式場へと向かう車の中、遊助の脳裏には絶えず、真里亞の姿が浮かんでは消えていった。いつも心からは笑っていない作り笑い、自分を見つめる時に浮かべる、どこか放心したような表情、バーで酔ってぽつりと呟いた「優馬」という名、そして幾度となく、2人が深く重なり合った時に見せた、突然虚ろになるあの瞳。これまで意図的に見て見ぬふりをしてきたそれらの些細な違和感が、今、怒涛のように押し寄せ、胸を締め付けた。「早く、もっと早く!」遊助は運転手を急き立てた。胸の中の不安が、今にも彼を呑み込みそうだった。やがて、車は急ブレーキの軋む音を立てて、ホテルの前で止まった。遊助がホールに飛び込むと、そこに広がっていたのは、静まり返った空気だった。招待客たちは互いに顔を見合わせ、牧師は壇上で気まずそうな表情を浮かべている。遊助の姿を見つけると、牧師はほっと息をつき、スタッフが慌てて彼を祭壇へと案内した。「どうなってるんだ?新婦は?」遊助は隣のスタッフに顔を寄せ、低い声で尋ねた。スタッフは声を潜めて答えた。「三宮さん、いらっしゃるのが遅すぎますよ。予定では20分前にご到着のはずでしたよ。新婦様は今頃控室にいらっしゃるはずです。まだ登場まで数分ありますから」言い終わる前に、スタッフは遊助を祭壇の前へ案内し、牧師も予定どおり式を進め始めた。ざわついていた会場も、次第に静けさを取り戻していく。やがて、新婦入場の時間になった。参列者たちが一斉に後方の扉へ目を向ける。けれど、本来ならそこで開くはずの扉は、固く閉ざされたままだった。牧師の表情が一瞬だけ曇った。しばらく待っても扉が開かないため、会場には小さなどよめきが広がっていく。牧師は落ち着いた声で告げた。「少々お待ちください」すぐに式場スタッフが後方へ確認に向かった。会場にはざわめきが広がったが、目の前の扉は、それでも開かなかった。式場に着いてからようやく落ち着きかけていた遊助の心臓が、再び激しく高鳴り始めた。遊助はスタッフが止めるのも聞かず、大股で扉へ向かうと、そのまま勢いよく開け放った。牧師も参列者たちも、思わずそちらへ目を向ける。けれど、扉の向こうに新婦の姿はなかった。そこには、入場を待っていたフラワーガールたちだけがいた。会場は一瞬にして静ま
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