「きゃああああ!!!」 女性の悲鳴が、ダンジョンの洞窟奥から響いてくるのが聞こえる。 ミナトは魔法の詠唱を止めると、剣の柄を握り声のする方へと駆け出した。 急げ。足を回せ。 洞窟の岩肌が、車窓から見える景色のように後ろへと流れていく。 「来ないで! やめて!」 ミナトの視界に映るのは、2体のオークに襲われる女性冒険者。正に今、オークの棍棒が振り下ろされようとしている。 まずい。やるしかない。 ミナトは背中から剣を抜くと、オークに接近しそれを振り下ろした。 「ザン・スラッシュ!!」 「ゴアアッ!」 ミナトの剣技とオークの悲痛な叫びが、同時に響き渡る。 「オウ!オウ!!」 もう一体のオークは、ミナトの突然の登場に狼狽えているようだ。その隙を見逃さず、ミナトは横一閃に剣を薙ぐ。 「ナギ・ホリゾンタル!!」 「ボガッ!」 瞬時に斬り伏せられた2体のオークは、電池が切れたようにその場に倒れた。 「ふう」 ミナトは一息付くと、そばに倒れ込んでいた女性冒険者に目を向ける。 最初に支給される皮鎧に、店で一番安かった剣。盾はまだ大きくて立派だが、それにしても新米冒険者の様相をしている。その盾を見るにタンクだろう。 「あ、あの……ありがとうございます。私、死んじゃうかと……」 「……ああ」 女性冒険者は潤んだ瞳で、震えながら自分自身を抱きしめていた。 しかし不可解なことが一つ。こいつまさか。 「あんた、もしかして一人か?」 ミナトの問いに、その女性冒険者は肩を震わせた。
最終更新日 : 2026-10-03 続きを読む