罪を犯した。 それは許されないことで、自ら許す気もない。 神に贖罪を求めるべくもなく、この場所に来て一年が経つ。断罪を受けたあの日から自分の在り方は変わらない。ただ罪を受け入れるだけ。 「…神よ」 今日という日に感謝を———— ドゴンッ。 「!?」 背後で大きすぎる音がして思わず振り返った。そこには瓦礫になった煉瓦がいくつも転がり、壁には大穴ができてしまっている。 大穴から差し込む静かな月明かりをよく見る暇もなく、 「むごぉ!?」 死角から顔に袋を被せられた。 そのまま引きずられどこかに運ばれているようで、すぐ何かに抱えられたのはわかるものの足元がおぼつかない…どころか何もない。ふわふわと浮いてしまっている。 「むー!! むぅーー!!!」 遺憾の意を訴えたところで相手に届く気配もない。今自分には何が起きて、どういう状況なのか、全くもって想像する隙間すらなかった。 何か着地した音がしても、自分の裸足が地面に着いた感覚はない。なんならそのままどこかに進んでいるのか頭が揺れて気持ち悪いまである。 一体何が、何が起きているんだ。 やがて何かの開く音がして、その中に放り込まれる。手足は手早く拘束され、最後に口に何か、麻の袋越しに布を押し付けられた。 「むぐっ!? むぅ!!!!!」 さっきまでより尚更呼吸がしづらい。 何より意識が遠いような…? いやようなではなく遠くなっていっている。 (あぁ、神様…私《わたくし》への制裁はまだ足りぬと…そう仰られるのでしょうか) 急激な眠気に意識を手放しながら、脳が勝手に走馬灯を起こしてここまでの罪をまた思い出していく。
最終更新日 : 2026-10-05 続きを読む