Semua Bab 懺悔室〜汝の罪を告げよ〜: Bab 1 - Bab 10

19 Bab

アンダーソン家の場合

 豪邸が並ぶ街、リシェス。ここには多くの富裕層が暮らしている。お金さえあれば幸せだと思う人が一定数いるが、どうやらそうではないらしい。 アンダーソン家の音楽室に、美しいピアノの音色が流れる。音色は少女の悲鳴と鞭の音で途切れてしまった。「グレイス! 何度言ったら分かるの!? そこ、少し遅れてるわ。指の運びが絶望的に遅い!」「ごめんなさい、ママ……」 グレイスと呼ばれた幼い少女は、鞭で叩かれた手を擦りながら、涙目で母のオリヴィアに謝罪する。 グレイスはまだ7歳だが、元ピアニストのオリヴィアの英才教育で、毎日ピアノの練習をさせられているのだ。ピアノ自体は好きだったが、母の厳しすぎる罰が恐ろしく、今ではピアノの前に座ることすら苦痛でしかない。「このグズ! しっかりしなさい! 本当にママの子なの?」「ごめんなさい、ごめんなさい! 頑張ります!」 グレイスは息を整えると、再びピアノに向かった。美しい音色が再び音楽室に流れる。だが……。「遅い!」「ぎゃああっ!!!」 あろうことか、オリヴィアはピアノの蓋を閉め、グレイスの手を挟んでしまった。「痛い! 痛い痛い! ママ、助けて!」「うるさい!」 オリヴィアはグレイスの頬を叩くと、ピアノの蓋を開けた。小さな手は赤く腫れ上がって痛々しい。「ママ、ちょっと出かけてきますからね。練習サボったら、ただじゃおかないんだから」「はい、ママ……」 オリヴィアは音楽室から出ると、自室に戻って化粧直しをし、高級ブランドのコートを羽織り、家を出る。 グレイスは耳を澄ませ、母の車が遠くに行ったのを確認すると、キッチンに行って水で手を冷やす。本当は氷で冷やしたいが、冷凍庫は高いところにあるため、今のグレイスでは届かない。 痛みが引いてくると、グレイスは音楽室に戻ってピアノの練習を再開する。美しい音色は、最後まで完璧に奏でられた。「ひとりの時は、ちゃんとできるのに……」 グレイスは自分の小さな手を見てため息をつく。母の前だと恐怖心でいっぱいになり、気をつけなきゃと思っている場所で、毎回ミスをしてしまう。「頑張らないと……」 先ほどオリヴィアに指摘された箇所を、何度も何度も練習する。どんなに完璧に演奏しても、不安が拭えない。「これでいいんだっけ? わかんない、頑張らないと」 グレイスは怯えながら、ひたすらピアノ
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-09-04
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コリンズ家の場合

 まだ7歳の少女、ソフィが帰宅すると、母のイザベラは父のベルトを片手に待ち構えていた。「ただいま、ママ。今日学校でね」 バシッという音が、ソフィの言葉を遮った。イザベラがベルトを鞭のようにしならせ、床を叩いたのだ。「学校でのことなんて、どうでもいいの。何回も同じこと言わせないでくれる?」「ごめんなさい、ママ……」「荷物を置いてきなさい」「はい……」 ソフィは荷物を置きに自室に行く。ドアを開けると、ベッド、クローゼット、本棚、テーブルのみの殺風景な部屋があった。7歳の少女の部屋だというのに、可愛らしい小物やおもちゃはひとつもない。家具もすべて落ち着いたデザインで、子供の、それも少女の部屋だとは、誰も思わないだろう。 本棚に並んでいる本は、参考書が申し訳程度と、残りはすべてチェスに関する本ばかりだ。 ソフィは荷物を部屋に置くと、イザベラが待つ書斎に入った。 書斎の中央に置かれたテーブルには、チェス盤が置かれている。本棚には、チェスに関する本と、心理学、ゲーム理論などの本がずらりと並んでいる。「さぁ、座って」「はい」 ソフィはイザベラの向かいに座る。この時間がソフィは大嫌いだ。チェスに興味などないのに、父とイザベラがチェスのプロだからって自分までやらされるのは、苦痛でしかない。本当は友達と遊びたい。テレビを見たり、お菓子を食べたりしたい。 そんなことを言ったら、何をされるか分かったものではない。だからソフィは、今日も本音を押し殺してチェスの駒を握る。「先行は譲るわ」「はい」 ソフィからゲームを始める。駒をひとつひとつ慎重に動かし続け、ソフィが有利になっていたが……。「あの、ママ……」「なぁに、ソフィ」 イザベラは意地悪な笑みを浮かべて、ソフィを見下ろす。「それ、動かし方間違ってる……」 イザベラが先程動かした駒はルーク。ルークは縦と横にしか動かせないのだが、イザベラはルークを斜めに動かしたのだ。「いいのよ、これで」「でも……」 ソフィが粘ると、イザベラはうんざりしたようにため息をつく。ソフィは恐怖で肩を震わせた。「いい? ソフィ。試合を見てるのも、アビーターも人間なの。人間はミスをする。中には自分のミスを認められない人もいるのよ。これはそんな人達に囲まれてしまった時の訓練よ。分かったら続けなさい」「はい、ママ」 ソ
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ダグラス家の場合

 リリーは双子の兄であるノアと並んで座りながら、緊張していた。母のジェシカがお手製のテストを裏返しにし、ふたりの前に置く。「1回目のテスト、はじめ!」 ジェシカの合図でテストをめくり、解いていく。問題は学校で習うようなものではなく、法律に関する問題ばかりだ。(うぅ、難しい……) リリーは算数は得意だが、国語は苦手だ。7歳の少女は読み書きに未だに苦戦している。そんなリリーにとって、法律の問題はあまりにも難しすぎる。「そこまで!」 20分経つと、ジェシカが合図をする。リリーとノアはテストをジェシカに差し出し、そのまま待つ。ノアは余裕そうだが、ジェシカは気が気でない。 ジェシカが採点をする音が、狭い部屋に痛いくらいに響く。「ノア、86点。リリー、54点」 ジェシカは点数を告げると、それぞれにテストを返し、小さなホワイトボードを出す。ホワイトボードの中央に線が引かれ、それぞれのスペースにノアとリリーの名前が書かれている。 ジェシカはノアのスペースに赤い磁石をつけると、別のテストを出す。「2回目のテスト、はじめ!」 合図でテストをめくり、問題を解く。今度は医学の問題だ。ノアは隣でスラスラ解いていくが、リリーはそうはいかない。今習っている国語もままならないリリーは、問題を理解するのに時間がかかってしまうのだ。「そこまで!」 再び20分の合図が出ると、ジェシカにテストを差し出し、採点してもらうのを待つ。(もうやだ……。こんなの分かんないもん……) リリーはもう既に泣きそうになっていた。ただでさえ学校の勉強に追いついていないのに、医学や法律、プログラミングなどを教え込まれても理解しきれるわけがない。 理解できない勉強を強要されるだけでも苦痛なのに、いつもノアと比べられてしまう。それが嫌で嫌でたまらなかった。「ノア、78点。リリー、32点」 ジェシカは再びノアのスペースに赤い磁石をつけると、別のテストを差し出してきた。「ママ、もう疲れたよ……」「あっそ。じゃああんたはもうママの子じゃないね」「つ、疲れてない! やる!」「最初からそうしなさい。手間かけさせないで。いい? ダグラス家に産まれたからには、医者か法律関連か、ITエンジニアやプログラマーになるのよ。それ以外に許されるのは政治家くらいかしら? とにかく、誰よりも偉くなりなさい。その
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-09-04
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フォスター家の場合

 7歳の少女、アリスは、学校が終わると友達と会話をすることさえなく、正門に向かった。急いで行くと、既に母であるロージーの車が停まっていた。「学校お疲れ様、アリスちゃん」 ロージーは猫なで声でアリスをいたわり、助手席に乗せる。アリスがシートベルトをしめると、テキストを手渡した。「今日はバイオリンのお稽古をして、その後にバレエでしょ。一度おうちに帰ってシャワーを浴びたら、今度は塾ね。移動中はそれを読んで予習してて」「ママ……、あのね……」「なぁに、アリスちゃん」 ロージーの声は猫なで声のままだが、圧があった。いつもはそれにひるんで何も言えなくなるが、今日ははっきり言おうと覚悟を決めていた。「ママ、私、休みたいよ……」 アリスは目に涙をいっぱい溜めて、ロージーを見上げた。その目の下には、7歳とは思えないほど濃いクマがある。 アリスはロージーに予定を詰め込まれ過ぎて、まともに寝れていない。 朝は脳の活性化のために音読をさせられる。それから学校に行くのだが、ロージーが担任に「休み時間に寝たりしてたら起こしてください」と言ってるため、学校で休むことすらできない。休み時間はロージーが作った問題集をやらないといけないため、トイレに逃げ込んで休むことも不可能だ。 学校が終われば塾や習い事が山のようにある。せめて移動中に休めればいいが、移動中はロージーが用意したテキストで勉強をしなくてはならない。 11時に帰宅できればいい方で、12時過ぎに帰宅する日などザラだ。睡眠時間は5時間あるかどうかとかなり短く、習い事がアリスの成長と回復の邪魔をする。「アリスちゃん、聞かなかったことにしてあげるわね」「でもママ……。私、ちゃんと寝たいよ……」 乾いた音が車内に響いた。「え……」 熱くなった頬を押さえ、呆然とする。頬の熱が痛みに変わり、母に叩かれたと気づく。「う、うぅ……!」「泣かないで、アリスちゃん。ママが悪いみたいじゃないの。今のはアリスちゃんが悪いわ。だってママは、アリスちゃんのためにいろんな習い事をさせてるんだもの。それに、夜はちゃんと寝かせてるでしょ? ねぇ、アリスちゃん。ママに言うことあるんじゃない?」「ご、ごめんなさい、ママ……」 恐怖のあまり謝罪をすると、ロージーは満足げに笑った。「分かればいいのよ、アリスちゃん。アリスちゃんはいい子だ
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-09-04
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ハワード家の場合

 休み時間。子供達は思い思いに過ごす。室内で絵を描いたり、おしゃべりや読書をする子もいれば、外で走り回る子もいる。 誰もが楽しそうにしている中、ハワード・ルーシーだけは、つまらなそうな顔をしていた。 彼女はまだ7歳と遊びたい盛りなのに、母のデイジーに友達を作ることも、喋ることも禁止されている。 理由は、バカが移るから。 ルーシーが休み時間に許されているのは、トイレ休憩と勉強だけ。トイレ休憩は、午前に2回、午後に1回しか許されていない。(私も遊びたいのに……) 楽しそうにおしゃべりする子達に目を向けると、ひとりの少女と目が合う。ルーシーは咄嗟に目を逸らした。「ねぇ、ルーシー」 おしゃべりしていた子のひとりが、ルーシーに声を掛ける。ルーシーは絶望した。「よかったら、ルーシーも一緒におしゃべりしない?」「ご、ごめん。勉強しないといけないから……」「えー、勉強ばっかじゃ疲れちゃうよ。おしゃべりしよ?」「ごめん、これやっておかないといけないから」「へぇ、そっか。分かった」 少女は仲間の元に戻っていく。「せっかく話しかけてあげたのにね」「ルーシーってつまんない子だよね」「もう話しかけるのやめよ」 少女達はルーシーに聞こえるように、わざと大きな声で言う。(本当は、私だって……) 悔しさのあまり、鉛筆を持つ手に力が入る。このままでは、勉強どころではない。(場所、変えよう……) ルーシーは勉強道具をまとめると、図書室に入った。ここなら教室よりも静かだし、話しかけてくる人もいない。(ママ、怒ってないといいけど……) ルーシーはペンケースについたうさぎのマスコットを見て、不安になる。マスコットの中には盗聴器が入っており、母のデイジーが常に聞き耳を立てているのだ。 デイジーは盗聴器で娘が他の生徒と会話をしていないか確かめている。会話したとバレたら、どんな内容でも関係なく、お仕置きされてしまう。(ママが聞いてませんように) ルーシーは心の中で祈った。おしゃべり好きのデイジーは、友人とお茶をする。お茶をしている時は、盗聴器の音声を聴いてない。そのことはルーシーも知っていた。 今日は天気がいい。お気に入りのカフェテラスにでも行って、お茶会をしているはずだ。ルーシーは自分にそう言い聞かせ、なんとか安心しようとした。 学校が終わって恐る恐る
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-09-04
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ママ達のお茶会

 ある日曜日。5人のママ達がカフェに集まっていた。彼女達の夫は長期出張に行ってるか、会社に泊まり込みでほとんど帰ってこないため、こうして集まり、気分転換をするのだ。「今週も集まれてよかったわ」「これも、夫達が仕事中毒なおかげね」「えぇ、ホントホント。このまま職場に骨を埋めてくれないかしら」 オリヴィアの発言に、全員が笑う。「こんなこと言うと、誰のおかげで生活できてると思ってるんだなんて言われるけど、仕事ばかりで家庭を顧みない人に言われてもねぇ」「そうよ。私達、子育てで大変なんだから」「そのへんちっとも分かってないんだから。習い事の送迎だって、楽じゃないのに」 ロージーが唇を尖らせて言うと、オリヴィアがうなずく。「ロージーはすごいわ。毎日アリスちゃんのために、色んなところに送迎して、テキストまで用意してるんでしょ?」「それを言ったら、ジェシカだって。毎日テストを作ってるんでしょ? それも何種類も」「ふふ、参考書を見ながらね。そうでもしないと、覚えないでしょうし」 誰もがジェシカに尊敬の念を向けていると、ひとりの女性が来店した。ママ達は冷たい目でその女性を見る。「やだ、ジャスミンじゃない」「見て、こんなところにまでパソコン持ってきて、キャリアウーマンアピール? やぁねぇ」 ママ達はジャスミンに聞こえるように言う。 ジャスミンはリシェスで唯一の独身女性で、労働をしている女性だ。誰もが家族やパートナーと暮らし、妊活や子育てに奮闘している中、ジャスミンだけは独身で仕事をしている。ママ達はそんなジャスミンが気に食わなかった。「ねぇ知ってる? あの人、自分に子供がいないからって、よその子供に話しかけてるそうよ」「まぁ、気持ち悪い。うちの子にも話しかけてないといいんだけど」「独身のキャリアウーマンなんて、子供達の毒だわ。優秀な成績を修めて、いい会社に入って、結婚してほしいのに、あんなのに憧れちゃったらどうするのよ」「独身がファミリー向けの街に住むなんて、どうかしてるわ。誰かの子供を誘拐するつもりなんじゃない?」「もしかしたら、男漁りかもよ?」「まぁ下品。はやく出ていってくれないかしら」 とうとう耐えきれなくなったのか、ジャスミンは来たばかりのアイスティーを飲み干すと、ノートパソコンをしまってカフェから出ていった。「出ていくのはカフェ
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-09-05
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ささやかな幸せ

 一方子供達は、リシェスから少し離れたところにある森の奥にある小屋に集まっていた。この小屋はジャスミンが所有する小屋で、元は気分転換をするために買ったのだが、子供達があまりにも可哀想で、貸しているのだ。 小屋の中にはお菓子やジュースがたくさんある。積み木やおままごとセット、ぬいぐるみなどもあるが、子供達に1番人気なのはフランス人形のエリーだ。「エリー、今日も可愛いね」 グレイスはエリーのブロンドの髪を撫でる。「ねー。エリーは皆の大事なお友達だよ。ずっと一緒だよ」 アリスはエリーの手を握る。「ずっとここにいたいなぁ。ここだったら、おしゃべりしても怒られないもん」 ルーシーの言葉に、誰もがうなずく。「もう習い事したくない」「私も、チェスなんかやりたくない」「私もピアノなんか嫌」 皆がそれぞれ不満を口にすると、リリーが手を叩いた。「私もおうちは嫌だけど、ここのルール忘れたの? ここじゃ、嫌なことを思い出さないこと」「そうだった。せっかく楽しいところにいるんだもん。嫌なことは忘れよ」「うん! エリーとおままごとしよ」 5人の少女達は、フランス人形をかこんでおままごとを始めるのだった。 ママ達はいつもより早くお茶会を切り上げると、懺悔室がある小屋の合鍵を作り、アンダーソン家に向かった。 庭の奥にある小屋の前まで行くと、オリヴィアが自慢げに小屋を開け、中にある懺悔室を手で示した。「これが懺悔室よ。外側から鍵をかけられるから、子供も逃げられないの」「いいわね」「中も見せてちょうだい」「もちろんよ」 オリヴィアは罪人側の扉を開けてみせる。中には懺悔室と一体化した椅子があって、かろうじてふたりで並んで座れるくらいの幅だった。足元も狭く、身動きを取るのに苦労しそうだ。神父側との仕切りには小さな穴が開いている。「結構狭いのね」「確かに、これならお仕置きによさそう」 ママ達は嬉しそうに懺悔室を見る。そんなママ友を見て、オリヴィアは満たされていく自尊心に酔う。「ちょうどグレイスに、課題曲を出してるの。あの子、物覚えが良くないから、きっとミスをするわ。さっそく入れてみましょう」 彼女達はアンダーソン家の中に入る。「グレイス、お客様よ。課題曲は出来たの? お客様に聴かせてあげて」 オリヴィアが声をかけながら家の中を進むが、返事はない。
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-09-05
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懺悔室

 子供達は時々時計を見ながら遊んでいた。母親達がお茶会を終わらせるのは、はやくて15時だ。それより30分前に戻って、それぞれの課題をやればバレない。 時刻は13時10分。母親達は今頃、ケーキでも食べながらお互いを称え合っているだろう。「いらっしゃい、エリー。今日は美味しいクッキーがあるの。一緒に食べましょう」「まぁ、嬉しい。私、クッキー大好き」 アリスはエリーを動かしながら、エリーとしてのセリフを言う。ソフィはエリーの口元にクッキーを持っていき、アリスが食べるふりをすると、今度はアリスの口元にクッキーを持っていく。「このクッキー、とっても美味しいわ。ありがとう、ソフィ」「どういたしまして」 皆でクッキーを食べていると、ドアが乱暴に開けられた。子供達が驚いてドアを見ると、そこには悪魔よりも恐ろしいものが立っていた。「ママ!」「なんでここに!?」「お茶会は?」 母親達は質問には一切答えず、それぞれの子供の前に移動し、目線が合うように座ると、頬や頭を叩いた。「よりによってジャスミンなんかのところに行くなんて!」「私達はあなた達のために、努力してるの! どうして分かってくれないの!?」「ちょうどいいわ。懺悔室に閉じ込めましょう」 オリヴィアの言葉にママ達は目を輝かせ、子供達は怯えた。懺悔の意味すら理解出来ていないが、母親が喜んでいるということは、恐ろしい場所なのだろう。「さぁ、帰るわよ」 ママ達は自分の子供の腕を引っ張る。「いや! 怖いことしないで!」「いい子にするからぁ! ここにはもう来ないからぁ!」 未知の恐怖に怯える子供達は必死に懇願するが、ママ達にやめようという考えなどない。子供をいかに厳しくしつけるかが、彼女達のステータスに繋がるのだから。「ここに来ないなんて当たり前です! どうしてママを悲しませるようなことばかりするの?」「やだ、お菓子なんて食べて。こんなの食べたら馬鹿になるっていつも言ってるじゃない」「何、この人形。気持ち悪いわね」 ママ達はお菓子を踏んだり、エリーを蹴り飛ばしたりした。「エリー!」「やめて! エリーが可哀想!」 子供達がフランス人形に強く反応すると、ママ達はフランス人形を乱暴に掴み、手足をバラバラにして髪を千切った。「いやああぁっ!」「エリーをいじめないで!」 絶叫する子供達を鼻で
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-09-05
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汝の罪を告げよ

「んん……」 オリヴィアは目を覚ました。ワインを飲みすぎたせいか、頭が痛い。 眠い目をこすりながら立ち上がり、自分が閉じ込められていることにようやく気づいた。「何よこれ!?」 オリヴィアは驚いて室内を見回す。その場所には見覚えがあった。懺悔室の罪人側だ。違う箇所といえば、天井から赤いランプが室内を照らしていることと、眼の前にモニターがふたつ並んでいることくらい。 モニターがふたつ、同時についた。片方には4分割された画面に、ママ友4人が映し出されている。もう片方のモニターには、修道女の服を着たフランス人形が映っている。「な、なんなの、これ! 皆、私の声聞こえる!?」『その声は、オリヴィアね! えぇ、聞こえるわ』『よかった、皆の声と顔で少しホッとしたわ』『誰がこんなことを……』 オリヴィアの声に、ジェシカ、イザベラ、ロージーが反応する。だが、デイジーは……。『皆がいてよかった。ねぇ、私達これから……。え? 私の声、聞こえてないの? ねぇってば!』「デイジー? あなたの声、ちゃんと……」『どうして!? なんで皆の声が聞こえないの!?』 どうやらデイジーには、皆の声が届いていないらしい。『なんなのよ、この不気味な人形は!』 デイジーはパニックに陥り、取り乱してしまっている。彼女は手当たり次第に壁を叩いている。「デイジー落ち着いて! 私達の声が聞こえないの?」 オリヴィアを皮切りに、他のママ友もデイジーに声をかけるが、やはり聞こえていないらしい。 リーン……。ゴーン……。リーン……。ゴーン……。 教会の鐘が聞こえ、誰もが人形が映るモニターに注目をする。取り乱していたデイジーさえも。『汝の罪を告げよ』 人形が映るモニターから、機械じみた少女の声が聞こえた。「罪? なんのこと?」『私達が何をしたっていうのよ?』『ねぇ待って。この人形、ジャスミンのところにあったのと似てない?』 ロージーの発言で、デイジー以外が人形に注目をする。言われてみれば、ジャスミンの小屋で子供達が遊んでいた人形に似てなくもない。「あなた、ジャスミンなの? こんなことして許されると思ってるの?」『汝の罪を告げよ』 人形は繰り返すだけ。『私達になんの罪があるっていうの? 罪があるのはあなたでしょ、ジャスミン。子供達をあんな小屋に集めて、なにしてたの?』
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-09-06
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手遅れ

『チャンスはもうない。あなた達が自分で潰したの』 人形は機械じみた不快な声でケタケタ笑う。オリヴィア達は絶望した。自分達は、このままこの人形に殺されるしかないのだ。 ロージーを見る限り、楽に死ねそうにない。「嫌よ……。こんなところで死にたくない……」『私も死にたくない……。お願いよ、なんでもするから……。お金がほしいならあげるし、子供達にとって、最高のママになる努力もするから……』 ジェシカが泣きながら懇願すると、人形の首がギギギ……と鈍い音を立てながら一周した。『ひぃ! ごめんなさいごめんなさい! 殺さないで! 私が悪かったから!』 ロージーの二の舞いになると思ったのか、ジェシカは必死に謝罪する。オリヴィア達は余計なことを言って人形の機嫌を損ねないように、口を閉ざす。ひとりを除いては……。『お願い、チャンスをちょうだい! ロージーみたいに死にたくない!』 デイジーははたから見ると笑ってしまうくらいにぶるぶる震え、泣き喚いていた。やはりデイジーには、オリヴィア達の声が届いていないようだ。(お願い、デイジー……。この人形を刺激しないで) オリヴィアは心の中で祈ったが、デイジーに伝わるわけもなく、彼女はずっと喚いていた。『出たいの? チャンスが欲しいの?』 人形の言葉に、誰もがそちらのモニターを注視した。「えぇ、お願い……。ここから出して」『それなら、チャンスをあげる。ひとりずつ指名するから、課題をクリアして』「課題って? どんな課題を出すつもりなの?』『あなた達の得意分野だから、大丈夫。簡単簡単。クリア出来なかったら、恥ずかしい』 人形は煽るようにケタケタ笑う。オリヴィア達はその笑い声が恐ろしくてしかたない。『まずは、お食事どうぞ。トイレも、済ませておいてね』 モニターが消え、ガチャリと音が聞こえた。そっと押すと、ドアが開く。懺悔室から出ると、生臭いにおいがした。「オリヴィア!」 名前を呼ばれてそちらを見ると、ジェシカとイザベラがこちらに駆け寄ってきた。「ジェシカ、イザベラ!」 オリヴィアも彼女達に駆け寄り、抱き合った。互いのぬくもりに安堵していると、ピーという電子音がした。驚いて室内を見回すと、壁にデジタルタイマーがかかっている。タイマーは5分からカウントダウンをし始めた。「やだ、5分しかここにいられないってこと!
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-09-07
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