星奈はレストランを出ようとしたが、京一が、他の二人とレストランにいるみんなの目の前で、星奈のほうへ歩いてきて、親子二人を元の席に座らせた。彼は微かに笑みを浮かべて、話をしていた二人に言った。「すみませんが、まだ食事の途中だったので、後でまた話の続きをしましょう」するとその二人は、その場の空気を読んで、立ち上がり去っていった。星奈は申し訳なく思い、言った。 「京一さん、お話の邪魔をしてしまって」しかし、京一はその言葉を否定した。「いや、食事中に、邪魔をしたのは彼らのほうだよ」星奈は明らかに実際はそうではないと分かっていた。食事を終えると、京一は星奈親子を先に部屋に戻らせ、彼はさっきの二人のテーブルに行った。そして三人はすぐに会話に熱中しはじめた。――峯崎では、蒼士が星奈に連絡が取れず、焦っているところだった。それで、彼は涼名川市付近に住んでいる友人に連絡し、コネを使って星奈と義母に何かあったのではないか、調べてもらった。二人が無事なのを確認すると、彼はホッと胸を撫でおろした。仕事が終わって片桐家に帰ると、食事もせずに、まっすぐに二階へあがった。彼はひたすら電話をかけ続けた。あらゆるコネをかき集めて、星奈と義母の行方を追った。蒼士の祖母である片桐信子(かたぎり のぶこ)は彼を呼んだ。「蒼士、ご飯にいらっしゃい。今日、家政婦さんがあなたの好きなビーフシチューを作ってくれたのよ」そう声をかけても、蒼士は下におりてこなかった。祖父の稔は七十六歳の高齢だ。すでに引退していて、以前は医療機関のお偉いさんだった。最近、大病を患い、体調は良くない。稔は心にある疑問を口にした。「蒼士はどうしてこっちに戻ってきたんだ?星奈さんは最近見ないけど、どうした?」食卓に座る片桐家の面々は、次々と箸の動きを止めた。麻衣子は信子と目を合わせた。麻衣子は答えた。「お義父様、星奈さんはお母様と一緒に旅行に行っているんです。あと数日したら戻る予定です」「そうだったのか」稔は頷いた。信子は彼に茶碗蒸しのお椀を差し出した。稔は大輔とは親友であり、性格が似ているため、彼は星奈という孫の嫁のことは、まずまず認めていた。蒼士はこの時、数十回と星奈から着信拒否された画面を見つめていた。彼の表
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