呆然とした瞬間、体にのしかかる機材を必死に支えていた手の力が一瞬緩み、お腹に鋭い痛みが走った。それでも彼女は痛みを堪え、自分に言い聞かせた。きっと、たまたま声の似た別人なのだろう。稔は特別救助隊の隊長として普段から忙しく、返信をくれることさえ滅多にないのだから。任務の合間に彼が送ってくるのは、数字だけだった。1は、無事。2は、今日帰る。3は、今夜は夫婦の時間を過ごす。そのやり取りは業務連絡のように事務的で、温もりのかけらもなかった。不満を口にしようとするたび、姑は決まってこう言った。「あの子は人助けをする立派な仕事をしてるんだから、あんたも思いやりを持ちなさい」と。清海はそれを飲み込んできた。7年間、ずっと。外の騒がしさに我に返った。頭上の瓦礫が取り除かれ、隙間から一筋の光が差し込んだ。「隊長!妊婦ふたりが梁の下敷きです!どちらかひとりしか助けられません!もうひとりは崩落に巻き込まれる危険があります!」清海が顔を上げると、視界に稔の顔が飛び込んできた。「稔……」思わず名を呟いた。視線が絡んだ瞬間、稔は目を見開いた。「隊長!時間がありません、どちらかひとりしか選べません!」傍らにいた千鶴が嗚咽を漏らし、小さく呼んだ。「あなた……」その声は重機の音にかき消されるはずだったのに、稔は一瞬で聞き取った。「彼女を助けろ」彼が指し示したのは清海ではなく、千鶴だった。ゴォッ!千鶴が救い出された瞬間、バランスを崩した瓦礫が清海めがけて崩れ落ちてきた。「きゃあっ!」悲鳴が漏れる。膨らんだお腹を引き裂くような激痛が走り、まるで誰かに力任せに内臓を引きずり出されるようだった。生温かい血がゆっくりと流れ出すのを感じながら、清海の意識は闇に呑まれた。……再び目を開けたとき、清海は病室のベッドに横たわっていた。あれほど膨らんでいたお腹はもう平らで、医師がため息をついた。「ご家族とはまだ連絡が取れませんか。腹部に大きな損傷を受けていて……赤ちゃんは残念ながら助かりませんでした。子宮も摘出することになったため、今はどなたかの付き添いが必要です」稔が迷いなく他の女を選んだあの瞬間を思い出し、清海の心は冷えていった。込み上げる涙をこらえ、「家族はいません」とだけ答えた。医師は
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