愛は跡形もなく消えた夫の義妹・神崎優菜(かんざき ゆうな)に誘われて外食に出かけたあの日、私たちは大きな地震に遭遇した。
消防士である夫・神崎遼一(かんざき りょういち)は、真っ先に現場へ駆けつけてくれた。
しかし、私と優菜は同じ巨大な岩の下敷きになり、どちらか一人しか助けられない状況に――
体の弱い優菜を先に救うため、夫は妊娠五ヶ月の私を見捨てた。
「お願い、私を助けて……」
私の必死の叫びも虚しく、遼一はただ私の腕が岩に押し潰されていくのを見ていた。
「優菜は昔から体が弱い。このままじゃ死んでしまう」
私が死んだあと――遼一は狂ってしまった。