家に帰ると、私は心を決めた――妻としての居場所を譲って、あの二人の生活から、身を引こう、と。21日後は、白夜との結婚記念日だった。その日に、彼に別れを告げよう。同じ頃、白夜は静玖に電話をかけていた。「薬はバッグのサイドポケットに入ってる。寝る前に忘れずに飲めよ。それに、窓とドアはちゃんと閉めて。何かあったら、すぐ連絡して」電話を切ってから、彼はようやく玄関に立つ私に気づいた。「なんでそんなにびしょ濡れなんだ?」雨水がズボンの裾から滴り落ち、床に小さな水たまりができていた。「傘はあなたが持っていったから」彼は言葉に詰まった。スーパーの入り口には傘が1本しかなく、彼はそれを静玖に差し出して、そのまま行ってしまったのだ。「呼び止めればよかったのに」「呼んだよ。あなたは聞こえなかったかも」彼が言い訳をしようとしたちょうどその時、またスマホが鳴った。静玖から、家の給湯器が壊れたと連絡が来たのだ。白夜は工具箱を手に取った。「あいつ一人暮らしで、すぐ慌てるから、ちょっと見てくる。すぐ戻るね」出かける前、彼は私の額に手を当てた。「顔色、すごく悪いけど」彼の手のひらは乾いていて、温かかった。昔はこうして彼に触れられるだけで、どんなつらさもまだ耐えられる気がしていた。「たぶん、雨に濡れて風邪を引いただけ」「戸棚に薬があるから、ちゃんと飲んで」そして、ドアが閉まった。熱を測ると、38度7分だった。薬箱に解熱剤はなかった。先週、静玖が熱を出した時、白夜が最後の1箱を持って行ってしまったのだ。私は彼にメッセージを送った。【家に薬がないから、帰りに1箱買ってきて】30分後、彼から返信が来た。【わかった】私はソファで眠ってしまった。再び目を覚ますと、空はもう明るくなっていた。体には毛布がかかっていて、テーブルの上には白湯が置かれ、そのすぐ横で白夜がうつ伏せになっていた。私が体を起こすと、彼も目を覚ました。「少しは良くなったか?」私はテーブルの上を見た。薬はなかった。彼の表情が、わずかに強張った。「昨夜は遅すぎて、薬局が閉まってた。今から買ってくる」私は嘘を暴かなかった。下の薬局は24時間営業だ。彼のスマホはついたままで、静玖からのメッセー
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