納骨の日は、朝から雨が降っていた。激しい雨ではない。霧のような細い雨が、朝から昼まで絶え間なく降り続いていた。墓地の鉄の門は開いていて、門の内側には森下先生と千尋、それに係の人が2人立っていた。門の外には、小湊家の家族と久弥が立っていた。前の晩、久弥は墓地の使用許可に関する書類を森下先生に手渡していた。「この墓を用意したのは俺です。でもあいつがここに入るなら、もう俺が取り仕切る資格はありません」森下先生は書類を受け取り、彼を一瞥した。「彼女がカードに書いたことはふたつです。そのどちらにも、あなたたちに見送ってほしいとは書いてありませんでした。来るのは構いません。外にいてください」彼はうなずき、反論しなかった。係の人がまず、管理事務所に預けてあったあの空の骨壺を運んできた。そのそばには、未那が供えた手紙も残されていた。封筒には【お姉ちゃんへ】と書かれている。森下先生は封筒を開けずに、空の骨壺と一緒に門の外へ差し出した。母が震える手を伸ばし、骨壺と封筒を受け取った。骨壺は軽かった。まるで何も入っていないかのように軽かった。偽の葬儀のとき、母はこの骨壺を抱えて、お墓の前で立っていられないほど泣いていた。今度は、母は封筒から手紙を取り出し、皆の見ている前で粉々に引き裂いた。破れた紙片は雨水の中に落ち、たちまちふやけていった。それから母は空の骨壺を抱えたまま門の外に立ち尽くし、もう動かなかった。森下先生は私の骨壺を抱え、1歩、また1歩と、お墓の前へ歩いていった。千尋が傘をさして寄り添い、その手には祖母のマフラーがあった。納骨室の蓋が開けられた。森下先生はしゃがみ込み、骨壺をそっと中へ納めた。千尋はマフラーを畳み、骨壺の上にそっと置いた。森下先生は鞄から、あの付箋と【お母さんの誕生日】と書かれた封筒、それに4冊目のノートを取り出し、マフラーのそばにまとめて納めた。「彼女が貯めたものも、書き残したものも、一緒に持たせてあげましょう」門の外でその封筒を見た母は、口を押さえてしゃがみ込んだ。久弥は、ずっと雨の中に立っていた。手にはあの黒い長傘を持っていたが、開かなかった。髪から水滴が滴り落ち、スーツはずぶ濡れになって肌に張りついていた。兄が自分の傘を彼のほうへ差
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