します」その言葉に、父と母は伸ばしかけた手を引っ込め、それ以上近づいてこなかった。そんな二人を見ても、もう怒りすら湧かない。とっくに壊れた関係に、これ以上付き合うつもりもなかった。京司の手を取って背を向けた、その瞬間、激しいエンジン音が背後から迫ってきた。振り返ると、美羽が顔を歪め、私だけを睨みつけたまま車でまっすぐ突っ込んできていた。「詩乃!あんたなんか死ね――!」
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