「A区画31番、若葉賢治さんのご家族の方でしょうか?」警備員に声をかけられ、凛は足を止めた。「はい。私が娘の若葉凛です」そう答えると、警備員は「ああ、やっぱりか」と頭を下げた。「数日前にもご家族の方がお参りに来られたようで、墓前に落とし物をしたんです。清掃員が拾って届けてくれたので、今お渡ししますね」凛は、きっと墓前に花を供えていた人のものだろうと思った。警備員が小さな紙袋を差し出す。「何なのかは私もよく分からなかったんですが、見るからに高そうだったので……無くしたら困るんじゃないかって」凛は袋を受け取り、開けた。中から出てきたのは、金属製で爪ほどの大きさのものだった。隣にいた明
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