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第10話

Author: かもめ
「とんでもない。ただ、白石は本当にお酒が飲めないんです。もちろん、私どもとしても今回の契約はぜひ成立させたいと思っていますが、だからといって社員の命を危険にさらすわけにはいきませんので」

私にも、何が起きたのかはわかっていた。俊平が助けてくれたのだ。

私は社長に一言断り、席を立ってトイレから俊平に電話をかける。

「さっきの電話、俊平だったんでしょ?でも、どうしてわかったの?」

俊平の声は落ち着いていた。「加賀美社長が最近、突然子会社に乗り込んできて、凪の会社との取引を直接担当し始めたって聞いたんだ。それで、凪が目当てなんじゃないかと思って。

今日はどうしても手が離せなくて行けなかったんだけど、あいつに何かされなかった?大丈夫?」

「ううん、大丈夫。ちょうどいいタイミングで電話してくれたから、助かったよ」自然と声が甘くなる。

「それならよかった。俺がついてるから、お前は何も心配しなくていい。嫌になったら遠慮なく言い返して、仕事だって辞めていいんだぞ。凪一人くらい、俺が養えるんだから」

「うん」

電話を切ってトイレを出た私は、廊下に差しかかったところで歩みを緩めた。

裕
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