悠真の顔色が、さっと変わった。あの場所を離れて長い年月がたち、腹いっぱい食べることもできず、何もできなかった頃の感覚を、とっくに忘れていたのだ。「本当にひどいのは、あなたのほうでしょう。私が用意した不自由のない暮らしは手放したくないのに、自分から莉奈に近づいた。あの子が浮気相手だって責められてるのも、全部あなたのせいよ!」彼はすぐに首を振った。「違う」私のお金目当てで付き合っていたことを否定したのか。それとも、莉奈を傷つけたことを否定したのか。もう確かめる気にもなれなかった。「私はあの街には行かない。莉奈のための釈明なんて、一言もしない。2人のしたことを、街の大型ビジョンで丸2日流されたくなかったら、今すぐ出ていって!二度と私の前に顔を見せないで!」悠真は唇を引き結ぶと、迷いなく背を向けて出ていった。私は頬の涙を拭き、再び広く明るくなった家を見渡して、何とか笑みを浮かべた。これが本来の、私の家なのだ。その日から、悠真への連絡手段はすべてブロックした。彼に持たせていた決済用のカードも止めた。彼に関することは、もう一切気にしなかった。あっという間に、卒業の季節になった。ほんの数か月前までは、彼の修了式に何を着ていこうかと、わくわくしながら考えていたのに、今では、ずっと遠い昔の出来事のようだった。紗季は私が思い詰めるのを心配し、いっそ一緒に住もうと、私の家へ引っ越してきた。私は苦笑した。「もう20歳の女の子じゃないんだから。男1人のために、死ぬの生きるのなんて騒がないよ」いつまでもあの件を引きずるくらいなら、自分の仕事や暮らしに時間を使いたかった。修了式には行かなかった。けれど遠く離れた自分の街で、彼の大学の式典にまつわる衝撃的なニュースを目にした。あのギャンブル狂いの父親が式典に押しかけ、大暴れして、会場をめちゃくちゃにしたのだ。悠真も父親と話し合おうとした際に殴られ、入院していた。動画の中で、彼の父親は鬼のような形相で、警察に連行されながらもわめき続けていた。「俺はこいつの親父だぞ!自分の息子をしつけて何が悪い!他人が口出しするんじゃねえ!悠真、このクソガキ!出世した途端、恩を忘れて、実の親父を見捨てるのか!」ニュースを見終えた紗季は、吐き捨てた。「
Read more