また、婚姻届を出しに行く途中で置いていかれた。ぼんやりと立ち尽くす私のそばを、見知らぬ人たちが行き交っている。楽しそうなカップル。子どもを連れた家族。寄り添いながら歩く老夫婦。誰かの幸せを目にするたび、胸の奥をえぐられるようだった。ほら、やっぱり愛されてない。本当に大切なら、何度も置いていったりしない。そう思った途端、堪えていた涙があふれた。人目を避けるように隅へ移ると、とうとう声を上げて泣いた。8年。人生で、8年は決して短い時間じゃない。それなのに、この8年間で返ってきたのは、何度も期待を裏切られた記憶ばかりだった。今日は一番気に入っている服を着てきた。なのに今の私は、この通りで誰よりも惨めに見える。これまで19回、同じように置いていかれた。今日で20回目だった。「仏の顔も三度まで」なんて言うのに、私はとっくにその何倍も我慢してきた。だから今日だけは、好きなだけ泣こう。こんな惨めな思いをするのも、これで最後。もう二度と、同じことで泣かない。「お姉ちゃん、どうしたの?」幼い声に顔を上げると、お姫様みたいなワンピースを着た女の子がそばに立っていた。にこにこしながら、小さな手で飴を差し出してくる。涙で滲んだ視界にその飴が映った瞬間、8年前、伊織と初めて会った日のことが蘇った。あの頃、家ではいろいろなことが重なり、母も重い病気で入院していた。このまま母に何かあったらどうしよう。怖くてたまらなくて、病院の隅で一人、涙を拭っていた。そこへ現れたのが伊織だった。彼は飴を一つ差し出して、こう言った。「泣くなよ。これからどうするかは、自分で決めればいい。一歩踏み出せば、そこから道はできるから」あの日の飴は、胸の奥まで染みるくらい甘かった。伊織の言葉にも、ずいぶん救われた。その後、母の容体は落ち着き、家のことも少しずつ元に戻っていった。私はあの日の彼を必死に捜した。伊織が幸運を運んできてくれたのだと、本気で思っていた。きっと、出会うべくして出会った人なんだと。目の前の飴を、震える手で受け取った。口に入れる。甘いはずなのに、ひどく苦く感じた。胸まで痛くなるほどに。甘かったのは、最初だけだったのかもしれない。その奥にある苦さに、私
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